こんにちは。
■ユーロ/円は102円台、豪ドル/円は74円台を回復した
このコラムで毎週取り上げている新興国通貨の下落ですが、各国の中央銀行の迅速な対応によって、先週、いったん沈静化しました(「相場は持ち直したが、底流のRisk offに変化なし。新興国通貨やユーロは下落へ!」など参照)。
しかし、今週序盤に下落を再開し、ブラジルレアルは再び1.91レアル台まで下落しました。
同様に、資源国通貨の豪ドル/円を筆頭に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も急落しています。
一時は、豪ドル/円は72.06円まで、ユーロ/円は100円割れ目前の100.76円まで急落し、ユーロ/米ドルも1.3146ドルまで下落する場面が見られました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
risk off相場が再開したと言えるでしょう。
ところが、その後、10月5日(水)の東京時間未明に「EU(欧州連合)当局が問題銀行に資本注入を検討中」との報道が流れたため、NYダウは急速に回復し、クロス円も急反発しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
ユーロ/円は102円台まで、豪ドル/円は74円台まで上昇しています。
■ECBに対する大幅利下げの期待が高まっている
さて、そのクロス円の動向に大きな影響を与えるイベントが、10月6日(木)の海外時間に予定されています。
それは、ECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合(理事会)です。
今回は、ジャン=クロード・トリシェ総裁の任期中最後の会合ということもあり、注目が集まっています。
加えて、今回はエコノミストの予測が割れており、政策金利発表後の動きは極めて不透明です。
たとえば、JPモルガン銀行は50bp(0.50%)の利下げを予想し、ゴールドマン・サックスは利下げなしと見ているようです。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)
マーケットでは25bp(0.25%)の利下げという見方が多いとのことですが、予測は大きく割れています。
トリシェ総裁の後任はイタリア中央銀行のドラギ氏で、11月1日(火)に引き継ぎが行われます。
それまで、あと20日あまりとなりましたが、ギリシャがデフォルト(債務不履行)へと追い込まれている中、トリシェ総裁には中央銀行総裁として、できる限りの手段を講じることが迫られています。
したがって、50bp(0.50%)という大幅利下げに踏み切る可能性も濃厚です。
ただ、50bp(0.50%)の利下げが決定されたとして、その後の為替の方向性も単純ではないでしょう。
利下げ発表直後にユーロに対して売り圧力がかかるのは当然ですが、株価は反発すると考えられるため、その後、ユーロクロスが一時的に上昇する可能性も高いと思います。
■制御された(?)ギリシャのデフォルト
このところの市場参加者の焦点は、「ギリシャがデフォルトに陥るのかどうか?」ではなく、「ギリシャが金融市場に多大な悪影響を及ぼすことがないように、デフォルトするかどうか?」に移ってきているようです。
この点において、欧州当局者の意見が統一されていることが必要なのですが、政策当局の動向がこれまで不透明であったため、欧州金融機関の株価は不安定な状況が続いています。
この状況が続くようであれば、ユーロの反発があっても一時的なものに過ぎず、ユーロ/米ドルや、対スイスフランを除いたユーロクロスの上値は限定的となるのではないでしょうか?
なお、ユーロ/スイスフランについては今週前半に、その下限を1.3000フランにするというウワサがマーケットに流れ、1.23フラン台まで急騰する場面がありました。現在も、1.23フラン台で堅調に推移しています。
このように、ユーロ/スイスフランが堅調に推移していることが、ユーロ急落の「歯止め」になっているとも言えるでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 4時間足)
また、今週に入ってからは「欧州各国が問題銀行への公的資金注入の可能性」といったトーンの報道も目立つようになり、ユーロ暴落というシナリオもなさそうです。
上値を確認しつつ、ユーロ/米ドルは1.3000ドル割れ、ユーロ/円は100円を割り込んでいくといった展開となるのではないでしょうか?
ともあれ、ECBの政策は、日本時間で10月6日(木)の20時45分に発表されます。その45分後に行われるのが、欧州の命運を握っているトリシェ総裁の記者会見です。
■BOEの政策しだいではポンド急落の可能性も
10月6日(木)には、重要なイベントがもう1つあります。
それは、英国の中央銀行であるBOE(イングランド銀行)の金融政策決定会合です。
こちらは500億ポンドの資産買い入れ枠拡大を決定するという予想も増えてきており、それに伴って、英ポンド急落の可能性も指摘されているため、その動向も見逃せません。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
ユーロのみならず、新興国通貨も不安定な環境にある中、10月6日(木)に発表されるECBとBOEの決定が、年末に向けての為替相場の動きを左右することになりそうです。
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