それにしても為替介入があって以来、マーケットのムードは一変してしまった。確かにギリシャの国民投票が不透明要因として浮上してきたことは紛れもない事実であるが、それは後から出てきたことである。単に相場の背中を押しただけのことだ。介入したその日のうちにニューヨーク時間のランチタイム前に、すでにユーロドルは1.39台の前半まで落ち込んでおり、ギリシャの国民投票の話が出てきたのはそのさらに後である。
マーケットの中から数兆円相当の規模のドルが吸い上げられ、その結果としてのドルのショーテージはユーロドルの下落を誘わないではいられなかったといえるだろう。今のマーケットの様相では、ドル円の動向よりもユーロドルの行方のほうが心配して見守られているのだ。危機の張本人がユーロ圏であることも確かなのだ。ドル買い介入は果たして正しい選択肢だったのか。
そのようにしてユーロドルは需給の観点からも明らかに頭の重い状況下での、ギリシャ首相の国民投票発言となったので、足腰の弱っていたユーロドルの相場はひとたまりもなかった。昨日のアジア時間では1.38台をキープするのがやっと。欧州時間に入ると大きく売り浴びせられたのは、やむをえない。
ロンドンネームもジャーマンネームもすべてユーロ売り。ユーロドルが1.36台まで下がってきて、これで完全に先週からの上昇分を吐き出した格好となり、EUサミット前の水準に逆戻りした。私も時間がかかるのを覚悟していたのに、ターゲットとしていたユーロ円の106円台が見えてきたので、早速に利食った。ユーロの下落により、欧州の信用不安は再燃して、ギリシャの2年債や3年債は再び80%の大台を越えてきている。
欧州時間で激しかった分、昨日のニューヨーク市場では為替相場は小動きにとどまった。特にドル円なんか20ポイントくらいしか動いていない。次の材料待ちかなと思って見ていたら、ニューヨーク時間の8時前にギリシャ首相が国民投票にこだわっているような発言をした。国民投票なんかやって、否決でもされたらどうするのか?と世の中がみているときになかなか衝撃的な発言だ。
マーケットはすぐにリスク回避の方向に反応し、ユーロドルは100ポイント弱の急落をした。私もユーロ売りをしようと思ったが、1.3650とかだといかにも中途半端。こうなったら昨日の安値である1.3608を下抜けしてきてからにしようと思い、1.3595でショートメークのストップ注文だけ置いておいた。
結局、ユーロドルは下がらなかった。マーケットは次第に落ち着きを取り戻して、アジア時間の午後にはユーロドルは1.37台を回復。欧州時間に入っても欧州時間に入っても、どことなくリスクテークの方向で動き出して、グローベックスの米国株なども高い。ユーロドルは1.38台にも載せていて、短期的なショートカバーが起こっている。まあ、今日の夕方からは相場を休むことにして、夜のイベントに体力を温存したい。
今晩は注目のFOMCだ。早めに就寝して、3時以降のバーナンキ議長の会見に臨みたい。私としてはQE3なんかありえないと思っているのだが、世の中が期待している分、無視はできないところだ。金融緩和に言及がなく、しかも欧州危機に関しての一般的なコメントに終始したら、問答無用でリスク回避になってしまうかも。そうなったら、ユーロ円を突っ込んで売っていこうと考えている。
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