雇用統計の直前では、ユーロドルは1.38台の前半で迎えることになった。同時にG20の首脳会合も開催されていて、メルケル首相などからも盛んにギリシャの債務問題などについてのコメントが出てきたりしていた。なかでもフレッシュだったのは、イタリアがIMFの監視下に置かれることになったという事実だ。それほどまでにイタリアは信用ならないということなのだろうか。雇用統計を前にした為替相場では、どことなくユーロの目先が重くなりつつあった。
雇用統計の結果は、就業者数が8万人の増加で予想を下回り、一方で失業率の方は9.0%となり、前回よりも改善していた。前回、前々回と就業者数のほうが情報修正されていたことも手伝って、マーケットのファーストアクションはリスクテークの方向へ動いた。ユーロドルは1.38台の後半までショートカバーが進んだ。グローベックスでは米国株も上昇しているので、ユーロ円も高値攻め。
私としては指標発表の前からユーロのショートにしなくてよかったと言いたいところだが、ここからどう攻めるかが問題であった。このままユーロは上がっていって、再び1.39台に乗せてくるのか。それとも週末をひかえたリスクヘッジとしょうして売り込まれるのか。株価の動きを見て、判断をつけるしかしかなさそうだ。
この日でアメリカの夏時間も終了する。22時半に米国株がオープンもするのも最終日。株式市場が開くと、マーケットのほうでは先にリスク回避モードとなってしまい、ユーロドルは1.37台に突入をはじめた。株価も調整気味となっていた。ユーロドルはそのままズルズルと下げ続けたが、1.37台の前半で引っかかった。その後は1.38台もチョロっとこすっているが、結果的に見れば雇用統計の割りにはユーロドルもほとんどダイナミックに動かなかったということになり、また方向感も出なかった。
ギリシャでは内閣の信任投票がおこなわれていたせいもあるだろう。もしもまかり間違って解散総選挙なんてことにでもなれば、実質的には国民投票と変わらないことになってしまう。せっかくもう国民投票はなくなったと安堵していたマーケットが、またメクられる可能性も否めず、動きづらいのも事実だ。
ドル円はまったく動かず、20ポイント程の値幅のみだった。為替介入のあった10月末からはまた狭いレンジの日足を続けており、介入当日に押し込んだ77.76が最大の押し目になっている。あと20ポイントくらいしかないのに、ぜんぜん触れようともしない。よく考えてみると、9月末のドル円のレートは77.05で、10月末のレートは78.15だ。その差は1円しかない。介入で大きく上がったように見えても、この77.76を下抜けしてくれば、あっという間に元のレベルにまで落ち込んでしまう距離である。
週末にはギリシャ首相は辞任して新たに連立内閣を模索することとなった。今日はそれを好感しているのかリスクテーク方向で始まったものの、なんともリスクテークしきれないような中途半端な感じでアジア市場は終始した。何が飛び出してくるかわからないという状況は変わらない。一部にギリシャはやはり総選挙という格好になっていくような話しにもなっている。
私はユーロドルを売って(@1.3760)欧州市場に突入したが、欧州市場でもリスクテークはさらに尻すぼみになっていて、ユーロドルも1.36台まで見ている。イタリアの国債利回りのスプレッドは最高レベルを更新している。マーケットの材料は少ないが、それでもユーロ圏の財務相会談などもあるので、要人発言など突発的な動きには注意せねば。それにもしもドル円が77.75割れてきたら、ショートメークしてみようとも思っている。
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