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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

ギリシャのユーロ圏離脱でドラクマ復活も!?
ECB理事会で積極策が出る可能性低い。

2011年12月08日(木)15:38公開 (2011年12月08日(木)15:38更新)
西原宏一

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

 みなさん、こんにちは。

 注目のEU(欧州連合)サミットを週末に控え、今週のユーロ/米ドルは神経質な展開が続いています。

 そのEUサミット前に、12月8日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会も開催されます。

■ECBの利下げは0.25%? 0.50%? その後の展開は?

 12月8日(木)のECB理事会ですが、市場のコンセンサスは25bp(0.25%)の利下げで、一部には50bp(0.50%)の利下げを予測する市場関係者もいるようです。

 もし、50bpの利下げが決定すれば、いったんは、ユーロに売り圧力がかかるでしょう。

 ただ、EUサミットを控えているために、ユーロ売りとなっても一時的なものに終わると思います。

各国政策金利の推移

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移

重要なのは、「ECBが国債買い入れの規模を拡大」のような積極策が打ち出されるのかという点です。

 ただ、そのためには、EUが財政規律を強化することが条件となるため、市場が期待しているような積極策が出てくる可能性は低そうです

■ユーロは「期待と失望」が交差。対スイスでは1.3フランへ

 さて、マーケットでは今週、格付け会社のS&Pがユーロ圏15カ国とEFSF(欧州金融安定化基金)の格付け見通しをネガティブ・ウォッチ(引き下げ方向)に指定したことに注目が集まっています。

 今のところ、マーケットはEUサミット待ちであるため、大きな反応は見られません。

 ただ、こうした動きはユーロのみならず、リスクアセット通貨である豪ドル、ブラジルレアル、南アフリカランドに対してもマイナスであるため、格付け会社の動向への警戒感が高まっています。

 今週に入ってからのユーロは「期待と失望」が交差しており、1.33~1.35ドルの狭いレンジで方向感の出ない相場展開を見せています。

ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

 EUサミットを控え、ヘッドラインと思惑のみで動いているようなものであり、これは仕方のないところですね。

 ユーロ/米ドルやユーロクロスが方向感なく乱高下する中で、ヘッジファンドの間で確率が高いと注目されているのが、ヒルデブランド総裁のSNB(スイス国立銀行)の動向であり、ユーロ/スイスフランに注目が集まっています

ユーロ/スイスフラン 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 日足

 こちらは紆余曲折しながらも、1.3000フランに向けて上昇するといった予測が増えているようです。

■ギリシャでドラクマが復活する可能性も出てきた!?

 前述のように、今週のユーロ/米ドルはレンジに入り込んでおり、大きな動きはありません。

 しかし、ユーロ圏では事態の悪化に備え、いろいろなシミュレーションが始められたようで、マーケットでは、「ドイツ政府が、ギリシャがユーロ圏から離脱した場合のシミュレーションを行っている」とのウワサも聞かれます。

 事実として、金融仲介取引業者で、次のようなシミュレーションをすでに始めているところもあるようです

「世界最大の金融仲介取引業者の英ICAPは、一部の国がユーロ圏から離脱して旧通貨を再び採用した事態を想定し、新たな通貨に対応できる為替取引システムの準備を進めていることを明らかにした。

 広報担当者によると、世界最大の為替取引プラットフォームである同社のEBS(電子取引システム)について、ギリシャがユーロ圏から離脱して旧通貨ドラクマを復活させた場合に対応できるかテストを行っている。

 同担当者は、テストは複数の顧客が懸念を表明したのを受けてユーロ/ドラクマと米ドル/ドラクマという2つの通貨ペアの取引について6カ月にわたり実施したが、これによって、ドラクマ以外の通貨が複数が加わった場合にも対応できると説明した」(出所:ロイター 「ユーロ圏崩壊に備えた為替取引システム準備、ギリシャのドラクマ復活など想定=ICAP」より)

 これは、ギリシャの旧通貨であったドラクマが復活し、ユーロ/ドラクマとか米ドル/ドラクマといった通貨ペアが誕生した場合のシミュレーションが行われているというものです。

 ドラクマ復活の可能性はかなり低いはずなのですが、事態が悪化しているため、そうしたシュミレーションも行われているのでしょう。

 来年あたりに、銀行間で、EUR/GRD(ユーロ/ドラクマ)やUSD/GRD(米ドル/ドラクマ)といった通貨ペアが取引されている可能性もあり得るといった様相です。

本当に重要なのは、「ユーロ共同債」についてのドイツの対応であるはずですが…。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 いよいよ、ユーロの行方を大きく左右するEUサミットが今週末に開かれます。

「EUサミットで重要な決定が行われる=メルケル独首相」(出所:wall street journal 12月7日)

 週明け、12月12日(月)のユーロ/米ドルは、どのレベルから始まるのでしょうか?


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