みなさん、こんにちは。
先週末、12月8日(木)~9日(金)に、マーケットの注目を集めたEU(欧州連合)首脳会議が行われました。
このところの金融市場では、主要各国の経済指標や金利動向よりも欧州の動向が注目されており、ユーロ圏からの悪材料によって、それ以外の株や債券市場も混乱する傾向にあります。
そのため、年末を控えた多くの市場参加者は「EUサミットをきっかけに、いったん沈静化してほしい」という期待感を持っていたのですが、わずか数日で裏切られてしまいました。
■ドイツ当局者からのコメントで、市場は大きく動揺している
12月13日(火)の欧米市場では、EU首脳会議から2日しか経っていないにもかかわらず、メルケル独首脳の次のような発言を機に、ユーロが全面安となりました。
「ユーロ圏の恒久的な金融安全網であるESM(欧州安定メカニズム)の融資上限に関し、これまでいかなる引き上げ案も拒否」
現在のESMの資金枠は5000億ユーロですが、EUのファンロンパイ大統領が同日に「上限見直しの決定を3月までに完了させる」と発言しており、このことに対してのコメントのようです。
ともあれ、メルケル首相のコメントを受け、ユーロ/米ドルは1.30ドル台へと下落しました。
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(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
加えて、12月14日(水)には、バイトマン独連邦銀行総裁の「私はSMP(*)の信奉者ではない。SMPの信奉者らも懐疑的になりつつある」との発言も伝えられ、ドイツ当局者からの相次ぐ否定的なコメントによって、市場は大きく動揺しています。
ついに、ユーロ/米ドルは1.3000ドルの巨大なバリアを粉砕し、一時は1.2945ドルまで下落しました。今年の安値である1.2860ドルに向けて、下落が加速しています。
(*「SMP」=ECBの国債購入プログラムである証券市場プログラム)
■欧州債務危機を一挙に解決する「ビッグバン」はない!
事前の期待の大きかったEU首脳会議でしたが、ユーロ/米ドルを反発させるドライバーとなるどころか、むしろ、ユーロ安を加速させてしまいました。
ユーロを取り巻く状況は、毎日のように開催される会議への期待と失望が交差する中で、ジワジワと悪化し続けています。
言葉を換えれば、「EUが何をやっても、この問題は早期に解決できる策はない」と、市場が考えているということでしょう。
1つの会議に向けて、期待感よりも警戒感が先行し、まずはユーロのショートカバー(買い戻し)が起きます。そして、想定どおりに抜本的な解決策がないことを確認し、再びユーロ周辺国の国債と欧州の銀行株が下落して、ユーロ/米ドルが反落するという展開が続いています。
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