米国経済には明るい兆しもみえるが、
積極的な米ドル買いにはまだ不安か？

2012年01月12日(木)18:24公開 (2012年01月12日(木)18:24更新)

今井雅人

みなさん、こんにちは。

■ユーロは予想どおり上値の重い動きが続いている

先週のコラムでもユーロは上値が重いというお話をしましたが、実際にそのような動きになっています。

市場関係者にいろいろと話を聞いてみると、ユーロ/米ドルは1.28ドル台に実需の売りが控えているようで、ちょっと戻してもすぐに売りが出て、相当頭をしっかりと抑えられてしまっているようです。

ユーロ/米ドル４時間足

やはりこのような動きは続くと思います。

本日は欧州から少し離れて、米国経済について考えてみましょう。というのも、少し明るいニュースが出てきたのです。

ことの発端は先週１月６日（金）に発表された米国の2011年12月の雇用統計です。

非農業部門雇用者変化数は市場予想の15.5万人を大幅に上回る20.0万人、失業率も市場予想の8.7％より強い8.5％となりました。

どちらも市場予想より良かったというわけなのですね。

今回の結果についてはいろいろな見方があるようです。

天候に恵まれたことで観光客や、建築、余暇サービス部門などで雇用が増大したこと、2012年の年末商戦（ネット販売の増加）を背景に運輸部門が増加したことなどが背景であり、それほど単純に良くなっていくとは思えないという慎重な意見もあります。

ただ、基本的には米国経済は緩やかに回復していくのではないか？という見方が増えてきているのです。

それを裏付けるように、非農業部門雇用者変化数だけではなく、雇用指標の中でも遅効性があると言われている失業率も回復してきています。

また、ＮＹダウは1万2500ドル手前あたりでの推移が続き、下値がしっかりしています。

ＮＹダウ 4時間足

（出所：米国FXCM）

2012年２月発表の雇用統計で民間部門の雇用者数が15.0万人を超えてくるようだと（今回は21.2万人）、米国経済の先行きに対してもう少しポジティブな意見が、また増えてくるのではないでしょうか？

加えて、１月11日（水）に発表されたベージュブック（地区連銀経済報告）でも

「経済は全国的に穏やかないし、まずまずのペースで拡大」

「7地区は穏やかな成長、1地区は停滞かわずかな伸び」

「個人支出は年末商戦が強かったため、上向いた」

「賃金の上昇圧力は全体的に緩やか」

「居住用不動産市場はさえないままである。商業用不動産が幾分緩慢であるが、いくつかの地域で改善の兆しが示されている」

など、全体としてはそれほど悪くないと判断されているようです。

やはり、欧州の問題が世界経済全体の足を引っ張っていて、米国もその影響を受ける可能性がまだまだ残ります。

米国が圧倒的な一人勝ちをするほど、ことはそこまで単純ではないでしょうが、米国と欧州で少し雰囲気が異なってきていますから、今後もしっかりとウォッチしておきましょう。

もっとも、相場のほうはといえば、いくら米国が良くなってきたように見えるとはいえ、米ドルを積極的に買っていくほどはっきりとしてきたわけではありません。

米ドル/円４時間足

ユーロの戻り売りをメインに、その他ではレンジが続くと考えておきたいと思います。

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