日銀の発表後に、安住財務相が「実質的にインフレターゲット設定と受け止めている」とコメントしたことも影響しているようです。その後、海外勢からの円売り圧力は増大しました。
米ドル/円は、78円台に乗せてからも上昇を続けており、2月15日(水)には一時78.67円をつけています。前回のコラムでターゲットとして示した79.00円に急接近する展開です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
その後、78.80~79.20円には、本邦輸出企業の米ドル売りのオーダー、さらに、欧米勢の利益確定の米ドル売りも控えていると観測されるため、さすがに伸び悩んでいますが、本稿執筆時点でも78.45円レベルを維持しており、引き続き底堅い展開となっています。
■「円キャリートレード」が復活か?
ところで、2000年代半ばは、ゼロ金利を継続していたのは日本だけでした。したがって、低金利の円を売って高金利通貨を買い、その金利差を享受する「円キャリートレード」が、当時は全盛となっていました。
それが、2012年に入ってから「ドルキャリー」という言葉が聞かれ始め、さらに、昨年末にECB(欧州中央銀行)が実施した「LTRO(3年物無制限資金供給オペ)」の影響で、今では「ユーロキャリー」という言葉まで出てきています。
しかし、「キャリートレード」の対象となる通貨は、「金融緩和傾向にあること」はもちろん、「ボラティリティ(変動幅)が低いこと」も重要です。
その点では、不安定な値動きを続けるユーロと比較すると、米ドル/円は極めてボラティリティが低い通貨ペアです。
こうしたことが背景となり、「円キャリートレード」が再開される環境が整いつつあると言えるのです。
■ヘッジファンドの米ドル/円に対する目線は、さらに上へ
米ドル/円は、2007年以降続いてきた長期の円高トレンドが終えんしつつあり、緩やかな上昇基調となっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
前回のコラムでご紹介した米ドル/円の79.00円というターゲットは達成しつつあります。ヘッジファンドの友人の米ドル/円に対する目線は、さらに上へとシフトしており、82円あたりをメドに戦略を組み直しているもようです。
3月の本邦の期末に向けて、リパトリエーション(本国への資金送還)による「米ドル売り」が持ちこまれると予想されるため、いったんは、米ドル/円が下押しする局面もあるでしょう。
しかし、米ドル/円は欧州債務問題の混迷の中でも、大きく値を崩しませんでした。
ここから、上昇トレンドが徐々に鮮明になってくるのではないでしょうか?
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)