みなさん、こんにちは。
為替市場では、依然として、ギリシャに対する第2次支援の動向にマーケットの関心が集まっています。そのため、ユーロ/米ドルは方向感の定まらない展開が続いています。
■RBAの「利下げなし」で、豪ドルが急騰した
ユーロ圏の混乱を横目に、資源国通貨である豪ドルやNZドルの上値拡大が続いています。
2月7日(火)に行われたRBA(豪州中央銀行)の金融政策決定会合では、マーケットの思惑とは裏腹に、利下げは行われませんでした。
前回のコラムでご紹介したように、仮に25bp(0.25%)の利下げが行われたとしても、すでにマーケットに織り込まれていたため、この「利下げなし」という発表はかなりサプライズです(「中央銀行も豪ドルに資金をシフトしている!豪ドルの動向と日本・スイスの介入が焦点」を参照)。
この発表を受け、豪ドル/米ドルは1.0847ドル、豪ドル/円は83.63円まで急騰しました。
その後はやや反落したものの、現執筆時点でも、豪ドル/米ドルは1.0780ドル、豪ドル/円は83.20円で、RBAの政策金利発表前の水準よりも豪ドル高で推移しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)

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豪ドルは短期筋のポジションがたまってきているため、多少の調整局面はあるでしょう。
ただ、トレンドは変わらずで、豪ドル/米ドルは1.1000ドル、豪ドル/円は84.00円に向けて上昇中です。
■欧米勢の米ドル/円に対する目線が徐々に上がってきた
さて、資源国通貨やユーロクロスが脚光を浴びる中で、ボラティリティ(変動幅)の低下により、トレーディング通貨として話題に上がらなくなったのが米ドル/円です。
しかし、最近は欧米勢の注目を集め始めています。
その背景にあるのが、まずは日本の貿易収支の変化でしょう。
2012年1月の貿易収支は赤字額が拡大し、単月として史上最大の赤字になるという予測も出ています。これを受けて、海外短期筋の「円売り意欲」が活発化しているのです。
さらに、安住財務大臣の「覆面介入」についてのコメントも加わって、欧米勢の米ドル/円に対する目線は徐々に上がってきています。
ただ、他の通貨を見ると、今月のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、対資源国通貨を中心に広範に米ドル安が進んでいます。よって、米ドル/円の急騰は考えにくい状況です。

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米ドル/円は下値を固めながら、ジリジリと79円に向かって上昇する展開ではないでしょうか?
■スイスフラン相場の安定も円安見通しにつながっている
また、円と同じく避難通貨であるスイスフランが安定していることも、海外勢の円安見通しにつながっています。
SNB(スイス中央銀行)のヒルデブラント前総裁の辞任により、一時はスイスフランの買い戻しが活発化し、ユーロ/スイスフランはフローの下限である1.2000フランに接近しました。
しかし、ジョーダン総裁代行が2月7日(火)に、「ユーロ/スイスフランの下限として、1.20フランを死守する」と発言したことから、1.21フラン台前半まで反発しています。

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もし、ユーロ/スイスフランが1.2000フランを割り込んで、スイスフランが急騰するような状況になれば、同じ避難通貨の円に対する買い圧力も高まったでしょう。
ところが、SNBの姿勢が変わらなかったために、スイスフラン相場は安定しています。ユーロ/スイスフランは再び値を上げ、1.22フランへと上昇中です。
スイスフランも、日本円も、中央銀行の通貨高抑制策の効果もあって、徐々に値を下げていく展開が濃厚と思われます。
■中期的には、豪ドル/円は90円に向けて上昇する展開か
結果として、ある意味では、多くの主要国で「通貨安政策」が取られていることになります。そのような中で消去法で選ばれるのは、やはり、インフレ懸念の残る資源国通貨の豪ドル、NZドル、加ドルでしょう。
米ドル/円の下値が徐々に限定的になっている状況の中では、豪ドル/米ドルよりも豪ドル/円の上値余地がさらに拡大しています。
また、ヘッジファンドは、豪ドル/スイスフランといった通貨ペアにも注目しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
前述のように、目先の豪ドル/円の上値メドは84円です。
ただ、中期的に見れば、90円に向けて上昇するのではないでしょうか?
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