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■米ドル/円、ユーロ/円は、なぜ突然急反発したのか?
FX市場において、2月24日(金)現在、米ドル/円は81円台へ、またユーロ/円は109円台へと突入し、それぞれ急反発を見せる展開となっています。
それでは、なぜこの2つの通貨を含めてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の通貨は急反発を見せたのでしょうか?

(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)

(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
多くの個人投資家はこの答えを探そうとし、その答えを知ることができれば次なるチャンスで利益を上げることができると考えますが、実はその原因、答えを突き止めることはできません。
確かに、同じ時期に日銀による金融緩和の発表があり、ユーロの債務問題は平静を取り戻そうとしているように見え、それがあたかも円安に動いた答えのように見えるかもしれません。
しかし、これはあくまでも、まことしやかな後付けであり、またそれが本当の原因・理由となって円安となったのかどうかは、誰にもわかりません。
私は毎日のトレードにおいて、どの通貨が上がるか下がるか、その原因や答えを探しません。
なぜならそこに答えはなく、そのことを知ったような気になっても、次の機会で利益を上げることはできないからです。
■相場はバランスによって成り立っている
FX市場において各通貨の方向性を予想することはできませんが、目の前で起こっている値動きを確認することはでき、その値動きからさまざまな可能性を知ることはできます。
今回のクロス円で起こった急反発は、何らかの原因からスタートした上昇により、相場がバランスを取ろうとしているのです。
値動きや相場は、バランスによって成り立っています。それは上昇と下落のバランスであり、同時に買いと売りのバランスなのです。
市場において、「買いのみ」や「売りのみ」といった状況は存在せず、常に買いと売りが市場に出され、値動きを形成しています(株式市場や商品市場においては、何らかの原因によって買いや売りのみの時間帯が形成され、「ストップ高」や「ストップ安」という現象を形成することはあります)。
つまり、上がり続ける(買われ続ける)通貨もなく、また、下がり続ける(売られ続ける)通貨もなく、それがさまざまな時間と価格のバランスを保っているのです。
■スイスフラン/円チャートから見えてくるものは?
私は本コラム、2011年8月30日掲載記事の中で、当時のスイスフラン/円が買い方向に偏っていることを紹介し、買いと売りのバランスが逆転してさらなる下落に注意する必要がある、と書きました(「急上昇から一転急落したスイスフラン/円は再び上昇するのか」参照)。
ちなみに、下図は当時のスイスフラン/円の日足チャートです

(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
そして、このあと、スイスフラン/円はこの記事で注目したとおり、さらなる急落を見せ、その様子を本コラム、2011年9月26日掲載記事の中でご紹介しました(「スイスフランの急落は予想できたのか? 急落が予想できれば利益が上がるのか?」参照)。
そして、現在のスイスフラン/円の日足は次のようになっています。

(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
この時のスイスフラン/円の暴落も、スイス国立銀行による市場介入というキッカケに端を発して相場のバランスが成立したのです。
それは日足チャートを見ているだけではわからない、より長い期間、大きい値幅のバランスだったのです。

(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
つまり、この間の下落は、おそらく週足のスケールで確認することのできる2010年5月の安値もしくは2008年12月の安値からの上昇に対する下落として起きたのだと想定しています。
市場における上昇と下落のバランスは…
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