昨日の欧州市場では、その前日まで問題になっていた信用不安が薄らいだ。実際に信用スプレッドが縮小したのだ。信用スプレッドというのは、欧州でいちばん信用力のあるとされるドイツ国債との利回り格差のことだ。いうまでもなくすべての欧州域内の国がドイツと同じ経済力を持っているわけではないので、支払い能力などにも違いがあって当然で、何もなくても信用スプレッドは存在している。
ただし問題なのはこの信用スプレッドが動くことなのである。通常は動かないものとされて信用スプレッドであったのに、それが動き出したのだ。しかもそのうえ、その動く向は悪い方に向かってである。それを繰り返してきたのが、まさにここ数年の欧州の信用不安であるといえる。
その信用スプレッドは先月の後半あたりから拡大をしはじめ、ユーロの売り圧力をいっそう増した。ユーロドルは1.30台割れ寸前のところまで下落し、ユーロクロスも同じである。ユーロ円も105円台まで落ちたが、ユーロポンドも日足のチャートなどを見ると情けない形をしている。0.8220あたりを下限に、下サイドに張り付いてしまっているのだ。そのあたりが前回の押し目であるということで、強力なサポートとしてワークしているのだろうが、ここを下回ったときが恐ろしそうだ。
こういうことは、原因は何で起こるかはわからない。それを議論するのはテクニカル分析の守備範囲ではない。ユーロスイスについてSNBは1.2000を下回らせないとしている態度もあるので、なんとかユーロクロスの下振れを制御出来ているといった感じだ。そのSNBも下限を1.25にまで上げようかなという話になっていると、昨日のウォールストリートジャーナル紙が報じていた。
ともかくもイタリア国債やスペイン国債の値上がり、ショートカバーがメインだと思うが、それが市場心理を好転させた。私はユーロ円がベアだったので、なかなかユーロ円のロング攻めというのはしたくない。よってユーロドルを少々買ってみることにした。欧州市場に入ってユーロドルは1.31台にしっかりと乗せてきてもいたのだから。1.3122で買ったのだが、そもそもがユーロベアなので、下向きの値動きばかりが気になる。アゲインストは10ポイントも耐えたくない。
ニューヨーク勢が参入する時間帯まで待っても、ユーロドルは1.3150近くを2回アタックするのが限界で、まもなく株価の垂れと同時に値下がってきた。私も本音ではユーロロングは持っていたくはなかったので、とりあえずほぼ同値であったがポジションをクローズ。結局、昨日のユーロドルも値幅は100ポイントもないという狭いレンジだった。そろそろユーロドルで大きな値動きがほしいところである。
今晩は貿易収支、卸売物価、そして最近、関心が高まっている失業保険が出てくる。すべて同じ時間なので、どれに反応すればよいかとなると、やはり雇用関連であろう。これが予想通りか、悪化したような場合には、株価の腰折れもありうる。それにともなってのリスク回避で円買いの反対でユーロ売りがかさめば、ユーロクロス全体に下ブレークという面白い動きが起こるかもしれない。
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