金曜日の為替相場は総じて小動きだった。ドル円で20ポイントほど、ユーロドルで50ポイントほど。大台に変化はなかった。それでも好材料と取られかねない話題も出てきて、マーケット全体はリスクテークというほどでもなかったが、円売り圧力が強まることとなった。
まずはECBが資金を出すときの担保要件の緩和を決めたが、これはやはりスペインやイタリア向けのことであろう。それらの国の民間銀行はすでに市場で資金を調達しにくくなっていることの裏返しでもある。ただECBのこれまでの資金供給でも、スペインの銀行は自国の国債を買ってきているだけという話しもあり、不良債権がなくなるわけでもない。
また4カ国協議の場で、GDPの1%相当の成長計画をすると決まったようだ。しかしこれも見方を変えれば、この3年間はそれが出来ずに苦しんできたのではないだろうか。それゆえにそう出来るならばもっと先にやっておけばよいわけで、つまり今回やるというのもどこまでマーケットがプラス的な側面で受け取ってくれるのか、はなはだ心もとないということである。
そうしたお金を出す、使うといった話が出た割には、欧州株や米国株の反応は限定的だった。たしかに米国株はニューヨーククローズに向けて一段高もし、高値圏で引けたといってもよい。またリスク資産の代表である原油価格なども80ドル台まで戻してきたのだが、これは77ドル台にまで突っ込んだ後のショートカバーの領域をまだまだ脱していない。
つまり相場全体としては依然としてリスク回避の状況の過程にあるということだ。本格的に反騰するのであれば、ユーロドルなどは1.27台くらいまでジャンプしてしかるべきであり、ユーロ円も103円台くらいまで跳ね上がってもよさそうなものだ。こうした不確かなリスクオンでは、私はついていく気にもなれず、週明けの相場、特に欧州時間での消化状況を確かめてからの相場参入にしようと思った。
本日のアジア時間ではユーロドルは昨日のニューヨークレンジにスタックしたままだ。日本株が思いのほか上がらないことで、円の買い戻しが若干起こっている程度。やはり欧州時間が訪れるのを待って、欧州勢がどのように反応するのか、見極めたいということころだ。
私としては先週にドル円のショートで持っていかれたのだが、やはり今晩は様子を見ながらドル円のショートで攻めたいと感じはじめている。まだ明確にドル円が落ちるはずだというイメージは持ち切れていないが、80.00を割り込んでくるくらい円高方向に動くならば、それについていってみたいと思っている。アジア時間早朝からの米国株の垂れ具合が、リスクオフを暗示しているように見えるからだ。
今晩は欧州の外相会合。先週末以上の材料がそこから出てくるとは思えないが、いちおう突発事項としての要人発言には注意しておきたい。また日本の政局も煮詰まってきており、こちらも久しぶりに日本の事項がマーケットを動かすファクターになりえそうだ。明日の増税法案の採決に向けて、まだひと揺れもふた揺れもありそうだ。シナリオとしては小沢氏の離党までは想定の範囲内なので、それよりも大きなサプライズ、例えば即時解散などがないと相場は動かないだろうが。
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