雇用統計の出る直前のレベルは、ドル円が79円台のミドルで、ここ2,3日の底値あたり。またユーロドルは1.23台の後半であり、アジア時間、欧州時間と何度も1.24台の回復をトライしたが、どうも上値のトライが失敗してきた。値動きだけから判断すると、このままユーロドルの下落は続きそうで、それにともなってユーロポンドやユーロ円も落ちるのだろうという想像がつく。
私もそういう見方を強めていたのだが、いかんせん気になるのは前日に出たADPの民間調査である。これは大きく改善していたので、なかなか容易にユーロショートに振り向けていきにくくしている。雇用統計でのペイロールの予想は10万人弱の増加というのがコンセンサスだが、15万人以上が出たらどうしようと考えると、同じユーロショートに傾けるにしても数字が出てからでもよいのではないかと消極的になってしまうのだ。
しかしそう言っていて、前日のユーロドルの大幅下落を十分に取れなかったという後悔もあるのだが…。月初だからまだ無理はしたくはないという言い訳を作って、やはり数字が出てからにしようとする私だった。
指標はどちらに出ても良いように構えていた。悪ければユーロドルの売り、良ければユーロ円でも買ってみよう。そして発表になったが、ユーロドルは下がったが、それほど激しくはなかった。グローベックスでの米国株も下げるには下げているが、下げ渋っている。
悪い数字だったのだなと確認しなくてもわかるが、それでもユーロドルは今年の最安値である1.2288にまであと少しなのだから、もっと興奮して下がってもよさそうなものなのに。1.2350あたりで下げ止まって、その辺の15ポイントくらいでじっくりと腰を据えているのだ。
これは前回がどうだったかを考えてみれば、市場心理の想像はつく。6月1日に出たときも雇用の内容は悪かった。それで同じ日には米国債は過去最低の利回りをつけ、週明けの早朝にはグローベックスで米国株も日経先物も今年の最安値を付けた。最安値をつけた、ということは、それ以降は上がっているのである。それも異常に強くである。
S&P先物ベースでみると、1262ポイントの安値を付けた後、1370ポイントまで100ポイント以上もの急騰を6月相場で見せられた。もちろん金融当局などによる行動期待で金融相場として上がってきた面が大きいのだが、これでは雇用関連のデータが悪いからといって容易にリスクオフに傾けにくくなっているのも無理はないところだ。
こういう消極姿勢になっていた私だったが、ニュースフラッシュに「スペイン債が7%に」という文字を見つけて、多少の勇気を得た。結局、前に週に行った欧州会議の結果がぜんぜんマーケットには受け入れられていないということだ。雇用統計が出てから15分くらいはあまり動かなかったユーロドルも、1.2350を下回ってきた。私は思い切って1.2337で売りこんだ。
いつものように自分が売った後はまた動かなくなったが、米国株がオープンして、株価の下げ幅には不満足ではあるが、とりあえず下げて始まったことを確認した市場はリスク回避の流れに押された。ユーロドルも1.23ちょうど近辺まで攻めたが、なかなかクリアに大台割れを実現できなかった。
日付けが変わる頃まで相場につきあったが、下がらないので買い戻してしまった。翌日見ると、ユーロドルは今年の最安値をブレークしていたし、1.22台でニューヨーククローズとなっていた。ユーロ円もユーロポンドも、ものすごく安くなっている。
本日は早朝にユーロドルが安値突っ込みをやったようだ。金曜日の安値である1.2260を割り込んで1.2224まで差し込んでいる。これは個人投資家などが強制ロスカットさせられる業者のカバーのタイミングと一致していた。その後は1.22台の後半まで値を戻してきているが、グローベックスでの株価も重い足取りなので積極的なリスクテークにはなっていない。
今晩は材料が少ない分だけ、雇用統計の結果をどう消化するのかに注目が集まるはず。私としては今朝の発表の日本の機械受注が悪かったことも加えて、リスクオフの方で評価されると考えている。やはり今晩もユーロ売りで臨むつもり。
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