7月12日(木)に豪ドル、英ポンドは対米ドルでの下げ幅が対ユーロでの下げ幅よりも大きかった。
これがユーロクロスのスピード調整の兆し、ユーロ/米ドルのスピード調整の兆し、さらにはドルインデックスのスピード調整の兆しと読み取れるなら、7月13日(金)にユーロ/米ドルの反発があってもおかしくなかろう。
■米ドル/円はこれから下がるのか? 上がるのか?
米ドル/円に関しては、中長期スパンではやはり日米金利差が重要なカギとなるから、足元で低下し続けている米金利の低下は円高リスクとして意識せざるを得ないだろう。
それにしても、日銀の「無作為」にもかかわらず、米ドル/円は狭いレンジの変動に留まっているから、想定よりも底堅いとは言える。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
一方、リスクオフの基調が高まっており、米ドル/円はなかなか80円の節目をブレイクできない状況にもある。一部の市場関係者からは、「円安局面が終わり、円高トレンドへ復帰する」といった見方も出始めているが、果たしてそうなるのか?
このような疑問に答えるべく、今回はGMMAチャートをもって検証したいと思う。
■中長期の流れを一目瞭然に把握できるGMMAチャート
数多くのテクニカル指標やチャートがある中、中長期スパンにおいて、誰でも相場の流れを一目瞭然に把握できるという意味で、GMMAチャートの右に出るものはないと思う。
GMMAチャートは計12本のEMA(指数平滑移動平均線)によって構成されている(※)。そして、それらは短期組(6本)と長期組(6本)に分かれており、それぞれ「投機者」と「投資者」の行動パターンを表している。
具体的な説明は拙作『FX最強チャート GMMAの真実』(扶桑社)に譲るが、短期組と長期組の位置関係、また短期組と長期組の距離や各組内移動平均線同士の位置関係と距離に注目すれば、おのずと理解できると思う。
(※編集部注:「EMA」とはExponential Moving Averageの略で、移動平均線の一種。単純な移動平均線よりも、より現在に近いレートを重視して算出されるもの)
■米ドル/円のGMMAチャートに重大な変化が!!
下のチャートは2007年の高値から現在に至るまでの米ドル/円の値動きを示している。ピンク色の6本の線は長期組、青色の6本の線は短期組とみなす。まず重要なのは、2つの組の位置関係を観察することだ。
2007年7月以降、長期組線の下に短期組線が位置しており、これが2012年2月後半まで続いていたことがわかる。
(GMMAチャート提供:アイネット証券)
長期組は周期の長い売買コストを表し、また、マーケットにおけるビッグプレヤーの行動パターンを代表する。そして、短期組は周期の短い売買コストを表し、また、短期投機筋の行動パターンを意味する。
2007年以降の長い間、短期組線が一貫して長期組線を下回っていたことは米ドルの価値が一貫して低下していたことを意味しよう。
なぜなら、日々の売買コストが低下しており、また、過去に遡るほど売買コストが高かったのだから、米ドルの価値が低下していることは明白だからだ。すなわち、ベアトレンド(下落トレンド)の継続である。
短期組線は時に長期組線から大きく離れたり、時には長期組線超えを打診したりする場面が何回もあったが、結局、2012年2月後半までは長期組線を上回れなかった。
短期組線と長期組線の乖離はベアトレンドの加速を意味し、接近はスピード調整を示す。そして、長期組線は短期組線を一貫して上回っていたのだから、メインプレーヤーたちの行動パターンは米ドル安局面が続くことを示唆していたと言える。
つまり、2012年2月後半まで、米ドルを本格的に買ってはいけないことがはっきり示唆されていたのだ。
しかし、2012年2月以降、状況が違ってきた。短期組線が長期組線をついに上回ったのだ。これは2007年7月以来の出来事だっただけに、その意味は重大である。
また、現在の状況をどう見るべきかも大事だが、スペースの都合もあり、このあたりの解釈はまた次回に。
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