高機能トレードツールとして、コアなトレーダーから注目されまくっているメタトレーダー(MT4)。その魅力の1つはチャートツールとしての性能の高さにあるが、もう1つ忘れてならないのが「システムトレード」への対応だ。
■EA(エキスパート・アドバイザー)は人間ではありません!?
システムトレードは略すとシストレ、日本語で言えば自動売買のこと。いったんセッティングすれば、あとは何らかのテクニカル指標に基づいて、感情を交えず、プログラムが自動的に売買してくれる。うまくいけば、自分の資産が知らないうちに自然と増えていく──これが、シストレだ。
メタトレーダー(MT4)ではEAを動かして、シストレを行う。
EAとはエキスパート・アドバイザーの略で、この言葉だけを聞くと、メタトレーダー(MT4)の専門家のこと? 「ザイFX!×メタトレーダー(MT4)」でもおなじみのしろふくろうさんみたいな人のこと? と一瞬思ってしまうが、アドバイザーといっても人間ではない。
EAとは、メタトレーダー(MT4)上で動く自動売買プログラムのことを指す。
以下はしろふくろうさんが実際にメタトレーダー(MT4)上でEAを動かして、うまくいったときの資産曲線のグラフ。こんなふうに自動売買で着々と資産が増えてくれればうれしいところだ。
そしてそして、メタトレーダー(MT4)による自動売買というと、EAとともによく目にする言葉がVPS。
メタトレーダー(MT4)でEAを動かし、自動売買するための必需品がVPSなのだが、VPSを使うと何がどう便利なのか、今回はメタトレーダー(MT4)にめちゃくちゃ詳しい、しろふくろうさんに話を聞きながら説明していきたい。
■自動売買には自宅PCでなくVPSを使わないとダメな理由
まずはVPSとは何なのか、超基本的な説明から始めよう。
為替は土日を除き、24時間動き続ける。そのため、メタトレーダー(MT4)で自動売買するためには、EAのセッティングをした後、メタトレーダー(MT4)をずっと稼働させ続ける必要がある。
そこでメタトレーダー(MT4)をインストールし、24時間稼働させ続けるのに便利なのがVPSと呼ばれるサーバーの一種だ。
まだメタトレーダー(MT4)で自動売買はやったことがない、裁量トレードしかやったことがないという人は通常、自分のパソコンにメタトレーダー(MT4)をインストールしていることだろう。その自分のパソコンを24時間つけっぱなしにして、メタトレーダー(MT4)で自動売買することも理屈上は可能だ。
このような普通のパソコンを24時間つけっぱなしにして、メタトレーダー(MT4)で自動売買することも一応は可能だが…。
しかし、そこにはおそらく次のような苦難が待ち受けていることだろう。
・ウェブサイトを見るのに熱中しているうち、いつのまにかメタトレーダー(MT4)を終了させてしまった。
・自動売買していることを忘れて、普通にパソコンの電源を落としてしまった。
・節電好きの奥さんが勝手にパソコンの電源を切ってしまった。
■メタトレーダーに迫る飼いネコの魔の手!?
では、普段使っているパソコンとは別にもう1台、自動売買専用のパソコンを買って、24時間つけっぱなしにしてはどうだろう? しかし、そこにも次のような苦難が待ち受けているのではないだろうか。
■メタトレーダーに迫る飼いネコの魔の手!?
では、普段使っているパソコンとは別にもう1台、自動売買専用のパソコンを買って、24時間つけっぱなしにしてはどうだろう? しかし、そこにも次のような苦難が待ち受けているのではないだろうか。
・自分のいない間に、子どもがパソコンのキーボードを叩いて遊び、設定がおかしくなってしまった。
・会社から帰ってきたら飼いネコがパソコンのキーボードの上で気持ちよさそうに眠っていた。どうも、自分がいない間にキーボードの上を歩き回っていたようでもある。そのため、設定がおかしくなってしまった。
・ブレーカーが落ちて、パソコンの電源が切れてしまった。
・停電があって、パソコンの電源が切れてしまった。
パソコン好きなネコは結構多いですよね!
このように自宅のパソコンを24時間動かし続けるのは大変なことなのだ。自宅は大切なお金を増やすための大切な自動売買を、安心してできる環境ではないと言える。
■共用サーバーでメタトレーダーは動かせる?
さて、そこでサーバーの登場となる。
サーバーはパソコンとまあまあ似たようなものなのだが、ネットワーク上で24時間動かし続けることを前提としている点が違う。パソコンと違ってエンタメ機能(ビジュアル面やサウンドなど)は最小限に止められており、その分、頑丈で安定した作りになっているのだ。
サーバー(左)とパソコン(右)。パソコンにもサーバーにもいろいろな形のものがあり、上の写真はその一例にすぎないが、両者の形はまあまあ似たようなものだ。
そして、一般的なユーザーは、サーバーを買ってきて自宅に置くのではなく、サーバーのサービスを提供している会社と契約し、インターネットを介してサーバーを利用するのが普通。
サーバー提供会社のサーバールームはこんなところ(写真はイメージです)。
以下に述べるように、サーバーにはいくつかの種類があるのだが、その1つが共用サーバーだ。
一昔前、個人サイトを作りたいなら、まず、安価な共用サーバーを借りて、そこにウェブサイトのファイルを置くという方法をとった。ブログやフェイスブックのようなものなら、共用サーバーを借りる必要はないが、昔ながらの個人サイトでは必要だ。記者も共用サーバーを借りて、個人サイトを作ったことがある。
では、そのような共用サーバーでメタトレーダー(MT4)を動かすことはできるのか? しろふくろうさんは次のように解説する。
「メタトレーダー(MT4)を動かすためには、まずそのサーバーにメタトレーダー(MT4)をインストールしなければなりません。けれど、共用サーバーには管理者権限(root権限)がないため、ソフトウェアはインストールできないのです。だから、一般的な共用サーバーはメタトレーダー(MT4)には使えません」
共用サーバーには、単なるファイルは置いておけるが、メタトレーダー(MT4)のようなソフトウェアは入れることができないのだ。普通のパソコンとはそこが異なる。
■専用サーバーでメタトレーダーは動かせるが…
では、専用サーバーはどうだろう?
1つのサーバーを複数のユーザーで分けて使うのが共用サーバーだが、専用サーバーは1つのサーバーを1ユーザーが丸ごと独占できるもの。専用サーバーではメタトレーダー(MT4)は動かせないのだろうか?
「専用サーバーはユーザーに管理者権限(root権限)が与えられるため、ソフトウェアをインストールすることができます。したがって、メタトレーダー(MT4)も入れることができ、EAを走らせておくこともできます。
ただ、専用サーバーは料金が高い。また、メタトレーダー(MT4)を動かすだけなら、専用サーバーのようなハイスペックなものは必要ありません」
専用サーバーでメタトレーダー(MT4)は動かせる。でも、実際に使うとなると、料金の問題があるようだ。お金があり余っている人は試してみてもいいかも!?
(「しろふくろうさんに聞くVPSの魅力(2) メタトレーダー用に最適なVPSとは?」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)