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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ユーロ/円は138円台へ上昇の可能性あり。
それを示唆する2つの条件とは?

2012年12月07日(金)14:58公開 (2012年12月07日(金)14:58更新)
陳満咲杜

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■ドラギECB総裁の発言でユーロが下落

 為替マーケットは一進一退しながら、米ドル安、円安の基調を保ってきた。

 ただし、昨日(12月6日)のドラギECB(欧州中央銀行)総裁の発言でユーロの利下げ観測が高まると、ユーロは高値から大きく反落し、週初来(11月3日~)の上昇幅は帳消しになった

 本日(12月7日)は米雇用統計の発表もあり、短期スパンではもう1回荒れる可能性があるものの、基本的にはユーロの切り返しがここで頭打ちになるとは考えにくいのではないかと思う。

■ユーロ/米ドルの切り返しは少なくとも2013年春まで続く

 もっとも、ユーロにとって、肝心の問題はEU(欧州連合)ソブリン危機の処理であり、金利水準はあくまで二の次である。

 スペイン危機にしてもギリシャ問題にしても、それが一段落してきた足元では、利下げ云々でユーロを売り込むには限界がある。

 ユーロ/米ドルは、2008年のリーマンショック以降2回ほど大きなリバウンドを展開していたが、下のチャートで示したように、2回とも約1年前後の切り返しを果たしていた。

ユーロ/米ドル 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 2012年7月末安値を起点とした今回で、3回目の切り返しとなるが、まったく同じスパンとリズムで考えるには限界があるものの、足元まで5カ月足らずの切り返しではどう考えても短すぎる

 したがって、少なくとも2013年春までユーロの切り返しが続くという見方のほうが適切であろう。

 実際、いわゆるファンダメンタルズの弱さに着目し、また2012年7月安値からだいぶ戻ってきたことを理由に、巷では、ユーロ高が長く続かないといった先入観から売りを仕掛ける向きが多いようだ。

 が、マーケットにおける需給関係からみれば、切り返しの途中におけるショート筋の「レベル売り」は、むしろこれからの続伸の土台になる公算が大きい。

 相対取引となる為替マーケットでは、ロング筋の総撤退で下げが加速し、ショート筋が踏み上げられたことで続伸していくといったケースは枚挙にいとまがない。

 よって、ユーロ売りで仕掛けたい筋が多いなら、ユーロ続伸のシナリオを強化する要素として、実に見逃せないと思う。

 その上、ユーロ/円の強さから考えても、ユーロ/米ドルの切り返しはしばらく続くといった見方に傾く。

前回のコラムでも強調していたように、ユーロ/円は重要なフォーメーションをブレイクしており、しばらく強気変動が続くはずだ。

 よって、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)であるユーロ/円の上昇は、米ドル/円のブル(上昇)トレンドはもちろん、ユーロ/米ドルの切り返しも土台とする必要があるから、安易なユーロ売りは避けるべきであろう。

【参考記事】
「本格的な円安」時代の幕開けか?ユーロ/円に点灯した重要なサインとは?(11月30日、陳満咲杜)

■条件つきダイアゴナル・トライアングルをブレイクすると…

 ユーロ/円に関しては、やはり前回提示したチャートのとおり、2008年安値および2009年高値から引かれたダイアゴナル・トライアングルの上放れが重要である。

【ダイアゴナル・トライアングルに関する参考記事】
宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある

【参考記事】
「本格的な円安」時代の幕開けか?ユーロ/円に点灯した重要なサインとは?(11月30日、陳満咲杜)

 なぜなら、単純にテクニカルアナリシスの視点からすると、ある条件つきのダイアゴナル・トライアングルのブレイクは、大幅な反動をもたらすからである。

ユーロ/円 週足(11月30日掲載、クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 良い例として、2007年11月高値からの英ポンド/米ドル急落が挙げられる。詳細は以下のとおりだ。

 2001年6月安値から英ポンド/米ドルは5波上昇構造をもって2007年6月にて高値をつけたが、その最終波である第5波は典型的なダイアゴナル・トライアングルというフォーメーションを示し、その完成と下放れをもって後の英ポンド暴落を引き起こした。

英ポンド/米ドル 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 注意していただきたいのは、ダイアゴナル・トライアングルは往々にしてメイン波動の最終段階に出現し、また最終段階に出現しないと、先ほど述べた「条件」を満たせないことだ。

■2つめの条件はサイクルの終点に合致すること

 一方、この1つめの条件だけでは物足りない。2007年6月高値を起点とした英ポンドの暴落は、今となっては誰でもリーマンショック云々と原因を指摘できるが、本当のところは英ポンドのプライマリーサイクルに起因している部分が大きい

 下のチャートは筆者が2009年2月に使ったものだが、英ポンド急落の理由をよく説明できると思う(※)

(※筆者注:安値の部分、「1995.2」は「1993.2」の間違いだった。チャートを作成した当時のミスなので、そのまま開示しておく)

英ポンド/米ドル 月足(2009年2月作成)

 上のチャートを見てわかるように、英ポンドのプライマリーサイクルが8年の周期を示唆している以上、2007年6月の高値から急落してこないと、なかなか8年サイクルのボトムをつけられないので、英ポンドは暴落する運命にあった

たまたま材料として「リーマンブラザーズ」の倒産があったが、本当は「リーマンシスターズ」でも何でも構わない、何らかの材料で英ポンドは押し下げられる「定め」にあった。

 話が長くなったが、要するに2番目の条件は、サイクルの終点(新しいサイクルの始点)に合致することである。

■ユーロ/円は138円台を回復する可能性も

 この2つの条件からもう1回、ユーロ/円を見てみると、前回のコラムで述べたとおり、ユーロ/円はこういった条件を満たしているから、大幅な反騰余地があると思う。

【参考記事】
「本格的な円安」時代の幕開けか?ユーロ/円に点灯した重要なサインとは?(11月30日、陳満咲杜)

 どれぐらい反騰するかというと、前述の英ポンド/米ドルほど激しくなくても、テクニカルアナリシスの視点では、往々にしてダイアゴナル・トライアングルの起点まで戻ることが多い

 そうなると、いつか2009年高値の138円台を回復してもサプライズではないし、その進行スピードも大衆の想定より早いのではないかと思う(もっとも、大衆の思うとおりにいかないのは相場の常であるが…)。

 足元のユーロ/円のレベルから見れば(一時108円大台に迫ったとはいえ)、前述の上値余地は何だか「現実的」ではないと思われることも容易に推測される。

 しかし、2007年後半の米ドル/円の80円割れや英ポンド/円の130円割れといった予測も同じく、当時はとても「現実的」には聞こえなかったことをぜひ思い出していただきたい。

 ファンダメンタルズはどうあれ、相場はいくべきところにいく。だから、賢い投資家は相場の内部構造に焦点を合わせる以上、相場の「ロマン」も十分楽しめるはずだ。

 嫌味に聞こえるが、周囲の「俗者」の疑いが深ければ深いほど、相場の「ロマン」の程度も大きくなることを重ねて記しておきたい。

■米ドル/円はいつか110円台を回復することに

 当然のように、ユーロ/円に当てはまるこの2つの条件を、そのまま米ドル/円に照らしてみれば、大きなヒントが得られるだろう。

 本コラムで繰り返し指摘してきたように、米ドル/円は2011年10月31日安値をもって16/17年サイクルのボトムをつけた公算が大きい以上、最終下げ変動で形成されたダイアゴナル・トライアングルの上放れは大幅な反騰余地を示唆している。

【参考記事】
【2012年相場見通し】米ドル/円の16~17年サイクルは2011~12年の底打ちを示唆!(2011年12月26日、陳満咲杜)

米ドル/円 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 単純にテクニカルアナリシスの視点では、2008年高値から形成されたダイアゴナル・トライアングルの上放れが確認された以上、同フォーメーションの起点となる2008年高値の110円台をいつか回復することになる

 また、こういった値幅をもった5年、10年の周期だけではなく、より長いスパンでのトレンドの反転、つまり円安時代の幕開けを告げるサインが点灯するだろう。続きはまた次回に。

(12月7日 AM11:00執筆)

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西原宏一