■ドラギECB総裁の発言でユーロが下落
為替マーケットは一進一退しながら、米ドル安、円安の基調を保ってきた。
ただし、昨日(12月6日)のドラギECB(欧州中央銀行)総裁の発言でユーロの利下げ観測が高まると、ユーロは高値から大きく反落し、週初来(11月3日~)の上昇幅は帳消しになった。
本日(12月7日)は米雇用統計の発表もあり、短期スパンではもう1回荒れる可能性があるものの、基本的にはユーロの切り返しがここで頭打ちになるとは考えにくいのではないかと思う。
■ユーロ/米ドルの切り返しは少なくとも2013年春まで続く
もっとも、ユーロにとって、肝心の問題はEU(欧州連合)ソブリン危機の処理であり、金利水準はあくまで二の次である。
スペイン危機にしてもギリシャ問題にしても、それが一段落してきた足元では、利下げ云々でユーロを売り込むには限界がある。
ユーロ/米ドルは、2008年のリーマンショック以降2回ほど大きなリバウンドを展開していたが、下のチャートで示したように、2回とも約1年前後の切り返しを果たしていた。
(出所:米国FXCM)
2012年7月末安値を起点とした今回で、3回目の切り返しとなるが、まったく同じスパンとリズムで考えるには限界があるものの、足元まで5カ月足らずの切り返しではどう考えても短すぎる。
したがって、少なくとも2013年春までユーロの切り返しが続くという見方のほうが適切であろう。
実際、いわゆるファンダメンタルズの弱さに着目し、また2012年7月安値からだいぶ戻ってきたことを理由に、巷では、ユーロ高が長く続かないといった先入観から売りを仕掛ける向きが多いようだ。
が、マーケットにおける需給関係からみれば、切り返しの途中におけるショート筋の「レベル売り」は、むしろこれからの続伸の土台になる公算が大きい。
相対取引となる為替マーケットでは、ロング筋の総撤退で下げが加速し、ショート筋が踏み上げられたことで続伸していくといったケースは枚挙にいとまがない。
よって、ユーロ売りで仕掛けたい筋が多いなら、ユーロ続伸のシナリオを強化する要素として、実に見逃せないと思う。
その上、ユーロ/円の強さから考えても、ユーロ/米ドルの切り返しはしばらく続くといった見方に傾く。
前回のコラムでも強調していたように、ユーロ/円は重要なフォーメーションをブレイクしており、しばらく強気変動が続くはずだ。
よって、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)であるユーロ/円の上昇は、米ドル/円のブル(上昇)トレンドはもちろん、ユーロ/米ドルの切り返しも土台とする必要があるから、安易なユーロ売りは避けるべきであろう。
【参考記事】
●「本格的な円安」時代の幕開けか?ユーロ/円に点灯した重要なサインとは?(11月30日、陳満咲杜)
■条件つきダイアゴナル・トライアングルをブレイクすると…
ユーロ/円に関しては、やはり前回提示したチャートのとおり、2008年安値および2009年高値から引かれたダイアゴナル・トライアングルの上放れが重要である。
【ダイアゴナル・トライアングルに関する参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある
【参考記事】
●「本格的な円安」時代の幕開けか?ユーロ/円に点灯した重要なサインとは?(11月30日、陳満咲杜)
なぜなら、単純にテクニカルアナリシスの視点からすると、ある条件つきのダイアゴナル・トライアングルのブレイクは、大幅な反動をもたらすからである。
(出所:米国FXCM)
良い例として、2007年11月高値からの英ポンド/米ドル急落が…
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