■為替市場は一段と米ドル安、円安に
為替マーケットは一段と米ドル安、円安の様相を深めている。
目下のユーロ/円の高値更新が市況を説明する好例となろう。
ユーロ/米ドルの軟調はユーロの上昇を支え、米ドル/円の上昇は円を押し下げるから、ユーロ/円のブル(上昇)トレンドは、自然の成り行きである。
もっとも、ユーロ/円に関して、高値更新の可能性は、単純にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)通貨ペアの性質のみではなく、ユーロ/円自体の内部構造に基づいている側面が大きい。
ちなみに、一口にクロス円と言っても、インターバンク市場で直接取引されるユーロ/円と、ほかのクロス円、つまり米ドルを介して単純計算されたクロス円とには、その重要性において雲泥の差がある。
下のチャートは7月27日(金)の本コラムにて提示したもので、3つのテクニカル要素から、ユーロ/円の底打ちを予測していた。 その3つのテクニカル要素とは(1)11/12年サイクルの終焉、(2)下落ウェッジの形成とサポート、(3)RSI強気ダイバージェンスの長期構築である。
【参考記事】
●ドラギ総裁発言でユーロが激しく上昇!平凡な発言内容になぜ激しく反応した?(7月27日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
したがって、足元までのユーロ/円の続伸は、7月の底打ちを継承した一貫したトレンドであり、当然の成り行きと言える。
言い換えれば、7月末から足元まで、賢いトレーダーは一貫してロングのみで対応してきたはずだ。
なぜなら、メイントレンドに沿ったポジションが結果的に賢いポジションであることを、賢いトレーダーは知っているからだ。
やや過激な言い方をすれば、個人投資家が取引で成功を収める随一の道は、意図的かつ徹底的に逆張りのトレードを排除することである。
■ユーロ高・円安トレンドを知らせる重要なサインとは?
ところで、足元のユーロ/円だが、中長期スパンにおける方向性を示す重要なサインが点灯しているので、見逃せないと思う。そのサインは以下のチャートのとおりである。
(出所:米国FXCM)
このサインはほかならぬ、2008年安値や2009年高値から引かれた「下落ウェッジ」の上限ライン、つまり抵抗ラインをブレイクしたことである。
何だ、これだけか?とがっかりする読者もいらっしゃると思うが、「これだけ」のサインを馬鹿にできない根拠がある。下のチャートをご覧いただきたい。
(出所:米国FXCM)
上のチャートは米ドル/円の週足となるが、筆者が繰り返し指摘してきたように、米ドル/円は2011年10月31日安値からすでにブル相場に転換しており、これからもブル相場が続く公算が大きい。
こういった結論はいろいろな視点で検証されているが、それらのうち、米ドル/円が2012年2月において急伸し、2008年の高値・安値から引かれた下落ウェッジの上放れ(ブレイク)を果たしていたことも、大きな手掛かりであった。
というのは、下落ウェッジというフォーメーションは…
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