ここ最近、日本の政局のせいもあって、為替相場の注目は日本円がらみに集まっていたのだが、昨日の欧州市場ではドル円はあんまり動かずで、ユーロが上がった。ユーロドルは7月以来の、すなわちドラギ総裁の「案でもやる」発言以降のマックス戻し高値が1.3180あたりであった。
そこで何度か止められてもいたので、目先のレジスタンスを形成してもいたようだ。それがようやく、ほんの数ポイントではあったがブレークに成功。ちょっともんだ後に、ニューヨーク勢が参入してきて上げは加速。1.32台まで到達。1.32台に乗せてからは、一度も大台を割り込んでいない。
ニューヨーク時間ではアメリカの財政協議の行方について進展が見られた。オバマ政権の側が妥協を示したのだ。所得増税の対象になるのは年収40万ドル以上に限ること、社会保障の面でも多少の調整を加えることなど。この第2案がそのまますんなりと共和党に受け入れられるかどうかは別として、ともかくも大統領サイドからの歩み寄りの姿勢が見出されたということになる。
これにマーケットは安心感を得たようだ。年末までの妥協も可能であろうとの楽観的な見方が優勢となって、大いにリスクテークが進んだ。米国株の上昇にともない、クロス円は全面高で、円は独歩安となった。
そして今日のアジア市場でも流れは継続。10時の仲値決めに向かって円安が進んだので、日本株にも猛烈な買いが入ってリスクテークが強まった。しかし円売り需要は邦銀らの短期スペックがメインだったようで、仲値決めが終わるとドル円の上昇も一服。週初につけた今年の高値である84.48を越えられなかったことを確認してというわけでもないが、私はそこからドル円の売りで入った。84.36だった。
ここまで上がってきた相場なので、私もドル円を買いたいという思いもだいぶ強いのであるが、中途半端に高いところから手を出すくらいなら、本格的に上抜けしてからの方がいいと考えた。いまは最高値を重要なレジスタンスと信じて、とりあえず逆張りで攻めるしかない。
たしかにドル円の買い上げの勢いはおさまったものの、その代わりに急落するという感じでもない。下がっても84.25あたりがせいぜいだ。午前の日本株は買われはしたものの、日経先物は昨日の海外クローズである10040円の前後30円幅ほどの動きだった。それに比べて午後になると円相場の動向に関わらず、日本株のほうは大きな買いも入って高値追いの展開となった。明日の日銀会合への期待も高まっているのだろう。
でもまだ正式に政権交代をしたわけではないので、明日の決定会合では政策が変わる可能性のほうが少ないのになぁ。それでもドル円をショートしている私にとっては、株価の上昇はリスク許容度を増大させることにつながるので無視はできない。やむなく84.29で買い戻した。結局、10ポイントも取れなかった。まあ、それだけ値幅がないのだから仕方がないのだが…。
今晩も円売りがどこまで進むかに市場の関心が集まる。とくに日銀会合をひかえているだけ、なおさらだ。ドル円もユーロ円も今年の最高値をこなして上がっていくことができるのかどうか。ドイツの景況感やアメリカの住宅関連の指標が出るが、あまり相場を左右することはないであろう。言うまでもなく、アメリカの財政協議の行方に不透明感が増せば、それは即、リスク回避の動きとして現れる。
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