(「23歳の専業トレーダー・春香さん(4) FXで勝つ手法を作り上げる方法とは?」からつづく)
みなさん、こんにちは、葉那子です。
今回からまた新しいゲストのご登場です。
以前、ザイFX!TVにもご出演された、GCIキャピタル・チーフストラテジストの山岡和雅さんにお話をうかがってきました。
【参考コンテンツ】
●ザイFX!TV(原宿):ユーロ急落なんのその! FXの勝ち方読み方大全集!
山岡さんは、10年以上、インターバンクディーラーとしてご活躍された方で、為替に関する質問に分かりやすく答えてくださるということで、今回は年末年始にかけての大相場の背景をメインに、おもにファンダメンタルズに関する質問をいろいろとさせていただきました。
急速な円安は期待感の表れ
Q 2012年12月に安倍新政権が発足した前後で、米ドル/円を筆頭にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が大きく上昇しました。実際に具体的な政策が出る前から期待感だけで大きく上がっていきましたが、いったいどういう人たちが期待しているのですか?
個人ももちろんですが、生命保険会社のようないわゆる機関投資家と呼ばれる人たちやヘッジファンドなど、儲けるために為替相場を利用している世界中の人たちの期待感が年末年始の急激な円安につながったそうです。
相場というのは、基本的に期待感で動くのが一般的。
実際に何かの材料が出てから相場が動くということもありますが、お金の流れがありそう、という期待感だけでも市場は動きます。
理由は単純で、他の人より早く動かないと儲けるチャンスがないから。
先手必勝というわけです。
たとえば、教科書的に言えば、景気がよくなるとその国の通貨が高くなるものですが、実際に良くなったのを確認して上がるのではなく、良くなりそうだなという期待から動き出すのです。
そして今回の米ドル/円は、上昇のスピードが非常に速かったわけですが、それだけ安倍氏率いる自民党への期待の大きさが表れています。
安倍新政権に変わる以前までは、先進国の中で日本だけが通貨高、およびデフレの状況を放置していたと世界から思われていたようです。
そこへ、安倍政権に変われば、積極的な金融緩和を実施するのではないかという期待が世界中に広まり、米ドル/円を押し上げたのです。
こうしたファンダメンタルズの部分が円安トレンドのきっかけとなったわけですが、その後の加速の背景には「買い遅れてしまった人たち」の存在が大きかったようです。
今回の円安相場は、まさに相場の格言で言うところの「押し目待ちに押し目なし」状態で、米ドル/円、クロス円はほとんど押し目がないまま一本調子で上がっていきました。
この急激な動きの中でも、押し目を待たずして途中参加してくる実需に加え、投機目的の出遅れてしまった投資家たちも買いに参入してきたことで、ますます上昇が加速していったのです。
どこまで為替が動くかは誰にも分からない
山岡さんのところへ取材にうかがった2013年1月18日(金)時点の米ドル/円は90円台前半で推移していましたが、その後も大きな押し目がないまま2月1日(金)には一時、92.9円台まで上昇しました。
山岡さんも「どこで止まるかは誰も知らない」とおっしゃっていましたが、本当にそのとおりですね。
もちろんこのまま押し目もなく100円!というのはさすがに考えにくいですが、1995年に80円をつけた後、数年かけて140円にまで円安が進んだという過去もあることから、ゆくゆくは100円を目指す可能性は十分にあるともおっしゃっていました。
これから参加するトレーダーが気をつけることは?
Q 2013年、まだ円安が続くと見込んでこれから参加してくる一般の個人投資家の方もいると思いますが、その際に注意すべきことは何ですか?
まずは、自分の投資の期間を意識すること。
たとえば、1年持つつもりのポジションと、明日までのポジションとでは、張る場所も張る額も違ってきます。
よくやってしまいがちな間違いとしては、明日まで持つつもりのポジションが逆行してしまったからという理由で長期ポジションに都合よく変えてしまうことだそうです。
こんなことをしていてはリスクコントロールがうまくいきません。
仮にこの後、円安傾向が続くとしても、1円の押し目もないまま110円になるというのは考えにくいでしょう。
時間をかけて110円まで上昇することはあっても、どこかで2、3円の下げはあるはずです。
そんな時に大きな枚数を張ってしまっては、大きな含み損を抱えるだけでなく、強制ロスカットになってしまうこともあり得ます。
そうした事態も想定し、自分のポジションの期間と金額をうまくコントロールしなければいけないのです。
一番大事なのは期間を混同しないこと、だそうです。
自分の投資期間をしっかり決めること!
また、止め時も最初から考えておき、ストップ(注文)だけはきちんと置くことももちろん大事です。
順行して利益が出ている時は最初の予定よりもターゲットを伸ばしてもいいそうです。
個人的には損切りよりも利を伸ばすほうが難しいと感じるのですが…。
とにかく、リスクとリターンのバランスがしっかり取れていれば、最終的には儲かると山岡さんはおっしゃっていました。
あとは入り時ですね。
どこでエントリーしたらいいか、分からない!
あとから振り返ってみれば、米ドル/円のロングポジションを持っていればよかったというのは誰にでも分かることです。
ただ、どんどん上昇していくのを実際に見ながらも飛び込むことができなかったという方もいるのではないでしょうか?
はい、私です(笑)。
エントリーするのが怖いと感じる時はどうすればいいのかとうかがったところ、「少しだけやる」というアドバイスをいただきました。
たとえば、普段10万ドルでトレードをしている人であれば1万ドルだけポジションを持ってみるとか。
いつもの10分の1だけ、打診買いをしてみよう
どうしても最初に自分の取引する金額で全力で入ってしまうと、下がってきた時に恐怖を感じてしまいます。
方向性が決まっているのであれば、少額から打診で買っておくと、その後、上がったところで買い増しても平均コストは下がります。
そうやってポジションのバランスを考えてやるしかないのだそうです。
さて、そんな大相場の中、よく耳にしたのが「オプションバリア」という言葉です。
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なんとなくバリアという言葉の響きから、そこが抜けにくい水準なんだろうなという想像はできましたが、実際どういうものなのでしょうか。
たとえば91円にオプションの行使価格があるとすると、バリアというのは91円の手前にあります。
つまり、91円がついてしまうと、そのオプションを買っている人は損をするわけです。
そのため、91円のオプションを買っている人たちは、91円がつかないように90円90銭~95銭あたりで頑張って売るため、91円がなかなかつかない状況が発生するのです。
ただし、万が一、努力むなしく91円を抜けてしまった時というのは、行使価格を抜けたことでオプションのペイアウトを受け取ることができなくなるだけでなく、91円をつけさせないために手前で売っていたポジションも買い戻さなければいけないため、まとまった買いオーダーも入り、上昇に勢いが出るのが一般的だそうです。
なので、91円にオプションバリアがあるということが分かっている時の行動としては、まず1つはその近くでは買わないようにするということ。
そして買うのであれば、抜けてからにすること。
オプションバリアの近くでは買わないこと!
逆に、91円の少し手前で逆張りの売りから入る手法もあるようです。この場合、91円の少し上にストップを置いておきます。ただ、結局バリアの大きさがどれくらいかというのは、オプションを買っている本人たち以外はなかなか分かりづらいもの。
だいたいの水準は分かっても、金融機関にとっては大事な顧客情報をそうそう公にすることはできません。
なので、情報量が少ない個人投資家が安易にオプションの手前で逆張りをするという方法はおススメしないと山岡さんはおっしゃっていました。
ただ、今は個人でもインターネットでオプションの情報を探そうと思えば探せるということで、信憑性のあるオプションバリアの情報があれば、ごく短期取引でバリアを活用することもできるようです。
オプションバリアは、90円など新規の大台にある
あとは、たとえば90円、91円といった新規の大台にはオプションが集まりやすいそうなので、今の相場のように新値をつけてどんどん上がっていっている時は、節目節目にオプションバリアがあると思ってもいいそうです。
それでも、今のような勢いのある相場で逆張りをするというのはリスクが大きいので、トライしてみようと思った方はくれぐれもストップだけはきちんと置いて試してみてください。
(「ファンダメンタルズの賢者・山岡和雅さん(2) 欧州問題は2月のイタリア総選挙次第!?」へつづく)
【葉那子のトレード報告 2012年1月28日(月)~2月1日(金)】
1勝2敗1分
勝ちトレード:ユーロ/米ドル +59.7pips(+2,725円)
負けトレード:英ポンド/米ドル -32.9pips(-1,502円)、ユーロ/米ドル -23.7pips(-1,077円)
引き分けトレード:英ポンド/米ドル +0.6pips(+27円)
合計収支:+173円
口座残高:9万3222円
2013年、初の勝ちトレードがあったのですが、それを打ち消すように2回の損切りトレードもあったため、1週間のトータルでは微益という結果になりました。
周りの方からも損切り幅が狭いのでは、というご指摘をいただいたので、今週はいつもより広めにしてみたものの、結局、ただマイナスが大きくなってしまっただけでした。
(取材・文/葉那子 撮影/和田佳久)
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