(「ファンダメンタルズの賢者・山岡和雅さん(2) 欧州問題は2月のイタリア総選挙次第!?」からつづく)
みなさん、こんにちは、葉那子です。
引き続き、GCIキャピタル・チーフストラテジスト、山岡和雅さんのご登場です。
【参考記事】
●ファンダメンタルズの賢者・山岡和雅さん(1) 円安相場に今から参戦するテクニック
●ファンダメンタルズの賢者・山岡和雅さん(2) 欧州問題は2月のイタリア総選挙次第!?
今回は、山岡さんが銀行時代にスゴい!と思ったディーラーさんのお話と、2013年、全体の相場予測のお話をご紹介したいと思います。
Q 個人的にスゴいと思うトレーダーさんとか、ディーラーさんはいますか? 過去でも現在でも。
「ディーラー時代にはいましたよ、何名か。たとえば、最初に入ったチェースマンハッタン銀行東京支店に、Iさんというすごい収益を上げる方がいました。メインはフォワードという、金利、先物関係のディーリングをされていたのですが、1人でものすごく稼ぐ方でした」
なんと、何十人といるディーリングデスクの収益のうちの半分はIさんが稼いでいたそうです。
スゴいディーラーは平常心を保てる人
「Iさんはここぞという時は大きく張るんですが、そういう時の気持ちの強さは一番でした。人のお金であろうと、やはり大きい金額はドキドキするんですよ。でもIさんはそこに対してあまりにも無頓着に見えるんです。実際は気の細やかな方なのですが、平常心を保てる人なのでしょう。
よく相場では「平常心を保て」と言うじゃないですか。そんなこと僕は基本的には不可能だと思っています。自分のお金を賭けて負けていたらアツくなりますよね。でもIさんは冷静な判断ができる人でした」
ただし、山岡さんを含め、ほとんどの方は負ければアツくなるし、勝てば浮かれてしまうのが現実です。
そうした中で正しく判断するために山岡さんが心がけていたのが、事前にルールを決めて、最初に決めたストップを変えないこと。
「自分のルールを決めておけば、どんなにアツくなってもそこで止められますよね。でもIさんはそうしたことをしなくてもきちっと判断できていて、それがスゴいなと思いました」
そしてもう1人、山岡さんがスゴイと思ったディーラーさんは、RBS(ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)で去年まで米ドル/円を担当していた方だそうです。
「非常にバランス感覚の取れた取引をする方で、コンスタントに稼ぐならこの人が一番スゴいだろうなと思って見ていました。
上がる時は常にロングを持っていて、下がる時はショートを持っているんですよ。これは確実だと思ったらドンと大きく張り、よくわからない時はポジションが小さかったりして、自分なりのバランス感覚がものすごく優れている方でした。
この2人は自分が逆立ちしても勝てないなと思う人たちです。僕ではここまでのセンスはないなと思いましたね」
飛び抜けた成績を出す方というのはやはりセンスがあるようですね。ただし、そういう方は、センスだけではなく、努力も人一倍していたと山岡さんは言います。
日々努力を積み重ねれば、5年後に差が出る
「最初のIさんも一番稼いでいましたが、朝は一番早く来ていました。新人の出社時間、朝6時30分にはIさんも確実にいるんですよ。Iさんは始発で来て、日々、情報収集をきちっとするという努力も欠かさない方でした。そういう積み重ねは5年後に差が出ますよね」
日々の努力を積み重ねていくというのは、プロのディーラーさんでも個人投資家でもいっしょです。
テクニカルとファンダメンタルズは両方必要
また、個人の方には「テクニカルは好きだけど、ファンダメンタルズは嫌だ」という方がいますが、山岡さんはそれではダメだと言います。
「それは結局、片側を自分で縛っているわけで、絶対不利ですよ。両方できる人と片方しかできない人がいたらそれは勝率変わりますよね。
為替市場は公平な市場と言いますが、実際、本当にそうなんです。どんなプロも、よくわからないけどやってみましたという人も同じ土俵に立っているわけです。そうなると勝率の差は出ますよね。
当然わかってない人が勝つこともありますが、それが1年、2年、5年となると結構な差が出ます。
テクニカルは過去の値動きを元に先を予想するものです。過去の値動きになかった新しい材料がものすごく大きかった場合、テクニカルだけでは対応が難しいんです。
とはいえ、テクニカルを使うなというわけではまったくありません。
押し目を測る時、調整が入った時にどこで止まるかとか、利益をどこで確定させればいいかなど、何銭という水準の話をする時にテクニカルは絶対有効ですし、両方知っておいたほうがいいんですよ」
山岡さんもご自身でトレードをされる際は、大きな流れをファンダメンタルズで判断しているそうです。
実際に私も、テクニカル的に行き過ぎの水準になっていてもおかまいなしに上昇を続けた2012年末からの円安相場を見ていて、ファンダメンタルズの重要さを実感しました。
こうした政治相場もあるということを知っているのと知っていないのとではやはり違います。
2013年はファンダメンタルズも考えながらトレードをしなければいけませんね。
2013年の為替予測は?
では、最後に山岡さんの2013年の相場予想についてうかがいました。
「基本的には円安の継続を見ています。特にその中でもユーロ/円なのか米ドル/円なのかは、今後の方向性次第だと思っています。ただ、主要通貨の中で、英ポンド/円だけは買いたくないです。
まず、今一番弱いと思っているのが円で、その次に来るのが英ポンドだと思っています。
イギリスは今、景気が弱く、経済成長率の見通しがあまり強くありません。
英ポンドは円とか他の通貨と違い、景気を浮揚させるための金融緩和がやりにくいんです。なぜかと言うと、目標値が2%のインフレ率が今は2.7%と高いから。
食品価格が上昇しているため、年の半ばにはインフレ率が3%を超えるとも言われています。
景気回復のための金融緩和がしにくく、今後の経済成長見通しが先進国の中で一番厳しい状態となっているのがイギリスなわけです。
円安の流れで英ポンド/円は上がっていますが、ユーロ/英ポンドはユーロ買い・英ポンド売りになっていて、英ポンド/米ドルでも苦しい状況が続いています。
そして、米ドルとユーロに関しては今のところどちらが強いというのはまだわかりません。
アメリカは景気はいいのですが、3月に先延ばしした財政の崖の残りがまだわからないので何とも言えないですね。
なので、いったんフラフラするかもしれないですが、最終的には景気回復期待が一番強いアメリカの米ドルが強いと思います。
経済の教科書的な話ですけれど、結局は一番、経済成長率が高いところにお金は集まるのです」
強い米ドルが買われ、弱い円が売られるわけですから、やはり2013年の注目は米ドル/円ということになるわけですね。
山岡さん曰く、米ドル/円は「水準に気をつけて、買い場さえ作れれば儲かるマーケットになってくれる」ということなので、私もファンダメンタルズの情報も上手に利用しながらトレードができるようになりたいと思います。
(「葉那子が本気で挑む「FX道!」特別編(1) ローラと葉那子の隠された因縁とは!?」へつづく)
【葉那子のトレード報告 2012年2月11日(月)~2月15日(金)】
1勝0敗
勝ちトレード:英ポンド/米ドル +64.1pips(2996円)
合計収支:+2996円
口座残高:9万4802円
先週はすっきり1勝で終わったので、久々のプラスとなりました。
2月13日(水)に英ポンド/米ドルをショートエントリーしたのですが、この時はキングBOE総裁が発言をしていたこともあり、かなりボラティリティが高い状態で、エントリーから20分ほどでターゲットまで到達するというラッキーなトレードでした。
さらに動きに勢いがあったので、60pipsを少し超えたところで利確。
記事の中で山岡さんもおっしゃっているように、今の英ポンドはファンダメンタルズ的にもショート優勢ということで、テクニカル的にもショートチャンスの時は自信を持ってエントリーすることができました。
いつもこれくらいストレスフリーなトレードができればいいのですが、そう簡単にはいかないと思うので、今週からもまたじっくりチャンスを待ちたいと思います。
(取材・文/葉那子 撮影/和田佳久)
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