■G20の内容は、手放しで喜べるものではない
2月15日(金)に、モスクワでG20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)が開催されました。事前に開催されたG7(7か国財務相・中央銀行総裁会議)での内容は先週の当コラムで紹介していますが、今回はG20での合意内容について考えてみたいと思います。
【参考記事】
●G7声明文はユーロ高・円安懸念への配慮。株高・円安はもう少し続く! G20に注目!(2月14日、今井雅人)
G20の要旨は、以下のとおりです。
・ より一層市場で決定される為替レートシステムに迅速に移行する
・ 通貨の競争的な切り下げを回避する
・ 金融政策は、国内の物価安定と景気回復を目的とするべき
・ 為替の無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を与える
・ 世界経済のリスクは軽減されたが、下方リスクは依然高い
・ 世界経済の回復を支える中期的な財政健全化策を確保する
まず、日本を名指しするようなコメントとならなかったので、一層の円安・株高を期待する人にとっては朗報だったと言えるのではないでしょうか。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
(出所:株マップ.com)
日本としては、現在のアベノミクス(※)における金融政策は、まさに国内の物価安定と景気回復が目的で、通貨の切り下げ競争をしているのではないという主張ができるわけです。
ただ、手放しで喜べるほど、ことは単純ではありません。
(※編集部注:安倍首相が主張する経済政策の造語)
■各国の日本に対する目は厳しいだろう
G20メンバーであるメキシコのカルステンス中央銀行総裁は、講演の中で「日本やスイスといった国が主導する形で、為替政策を使って競争力を高め、輸出を伸ばすという傾向が生まれている」と発言。
ここでは、日本を名指しで非難しています。また、欧州や韓国なども日本に対する不信感を持っていることがわかっています。
安倍総理は、これまで日銀による外債の購入も検討に値するという発言をしていましたが、これこそ円安誘導だと批判される政策であり、今後は、これを封印せざるをえなくなっています。
各国からの日本に対する目は、今後とも厳しいでしょう。
現在は、IMF(国際通貨基金)や米国が日本支持に回ってくれているため安心感がありますが、円安が進むとしても、これまでよりは緩やかなものになる可能性が高いという認識を持っておく必要がありそうです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
事実、2013年2月に入ってからの市場は…
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