昨日の欧州市場では、ドル円は99.65で、ユーロドルは1.3090で始まった。どちらもここ最近のレンジからすれば、とても高い。とくにドル円は100円を意識しての動きなので、99.70アッパーは神経質にならざるをえない。つまり心理的な節目を必要以上に意識しているわけだ。
確かに短期のスペック勢だけでなく実需筋、たとえば日本の輸出勢なども、スワップポイントを込みでもスポットが100.20アッパーであれば、100円で3カ月から6カ月の輸出予約を組めるレベルでもある。当然のことながら、需給的にも上値の重さは想像に難くない。それならば100円を越えたらロスカットすればいいやと思いながらも、99円台の中盤より高いところは売りづらいものだ。
欧州株は高かったが、とくにリスクテークが激しくなるわけでもなく、ただロンドンネームによるユーロポンドの買いが出たようで、ユーロクロスが高い。ユーロドルも1.31台に乗せてきて、ちょっと下がらない感じだった。
アメリカの失業保険の数字は、最近はよく予想から乖離することが多い。だからあまりそれに向かってポジションを作ろうとは思わなくなっているのだが、それでも出てきた結果に対しては敬意を表して対処しなければならない!と思って、良かった指標に対して、ドル円を99.48で買っていったのだが、すぐに下がってしまった。
何が起こっているのか、わけもわからず、置いておいた99.30のストップ注文もダンになった。なんでも夕方の日銀の意見交換会の内容が漏れ伝わってきて、黒田総裁が「資産バブルの兆候が見えれば柔軟に対応していく」と発言したらしく、それがドル円やユーロ円での円ショートポジションの縮小に向かわせたようだ。つまり無制限には円安が進むことは許さないと解釈してのことであろう。夕方の話なので、いまさらこんな時間になってから蒸し返さなくてもいいのに…。
米国株は先週末の雇用統計でちょっと下げて以来、今週は上げ相場が明瞭になっている。連日のように米国株は今年の最高値、すなわち歴史的な高値も更新してきて、なかなかディップもない。昨日のニューヨークオープンからすぐに、S&P500指数も2007年につけたこれまでの最高値を抜けてきて、リスクテークに勢いづく。私は寝てしまっていたが、夜中の3時過ぎにはドル円は99.95の、ユーロ円は133.11まで高値をつけたようだ。
今日の早朝には仕掛け的なポジションメークの円売りが見られなかった。ちょっと拍子抜けだ。東京時間ではどちらかというと、ドル円もユーロ円もやや重い感じ。だからといって下攻めをしていく感じでもなかった。ドル円は昨日の安値である99.10と一昨日の安値である98.90あたりが直近のサポートとしてワークすることになりそうだ。
今晩はアメリカの小売売上高が注目だ。その前に金融機関の決算も出てくる。小売売上はあまり良くないというコンセンサスになっているが、米国株がとても高いところに位置しているので、リスクの観点からもこの指標は重要だ。あまり良くないとされている分、もしも予想よりも良いようなことがあれば、米国株は高値更新、そしてドル円も一気に100円突破となるかもしれない。
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