昨日はアジア時間でドル円は98円ちょうどをはさんでの行ったり来たりだった。G20での意向が気になっているのが、よくわかる。日本に対する名指しの非難が出てくるのかどうかというのは、前回2月のモスクワでのG20会議と同じだ。あの時は名指しがなかったものだから、今回もあからさまな名指しはないものと思われている。
そういう楽観的なほうの見方が台頭しているので、ドル円も98円台であってもリスクヘッジの売りも出てこず、高いままである。それでもいちおうの高値警戒感はあって、97円台に沈んでくると急に恐怖心が現れてきて、マーケット全体がリスク回避モードに入ってしまう。
昨日の欧州序盤も98円台の前半で始まった。そうなると多少の安心感からリスクテーク気味になる。欧州株もショートカバーが先立って、グローベックスでの米国株も高値攻め。ドル円も98.50あたりまで戻ってきた。当面は97.50から98.50までのレンジ相場だろうとは思っていても、その両端で逆張ることはなかなかに難しい。
実際に高いところなのだから、買い圧力も強いわけで、みんなが買わねば!というムードに包まれてつつ白眼をむいているなかを平気で売り込んでいくのは別の無神経さが必要になる。そういうわけで私はこのへんではドル円を売らなければと思いながらも、手が出せなかった。
次のチャンスとして米企業決算でも見るしかない。モルガンスタンレーの利益は市場予想を若干だけ上回ったが、それでも相場の反応はほとんどなかった。経済指標ではどうか。失業保険はほぼ予想通りだったが、厳密にいうと予想よりも悪かった。それを契機にドル円は下がり始めたので、私も売って見たが、5ポイントしか取れなかった。すぐに98円ちょうどを割れるというほどの材料でもない。しかし米国株は下げ幅を拡大してきた。
これはドル円を売っていっても大丈夫だろうと思って、98.11で売っていった。フィリー指数が悪かったのだけれども、ドル円は瞬間的に98円割れしただけで、すぐに98円台に戻ってきた。すでにワシントンでG20は始まっているだろうに、それでもドル円の腰は強い。まったく日本が批判されないだろうとでも言いたげだ。安心しきっているプライスだ。私もすぐに買い戻しを迫られた。こんな状況ではドル円やユーロ円のショート攻めはまったくワークしないものだ。ばからしくなってポジションはスクエアに戻した。
昨日のニューヨーク市場では株価が大きく下げる局面があって、米国株は雇用統計の出たとき以来のレベルまで下げた。もちろん爆弾テロなどを嫌ってのリスク回避であることはまちがいないが、ニューヨーククローズ後にマイクロソフトやグーグルの決算がアナリスト予想を上回ったことで、時間外取引において何とか下げ分の半分を取り返してきているという格好だ。
そうした動きも関係しているのか、ドル円は98円台にステイしたまま、やはりずっと強かった。東京時間のランチタイムには98.60台まで上がって、その後のディップも限定的である。G20筋からの話で、日本の政策に反対する意見は出なかったということが伝わったかららしい。こうなったら私も素直にドル円はロングで持つしかないと、高値追いで98円台のミドルでロングにした。
そして欧州市場ではついにドル円は99円台に乗ってきた。G20からは日本批判は出ないということで、円売りに拍車がかかったものであろう。こうなってくると今年の高値である99.95を今晩中にも越えるのかどうかが注目となってくる。 ニューヨーク時間の午後になってもドル円が99円台にいたならば、翌週のラリーに向けて少し買い増ししておいてもいいのではないか。逆に下がっていたならば、ショートをつくり直して週を越したいところである。
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