■米金融緩和縮小の可能性示唆で米ドル急騰!
みなさん、こんにちは。
5月22日(水)には、これからの米ドルのゆくえを左右する重要イベント、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言と、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の発表がありました。
これらの発表後は、「米労働市場が引き続き改善した場合、米金融当局が緩和策を縮小する」との見方が広がりました。
それに呼応して、米国株は下落し、豪ドル/米ドル、米ドル/スイスを中心に、米ドルは急騰しました。

(出所:米国FXCM)

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■相次ぐ悪材料で豪ドル/米ドル続落!
注目は、引き続き豪ドルです。
5月22日(水)に日米における重要イベントがあったため、メディアでは大きく取り上げられませんでしたが、市場関係者の注目を集めたのが下記の話題。
中国工商銀投資から撤退 米ゴールドマン、11億ドルの株式売却
米ゴールドマン・サックスは保有していた中国工商銀行の株式11億米ドル(約1130億円)相当を売却し、7年間にわたった同行投資から撤退した。関係者1人が明らかにした。
情報が非公開であることを理由に同関係者が匿名で語ったところによれば、ゴールドマンは工商銀の株式を1株当たり5.50香港ドルで売却した。時価総額で世界最大の銀行である工商銀の株価は20日の香港市場で前営業日比1.4%高の5.64香港ドルで終了。過去1年間の上昇率は22%となった。
ゴールドマンが工商銀の株式を最初に取得したのは2006年。その際の取得額は25億8000万ドルだった。ブルームバーグのデータによれば、ゴールドマンは20日までに少なくとも5回にわたり保有分を減らしてきた。1月に10億ドル相当を売却している。
(出所:ブルームバーグ)
この報道は「米国の中国関連事業からの撤退」を連想させ、豪ドルに対してマイナスの材料となりました。
立て続けに出される悪材料に、豪ドル/米ドルは、パリティ(1豪ドル=1米ドル)を大きく離れ、一時0.959ドル台まで急落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
1カ月強で、約1000ポイント、米ドル/円にたとえれば、10円も暴落したことになります。
■米ドル/スイスフランも米ドル高でパリティを目指す?
米ドル高は対豪ドルだけでなく、対スイスフランでも進んでいます。
米ドル/スイスフランの上昇は、スイス国立銀行のヨルダン総裁が、「スイスフランの上限調整の可能性に触れたこと」も要因となったようです。
米ドル/スイスフランもパリティ(1米ドル=1スイスフラン)に向けて急騰中。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
前述のように、米国のQE(量的金融緩和)縮小観測をきっかけとした、米ドル高相場の中、米ドル/円も一時103.74円まで急騰しましたが、104.00円のバリアに阻まれる形で反落しました。
本日5月23日(木)は、乱高下の末、中国のPMI(製造業購買担当者指数)が悪化したことで、日経平均株価が暴落。
他通貨で米ドル高が進行する中、米ドル/円は逆に101.4円台まで急落しました。

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■リスクオフ相場で豪ドル/円の売り圧力強まる
米国金利の上昇が株の上値を抑え、いわゆるリスクオフ相場(株安・米ドル高・円高)の展開となっており、日経平均の調整と共に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落リスクが高まっています。
リスクオフの相場展開の中、特に売り圧力が強まっているのが豪ドル/円。
豪ドル/米ドルが急落する中、これまで米ドル/円がじり高に推移していたことで、なんとか100円台をキープしていた豪ドル/円ですが、株の上昇が収まると下落が加速しました。
100円をあっさり割り込み、一時97.5円付近まで急落。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足)
■豪ドル/米ドルは0.9500ドルのサポートを割るか?
豪ドル/米ドルは、これまでのコラムでご紹介したことに加え、上記のゴールドマンサックの報道にもあるように、景気が混沌としてきた中国経済のあおりも受け、依然として下落圧力が高まっています。
【参考記事】
●豪ドル暴落! 豪ドル/ドルがパリティ割れ。為替専門のヘッジファンドもショート狙い!(2013年5月16日、西原宏一)
●豪州利下げで金利は史上最低の2.75%に。ジョージ・ソロスが豪ドル売りという報道も(2013年5月9日、西原宏一)
●ドル/円は95~100円の浜田レンジに収束。7月までの利下げが濃厚な豪ドルに注目!(2013年5月2日、西原宏一)
仮にサポートの0.9500ドルを割り込めば、次のターゲットは0.9000ドル。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
豪ドル/円の下落を緩和させていた米ドル/円の上昇が沈静化したため、豪ドル/円にも売り圧力が高まり、5月23日(木)の豪ドル/円は、日足一目均衡表の雲の下限をブレイクし、下げ足を早めています。
豪ドル/円の下値メドは95円でしょうか。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
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