(「『FX友の会 in 東京2013』潜入レポ(2) ヒゲケムシには要注意? 達人のQ&A!」からつづく)
■プライスアクションでスキャルピング!
続いて登壇したのは、FX友の会初登場の元スポットディーラー・Ryuz(成澤)さん。「やっとFX友の会への参加を許されました(笑)」と、冗談交じりに語るRyuzさんですが、この方、スゴイ経歴の持ち主。
大手外資系銀行で米ドル/円の専門ディーラーとして、長らくインターバンクで活躍された方なのです! まさに、プロ中のプロ。
Ryuzさんのトレードスタイルは、プライスアクション(値動き)を見てブレイクしたらエントリーする、というもの。スキャルピングを得意とされています。ご自身もおっしゃっていましたが、この手法、なんとも「言葉で説明するのは、難しい…」。
チャートにかじりついて、分析しまくってエントリー! というよりは、スポットディーラーとしての経験から、「チャートは見て覚えておいて、どう対処するかをプライスアクション(値動き)を見ながら判断し、トレードをしている」そうです。
「一応、水平線やピボット、フィボナッチ・リトレースメント等のポイントはまず抑えつつ、プライスアクションを見ながらトレードしてます」 とのことですが、「プライスアクションを見ながら」ってことは、つまり感覚ですか…? たしかに、言葉にして説明するのは難しそうです。
「で、売買をしたらツイッターでつぶやいています」
そう! Ryuzさんのツイッターは、トレーダーの間でとても有名。ポジションを取るたびに、こと細かにそのトレードの内容をつぶやいているのです。たくさんのトレーダーが、Ryuzさんのツイートをフォローしています。
「言葉で説明するのは、難しい」と言っていたRyuzさんですが、講演ではご自身のトレードスタイルのポイントを「Risk Take」「Take profit」「Next」という3つのキーワードに分けて説明してくれました。
■自分が何者かを知れ! 僕は10~20pipsの利益で十分
まずは、「Risk Take」について。
「ポジションを取ることはリスクを取ること。そのことをちゃんと認識してください」と語るRyuzさん。
トレードには、さまざまなリスクがあります。たとえば、ポジションをとった時のスプレッドリスクやポジションリスク、米雇用統計などのイベントリスク、また、FX会社の倒産リスクなど…。
それらをすべて自分のリスクとして認識したうえで、トレードに望むことが大切だと話していました。そんなRyuzさんは、イベントリスクのあるときは、ポジションをとらないんだそうです。
米雇用統計などの注目イベントは、ほぼ確実にマーケットが大きく動くわけですから、トレードチャンスなのでは? どうしてトレードしないのでしょう?
Ryuzさんは、雇用統計の発表前に仕掛けるのではなく、「雇用統計のあとの動きを取りに行く」そう。
(出所:米国FXCM)
スキャルパーですから、狙う利幅も「たとえ1日1円動くとしても、そのなかの10銭、20銭を取れれば良い。それを繰り返せば、利益は大きくなる」というのが、Ryuzさん流なんですね。
■とにかく損益をプラスで残すことが大切!
次に、「Take profit」。
「とにかく、損益をプラスで残すことが大切」と言うRyuzさん。ストップの位置をポジションの建値にするという手法がありますが、Ryuzさんはそこまで待たないそう。
つまり「半分でも、3分の1のポジションでも良いので決済して利食っておく。ストップを建値においても良いけれど、含み益が出ていたのに後でストップにかかって損益が0になるのは悔しいから」と。
「とにかく、損益をプラスで残すことが大切!」 利益を残すことにこだわる姿勢は、厳しいディーラーの世界で戦ってきた人ならではの勝負哲学!
「とにかく、プラスを残せ!」 と何がなんでも利益を残すことにこだわる姿勢は、厳しいディーラーの世界で長年戦ってきた人ならではの勝負哲学かも。徹底されている印象を受けました。
「ストップは難しくない。エントリーの段階で決めて、動かさなければ良いから。欲が出るぶん、利食いの方が難しい」と言うRyuzさん。
たしかに、できるだけ利は伸ばしたいと思うのが人情ですが、欲を出すとロクなことはない…。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
Ryuzさんは、「自分が何者か知らなくちゃいけない。僕は、10銭、20銭取れたらOK。だから、利益を伸ばすなんて考えない」とも。
「小さな勝ちを積み重ねれば、やがて大きな利益につながる」。短期トレーダーのみなさんは、今一度振り返っておきたい言葉ですね。
■大相場を逃しても悔しくない! 次の一手を考えろ!
続いて、「Next」。
Ryuzさんの最後の話は、大きな相場に乗れなかったときの対処法。兼業トレーダーの場合、常に相場を見張っているワケにはいきませんので、何か大きな動きがあったとしても、その相場に乗り遅れた! というケースも多いもの。
Ryuzさんは、兼業ではないものの、大きな相場で狙って取れたことなんて一度もないんだそうです。ちなみにRyuzさん、「日銀の介入の時は、お風呂に入っていた」そう。それも「介入の5分前からお風呂に入って、出てきたら終わってた」と。
これって普通の感覚で考えると、ショックですよね? ガーーーーーン…なんてついてないんだろうと、思ってしまいそう。でも、Ryuzさんは違います。
「そこで悔しいと思わないことが大事! それはもう事故だから」
そのように考えて、頭を切り替える。そして、「冷静に、なぜ動いたのかを調べ、次の一手に備える」のだそう。
「悔しいと思うと、上がりきったところで買ったりする。冷静な判断ができなくなっているから」とも。
「悔しいと思わないことが大事。焦ってはいけない」と繰り返すRyuzさん。感情的なトレードは、ロクな結果を生まない…
確かに…、悔しいと思い、冷静な判断力を失ったままエントリーし、高値や底値をつかんでやられる…。これこそ、最悪のシナリオです。
「とにかく、悔しいと思わないことが大事。焦ってはいけない」と繰り返すRyuzさん。感情的にトレードをしてロクな結果にならないことは、多くのトレーダーが経験から学んでいること。
ですが、いざその場面になると、どうしても「悔しい~!」という感情が先走ってしまいがちですよね…。今回のFX友の会でも、さまざまな講師から繰り返し聞いた言葉ではありますが、やはり「メンタルコントロールが大切」なんです。
大きな動きに乗れなかったとしても、決して悔しいとは思わず、「事故だから」と割り切って、次の一手に臨む! 今日から、そんな潔いトレーダーを目指したいものです!
(『FX友の会 in 東京2013』潜入レポ(4) 調整は深いが一時的。株高・円安は続く!」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・向井友代 撮影/門馬大輔)
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