(「『FX友の会 in 東京2013』潜入レポ(1) 5月に負けたのが1日だけのデイトレ手法」からつづく)
続いて登壇したのは、専業トレーダーのおばらっちさん、北海道在住の相場師・佐野さん、そして司会進行のフリーアナウンサー・叶内文子さん。
専業トレーダーのおばらっちさん、北海道在住の相場師・佐野さん、そして司会進行のフリーアナウンサー・叶内文子さんが登壇!
おばらっちさんも佐野さんも、ここ最近のFX友の会ではおなじみの講師。過去の講演の様子は、以下の記事でご覧いただけますよ。
【参考記事】
●「FX友の会 in 東京 2012」レポート(1)安定的に勝てる人は安定的に負けている!?
●「FX友の会 in 東京 2012」レポート(4)一生忘れられない紳士のテクニカル講演!
ここでは、あらかじめ参加者から募集した質問に対して、おばらっちさんと佐野さんがQ&A形式で回答していきます。さらに、後半では、おばらっちさん愛用のバックテストツールを使って、過去チャートを見ながら、ちょっとしたデモトレードも行ってくれました。
ピアニストと同じで完全休業はダメ? 待つのもストレス?
相場歴4年目のおばらっちさんと、数十年間の佐野さん。FX友の会ならではのコラボ企画ですね。さっそく参加者から寄せられた質問と、それに対する2人の回答をいくつかピックアップしてお伝えしましょう。
【質問】メンタルの安定にはどんな工夫をしているの? また、メンタルが崩れているときの対処方法は? トレードを休んでいる間もチャートは見ている?
メンタルコントロールは、とても重要ですね。さて、2人の見解は?
佐野さんいわく、「まともではない回答ですけど…」と前置きしながら一言、「余裕資金をたくさん持つこと、です」とキッパリ。
そりゃ、そうですが…。それは、本気の回答でありながらも、半分冗談としつつ、質問の後半部分にある「トレードを休む」という点について重要な指摘をしていました。
「合わない相場が続いているときも、ピアニストと同じで完全休養はダメだと思う。ボリュームを小さくする、トレード回数を少なくするなどの調整をしながら自分のリズムが戻る、あるいは、自分の手法に相場つきが合ってくるのを待つ」のがベストだそうです。
「一番大切なのは、自信をつけること、つまり、勝ちグセをつけること。したがって、完全休業はいけないと思う」と。
参加者から寄せられた質問に、自身の経験を踏まえて、ていねいに回答する佐野さん
なるほど、ピアニストにたとえるあたりが、なんとも粋(イキ)! 相場の酸いも甘いも経験してきた佐野さんならではの説得力ある回答ですね。
「お遊び口座」でトレードしてストレスを解消
一方、おばらっちさんは、「メンタルコントロールよりも、リスクマネジメントの方が重要では?」と指摘。「リスクを取っても良いと思える結果が得られそうなのかを考えるだけで、ずいぶん無理なトレードは間引かれる」と。
また、「トレードチャンスを待つことも、ストレス」と言うおばらっちさんは、「小額かつ、小ロットでトレードをするための『お遊び口座』を作ってストレス解消している」のだそうです。
おばらっちさんが言う「お遊び口座」とは、自分のトレード収支にカウントしない口座のこと。「たぶん、ここで入ったらヤラれる。わかっているけれどどうしてもエントリーしてみたい」、そんなどうしようもない衝動を満たすために開設している口座だそうです。
そして、「うまくいかないときは、しっかり休む」とも。そんなとき、おばらっちさんは、リアルチャートを見ない代わりにバックテストツールを使って、過去のトレードの復習をするのだとか。
リアルチャートを見ない最大の理由は、「見るとポジりたくなる(トレードをしたくなる)から」とのこと。
見てると、どうしてもトレードをしたくなっちゃうんですね…。根っからの相場好きがそうさせるのでしょうか。
休んでいる間の対応は、リアルチャートを見る、見ないという違いはあるものの、2人とも完全にマーケットから離れるということはしないようです。
もう1つ、質問を紹介しましょう。
スプレッドの狭さだけでなく、スリッページが少ない点も重要
【質問】オススメのFX会社はどこ? また、こんなFX会社には気をつけたほうが良いというポイントがあれば教えて!
「ちょっと答えにくい質問ですが…」と言いつつ、2人ともそれぞれの視点で、FX会社を選ぶポイントを教えてくれました。
佐野さんは、過去の経験から「その昔、商品相場やってるときは、なかなか出金させてくれなくて大変で…」なんてちょっと恐ろしい話を交えつつ…。
利用しているFX会社を選んだポイントについては、「自分好みのチャートを使えて、ある程度低スプレッド、かつスプレッドがワイドになりにくい会社を選んだ」と回答。
ボリンジャーバンドを使ったテクニカルトレードを得意とする佐野さん。なんでも、1日に18時間もチャートを見ているんだそうです。チャートを見ている時間のケタが違いますね…。
やはりFX会社を選ぶ上でも、利用できるチャートの使い勝手を重視するようです。ちなみに、佐野さんが好んで使うチャートは、GFT系取引システムDeal bookに搭載されているチャートだそうですよ。
一方、おばらっちさんが重視するポイントは、ズバリ「スリッページが少ない」という点。
短期トレードが得意なおばらっちさんにとって、スプレッドの狭さも重要だけど、「スリッページが少ない」という点のほうがより重要!
デイトレ中心の短期トレードが得意なおばらっちさんにとっては、スプレッドの狭さももちろん重要ですが、それよりも「スリッページが少ない」という点のほうが重要なようです。
どんなに低スプレッドでも、取引した際にスリッページが発生してしまうと、狭い値幅を狙う短期トレーダーにとっては致命的。もちろんスプレッドは狭いに越したことはありませんが、提示レートできちんと約定してくれることの方が大切なんですね。
おばらっちさんのトレード手法は、以下の記事で詳しくご覧いただけますので、ぜひチェックしみてください。
【参考記事】
●専業トレーダー・おばらっちさんに突撃(1) 最初の成功&失敗から学んだこと
なお、おばらっちさんがここ数年利用しているのは、「約定が安定しているから」ということで、CURRENEX系システム。なかでも、サイバーエージェントFX「C-NEX」が使いやすいとのことでした。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:注文機能・システムで比べる
マーケットが上昇すれば買う。もっと上昇すればもっと買う
このほか、佐野さんは、おばらっちさんのバックテストツールを使って、過去のチャートに沿ったデモトレードを披露してくれました。
デモトレードの前に、フリーアナウンサーの叶内さんが読み上げたのは、RSIやパラボリックなどのテクニカル指標の開発者として知られるJ・ウェルズ・ワイルダー・ジュニアが、ジム・スローマンから100万ドルで買ったと言われる理論、アダム・セオリーを解説した著書「アダム・セオリー」第3章の一節。
ロバート:「相場がどう動くのなんて分からないよ」
スローマン:「あなたはシカゴで最も成功しているトレーダーのひとりです。それでも今日の相場がどう動くのか分からないというのですか」
ロバート:「ほんとうにそうなんだ」
スローマン「では何を基準にトレードしているのですか」
ロバート:「私が言ったところで信じてもらえないだろうが、こういうことなんだ。マーケットが上昇すれば買う。そしてもっと上昇すればもっと買う。もしマーケットが下がれば売る。そしてもっと下がればもっと売る」
バカげているように聞こえるでしょうか。不合理でしょうか。単純すぎるでょうか。
『マーケットで成功するためには、市場に身を任せることです』
朗読が終わると、佐野さんは、「まったく相場観を持たずに、ただ相場の動きについて行き、売り買いをするだけの単純なトレード」と言いながら、米ドル/円の平均足(1分足)とボリンジャーバンドを表示したロウソク足(5分足)のチャートを用意しました。
実際に、会場で使用された米ドル/円の平均足(1分足)とボリンジャーバンドを表示したロウソク足(5分足)のチャート
デモトレードでは、この2つのチャートを使って、エントリーとエグジットのタイミングを図ります。平均足を使う理由は、「1分足のロウソク足は、動きが早すぎて見づらい。平均足のほうが値動きの流れをつかみやすいから」なんだそう。
「トレーニングに使うとおもしろい発見があるかも!」とのことですので、興味のある方は、ぜひ試してみてください。
「ヒゲケムシ」に要注意! 買っても売っても刺されます
さぁ、ところどころ解説を加えつつ、米ドル/円の平均足(1分足)とロウソク足(5分足)のチャートを交互に眺めながら、売買のタイミングをはかる佐野さん。
佐野さんがデモトレードを披露! チャートを交互に眺めながら、売買のタイミングをはかります!
「ヒゲケムシは、売りで入っても買いで入っても刺されるから、エントリーしないで待つ」など、独特な表現方法を用いたトレード解説で、会場は大いに沸きました!
ちなみに「ヒゲケムシ」とは、以下のようなロウソク足のこと。上下どちらにもヒゲがあり、方向感が定まっていない感じの足のことですね。
「ヒゲケムシには要注意! 買っても売っても刺される」と。エントリー自体控えた方が賢明ということでしょう。おそるべし、ヒゲケムシ!
また「価格の動きは、おじいさんのウォーキングに似ている」との表現もありました。おじいさんのウォーキング…? なんともおもしろい表現ですが、どういうこと?
じーっとチャートを見ていると、値動きには、グングン勢いがあるときと、ダラっと方向感なく止まってしまったように見えるときがあります。つまりおじいさんのウォーキングのように、「ちょっと歩いては休み、ちょっと動いては休みを繰り返す」ことが多いということ。
「値動きには、緩急のリズムがある」ということが、きっと佐野さんの言う「おじいさんのウォーキング」という表現につながっているのでしょう。
なお、このデモトレードには、参加者の代表もチャレンジ! 参加賞として、佐野さんのお土産の1つ、北海道銘菓「白い恋人」が手渡されました。
(「『FX友の会 in 東京2013』潜入レポ(3) 元ディーラーはつぶやく。悔しがるな!」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・向井友代 撮影/門馬大輔)
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