先週のコラムでは、今後の相場を見ていく上で4つの懸念点があるため、それをよく注視しておいてくださいとお話しました。
【参考記事】
●落ち着けば株高・円安はまた進むとみるがそれに対する4つの懸念点とは?(6月20日、今井雅人)
その後、市場でも、この4つのことが話題となりました。
■米国の金融緩和縮小は9月から10月に始まるか
米国では、FRB(米連邦準備制度理事会)が、いつ金融緩和縮小を始めるのかについて、株式市場が非常に敏感になっています。
(出所:米国FXCM)
先日のバーナンキFRB議長の発言を聞いた限り、おそらく2013年の9月から10月に縮小が始まるのではないかと予想されますが、今後も重要な経済指標が発表されるたびに、いろいろな憶測が飛び交うのではないかと思います。
■中国混乱! 上海総合指数は年初来15%程度下落!
先週のコラムで紹介した4つの懸念点のうち、今週もっとも話題になったのが、中国経済です。
中国では、経済成長より貸出しの増加ペースが上回るいわゆる過剰融資の状態が今も続いています。ノンバンクなどの金融機関が、地方政府などへの過剰融資を続けており、それが不良債権化しているのではないかという心配も以前からあります。
こうした状態を憂慮して、中央銀行である中国人民銀行は、金融の引き締め姿勢を示していました。しかし、そのことで短期資金市場において流動性がひっ迫するという事態が発生し、短期金利が急上昇してしまいました。
そうなると、もっとも影響を受けるのが株式市場と不動産市場です。中国の代表的な株式指数である上海総合指数も、この1週間でさらに下落幅を広げ、年初来15%程度下落しています。
(出所:CQG)
■中国経済は四面楚歌に陥っている!
これに対して、中国人民銀行は流動性には問題はなく、必要であれば、さらなる流動性の供給を実施する用意があることを発表し、急落していた中国株式が持ち直す局面もありました。
しかし、仮に短期資金市場で流動性を供給すれば、今度は過剰融資の問題を悪化させる結果となってしまいかねません。中国経済は、四面楚歌の状況に陥っているといっても言い過ぎではないと思います。
さらには、最近金融市場においては、中国の経済指標などへの不信感が以前に増して強まっており、GDPなども公表されている数字より実際ははるかに悪いのではないか? とささやかれています。
米国経済が回復して世界経済を牽引しようかという状況になっているときに、世界第2位の経済規模を誇る中国経済が腰折れの危機に直面していることは、何とも皮肉な状態です。
今後も、中国の動向をよく注視していく必要があるでしょう。
さて、日本では6月26日(水)に通常国会が閉会し…
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