■円安・株高のスピードは速すぎた
みなさん、こんにちは。金融市場はすっかり方向感を失っているように見えます。少しこの状態は長引くかもしれませんが、いずれこの状況から抜け出す時がくると思います。
私自身は、日銀の金融緩和の効果が年内は続くと考えていましたので、円安・株高は基本的に続くと思っていました。しかし、2013年5月の下旬から、相場の雰囲気が一気に変わり、今も方向感のない展開が株式市場でも為替市場でも続いています。
2013年に入ってからの円安・株高は方向的には正しいが、いくらなんでもスピードが早過ぎると思っていました。ですが、市場の勢いはまったく衰えず、このまま行ってしまうのかな、と思った時期もあったのです。

(出所:株マップ.com)
■助走期間が過ぎれば株高・円安に向かうだろう
そこで、1つ見逃したことがありました。それは、日本の長期金利の上昇です。
5月の初旬、日本の国債が下落し始め、長期金利が上昇してきました。一瞬、嫌な感じもしましたが、その後も、しばらく円安・株高が続いていたので、取り越し苦労かなと感じていました。
しかし、少し時間をおいてから、この長期金利を嫌気して、ヘッジファンドなどの外国人投資家が日本株を大量に売り始めました。ジョージ・ソロスも「日本の長期金利の上昇が心配だったので、日本株を売った」と発言しています。

(出所:CQG)
この動きを適確につかむことができませんでした。少し反省しています。
その上で今後についてですが、現在は、日本の長期金利が落ち着いているため、株式市場も為替市場も、落ち着きを取り戻してきています。
私自身、大胆な量的緩和の効果は、まだこれから出てくると基本的には思っているので、少し助走期間が過ぎた後、また株も上昇、為替も円安に向かうのではないかと思っています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ただ、少し心配なこともあるので、今回はそれを紹介しておきましょう。
■米緩和縮小が早まれば米国株が売られ日本にも影響が…
まず1点目は、日本の長期金利です。現在、日本の10年物国債の利回り(日本の長期金利)は、0.8%台で落ち着いています。

(出所:CQG)
しかし、今回の一連の外国人投資家の動きでわかったとおり、もし今後どこかのタイミングで長期金利が上昇し始めると、また株安・円高が進む可能性が高いということです。
2点目は、米国の金融政策です。昨日(6月19日)、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、FOMC終了後の記者会見で次のように発言しています。
「入手するデータがこの経済予測と大まかに一致すれば、年内に購入ペースを緩めるのが適切だと委員会は現在のところ見込んでいる」
「その後のデータもわれわれの現在の経済予測と大まかに沿う状況が続けば、来年上期にかけて慎重にステップを踏みながら、購入ペースの減速を続け、年半ばごろに購入を終了させる」
これが早まってくるようなことがあれば、米国株がまた売られる可能性があり、それが日本にも影響を及ぼすということです。

(出所:米国FXCM)
次のFOMCに注目したいと思います。
■豪ドル下落の背景に中国信用バブル崩壊の懸念が…
3点目は、中国の動向です。先日、米国のウォールストリート・ジャーナルに書かれていましたが、中国にはノンバンクなどによる過剰投資、過剰貸付が進み、巨額の不良債権となりつつあるという問題があります。
中国信用バブルの崩壊は近い、と予想している専門家もいます。代表的な株式指数の上海総合指数も年初来7%の下落と、中国経済の先行きを懸念していることが示唆されています。

(出所:CQG)
豪ドルの下落には、こうしたことも影響しているようです。
■安倍政権の成長戦略が骨抜きなら、また失望売り
4点目は、安倍政権が、今後詳細を詰めていく成長戦略です。先日成長戦略が発表されたとき、日経平均は急落しました。

(出所:株マップ.com)
内容が具体的でなかったため、失望売りが出たということです。政府は今後詳細を詰めていくと言っていますが、それが骨抜きになっていたりすると、さらなる失望売りが出てくるでしょう。
以上のような点を注意しながら、今後の相場を見ていきたいと思います。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!でもおなじみの今井雅人さんからのレポートを受けて、ザイFX!が 配信する「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人(月額:5,500円(税込))」。
その日のニュースをコンパクトに解説し、今後の為替の値動きについての予測とともに、今井氏のポジションについても可能な限り配信する、実践型の有料メルマガです。
「ザイFX! FXプレミアム配信 With今井雅人」には10日間の無料体験期間がありますので、ぜひ一度体験していただき、みなさんのトレードの参考にしてみてください。















![ゴールデンウェイ・ジャパン(旧FXトレード・フィナンシャル)[FXTF MT4]](/mwimgs/c/d/-/img_cd98e6e3c5536d82df488524d85d929d47416.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)