■FOMC議事録はサプライズなし
みなさん、こんにちは。
8月22日(木)の東京時間未明、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が発表されましたが、発表自体にサプライズはありませんでした。
QE3(量的緩和第3弾)減額に関しては、これまでどおり、2013年中という表現にとどまりました。
予定としては、2013年内のtapering(テーパリング※)は既定路線のままです。
(※編集部注:tapering(テーパリング)とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
■中央銀行が介入してもブラジルレアル安は止まらず!
QE3減額が既定路線で進行していることが明らかになるに連れ、注目を集めているのが新興国の株式と通貨の急落です。
特に急落が激しかったのが、インドネシア株。
ジャカルタ総合指数は過去最高値から一時20%も下げており、1997年のアジア通貨危機を彷彿とさせるほどの下落となりました。
南米ではブラジルレアルの下落が止まらず、ブラジル中央銀行はレアル安阻止にむけて、何度も米ドル売り介入をしていますが、レアル安は沈静化していない状態です。

(出所:CQG)
加えて、南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソなどの新興国通貨も軒並み急落しています。
テーパリングが既定路線どおり開始されることが、徐々にコンセンサスになるにつれ、新興国通貨から資金が流出しています。
■資金は新興国通貨から欧州へ
この資金の流れは、まず米ドルに向かうのですが、徐々に欧州に流入している模様。
テーパリングへの反応としては、当初「株安・債券安・米ドル高」と想定されていましたが、先週(8月12日~)の米国では、一時「株安・債券安・米ドル安」のトリプル安となる相場展開になることもあり、ステレオタイプではトレードしにくい状況です。
メディアによると、8月に入ってから、欧州株ファンドへの資金流入額が2年来の高水準になったとの報道もあり、資金は徐々に景気回復基調にある欧州へ向かっています。
この欧州へ資金流入という状況から、ユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロとの通貨ペア)に注目が集まっています。
新興国通貨が下落していることもあり、欧州通貨買い・新興国通貨売りで、ユーロ/豪ドルが再び上昇基調。
1.5000ドル台に到達して以降、調整局面に入っていたユーロ/豪ドルは、再び堅調に推移しています。
8月22日(木)の東京市場では、一時1.5000ドルに迫る、1.49ドル台前半まで高騰しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 日足)
■ユーロ/NZドル、4日間で700pips急騰!
加えて、今回はユーロ/豪ドルだけではなく、ユーロ/NZドルも急騰。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/NZドル 日足)
RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のウィーラー総裁が、住宅市場の過熱抑制のため、10月から住宅融資規制を導入することを発表したのです。
さらに、NZドルが高水準であるとの発言もあり、NZドルは急落しました。
NZドル/米ドルは、0.8000ドルの節目を割り込み、一時0.7812ドルまで急落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
ただ、新興国からの資金流入は、米国に加え、景気回復基調にある欧州への流れも鮮明になってきており、対米ドルのみならず、対ユーロでもNZドル安が急激に進行。
今週(8月19日~)のユーロ/NZドルは、1.7084ドルまで到達し、4日間で700pips急騰。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/NZドル 4時間足)
ユーロ/豪ドル自体は、節目の1.5000ドルの手前で上値を抑えられていますが、ユーロ/NZドルの急騰に連れ、ユーロ/豪ドルも1.5000ドルの節目を越え、1.5300ドルに向けて上昇する可能性が濃厚です。
新興国通貨の急落に呼応した、ユーロ/豪ドルとユーロ/NZドルの動向に注目。
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