■テクニカル的には米ドルの下値余地は限定的
もっともドルインデックスは、下のチャートに記しているように、7月高値からジグザグ型下落パターンが続いて大型下落ウェッジを形成しており、目先の下落余地は、深くても79の節目手前に留まる公算が高い。
(出所:米国FXCM)
テクニカルの視点では、目先米ドルの軟調が続いているものの、下値余地は限定的で、パニック的な米ドル売りは想定しにくい。
それどころか、下落ウェッジ型自体、底打ちを確認してから反騰しやすいことを示唆するフォーメーションとして知られ、ドルインデックスはいったん底打ちできれば、かえって上放れしやすいのではないかとみる。
したがって、今は米ドル安の最終段階という見方を、当面堅持したいと思う。
■9月雇用統計は想定より悪くない?
相場の値動きはファンダメンタルズに先行する、という筆者のロジックで足元の状況を再点検すれば、大胆にも下記のような推測ができる。
つまり、危惧される9月雇用統計は、もしかしたら想定より悪くなく、場合によって良い数字が出てもおかしくないのでは、ということだ。
言ってみれば、米政府再開による「事実の売り」に加え、米政局の先行きや景気見通しの不安が米ドルを押し下げてきたが、テクニカルの視点では、米ドル全体はすでにオーバーシュートの状況にあり、そろそろ底打ちする時期を迎える。
だから来週、10月22日(火)発表の9月米雇用統計(※)がマーケットの悲観心理を一掃し、米ドル全体の底打ち、至って反騰のきっかけになり得る可能性が大きい。
(※編集部注:米雇用統計はほとんどの場合、毎月第1金曜日に前月分が発表されるが、今回は米政府機関一部閉鎖の影響で、10月4日(金)発表予定だった9月分が先延ばしされていた。これが、米政府機関閉鎖が解除されたことで、10月22日(火)に発表されることが決定した)
■前回の米政府閉鎖時、遅延した指標では良い数字が出た
こういった推測は、目先憶測にすぎないと思われるだろうが、前例なしの戯言ではないことをここで記しておく。
1995~1996年の政府閉鎖は、同じく経済指標の統計を遅延させたが、遅延された分、より全面的な統計ができたから、想定より良い数字が出たという例がある。
もっとも、米雇用統計をはじめ、緒統計は常に修正されがちで、発表までに完成されていなかったケースが多い。今回の遅延で、「塞翁が馬」(※)ということになりかねないから、要注意である。
つまるところ、目先、米ドルに関する市場センチメントは、行きすぎた悲観論に左右されがちだが、間もなく修正される公算が高い。
ドルインデックスの底打ちと相俟って、米ドル/円は5月高値から構築されたトライアングルの上放れを果たすことも推測される。クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)もリンクして、再度高値更新を目指すと思われる。市況はいかに。
(※編集部注:「塞翁が馬」とは幸福や不幸は予想のしようがないということのたとえ。「人間万事塞翁が馬」とも)。
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