昨日はドル円がアジア時間で97円台から脱して、98円台を回復して欧州入り。しかしその後のドル円は10ポイントほどしか動かず、ユーロドルは1日を通じても30ポイントほどしか動かなかった。ユーロドルに関しては今年の最高値である1.3710を更新するかもしれないという緊張を強いられるレベルが近づいているのだが、それでもまったく緊張感のない海外市場だった。
雇用統計を控えているから小動きなのだというのは、今回は当てはまらないだろう。すでにこんなに遅れて発表されるわけだし、それほど市場の関心を集めているわけでもなく、しかるにダイナミックな相場の動きをもたらすとも思われないからだ。
先週から際立ってきたのは金融相場である。つまり株価も債券価格も、両方が同じ方向に進むというものだ。一般論としては株価と債券価格は反対に動くもの。それはお金を投資するのにリスク性の高いものに入れるか、利回りは低くても確実に元本も戻ってくるものに入れるかの違いである。リスクに魅力があるときは株が買われ、債券は売られる。
またその逆もしかり。それが違う様相を呈しているのである。これはもちろんアメリカの財政問題がいちおうの決着がついたので、リスクを取りやすくなったため、米国株は連日のように歴史的な最高値を越えてくるといった一面もあるにはある。それに加えてFRBの次期の議長がハト派のイエレン氏で決定したことも大いに関与している。金融緩和の縮小がかなり先にずれ込むだろうという観測が、債券相場を下支えしているのだ。
米長期債はかなりのラリーに見舞われ、10年債の利回りで見ると、9月FOMCの直前の3.0%台から今は2.5%台まで低下してきている。まだまだ当面はドルの金余りが続くだろうという見方から、為替相場ではドルの上値が実に重い。ユーロドルがすでに今年の最高値を捉える位置にあるので明白だが、ドル円もなかなかに重い。こうした金融相場、すなわち金利環境の流れの変化が認められない限りは、足元で起こっている株高、ドル安、金利安は続くものだと思ってかからねばならないと思う。
30日に出ると思われていたGDPの速報値も1週間ほど先延ばしになった。ますます今晩の雇用統計の興味が薄れるところなのだが、それでも見ないわけにもいかない。すでに参考にすべきADP雇用の数字がいくつだったかも忘れてしまうほど時間が経っているのだが、予想では就業者数は18万人くらいの増加が見込まれており、失業率は7.3%がコンセンサスとなっている。
今回に限ってはそうした予想からかけ離れても、相場の先っぽを争ってたたいていきたくはない感じだ。心情的には逆張りしてもよいかなとも思っている。ドル円の98.50アッパーや97.70以下があれば逆張りしてみるつもり。すぐに元に戻ってくるのではないかと思われる。
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