■予想内であり、予想外だったFOMC
今週(12月16日~)、もっとも注目されたイベント、すなわち米FOMC(米連邦公開市場委員会)は2014年1月から債券購入を現在の月額850億ドル規模から、月額750億ドル規模へ縮小することを決定した。100億ドル減の内訳は国債とモーゲージ債がそれぞれ50億ドルずつである。
今回の決定は、多くの市場関係者にとって予想内であり、また、予想外でもあったのではないかと思う。
予想外なことは、2013年のうちにQE(量的緩和策)縮小に踏み切るのではなく、2014年3月からでもなく、2014年1月から実行していくプランの発表である。
予想内なことは、開始時の縮小規模が小さく、また低金利政策を維持することである。
■バーナンキ氏が政策上のメリットより優先したことは…
今回のFOMCの発表には、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の腐心が垣間見える。任期内最後の政策発表で有終の美を飾りたいバーナンキ氏は、政策自体の有効性、継続性のみでなく、米政府内外の二大勢力を同時に取り込み、納得させる必要があったからだ。
すでに4兆ドル規模を超えるまで膨らんだFRBのバランスシートでわかるように、リーマンショック後に実施されてきた今回の量的緩和は前人未踏の規模で、史上最大の金融対策でもある。それでいて、失業率を始めとして、景気の完全回復をなお達成していない米国の現状に苛立ち、FRBの政策がなお不十分という方々がいる。
一方で、莫大な金融緩和をしたにもかかわらず、それが大した効果がない上に、FRBの資産規模ばかり膨らんで極めて危険な状況に陥っており、これからコントロールがきかなくなるのでは、と危惧する勢力も多い。
したがって、今回のFOMCの決定は、政策上のメリットよりも両勢力を取り込み、納得させるための妥協案の性質が強く、またこれが相場にも一番効くとバーナンキ氏が打算的に考えたに違いない。
何しろ、実際にQE縮小プランが発表されたあと、NYダウはまた史上最高値を更新し、米ドル/円も高値更新となっており、このプランがマーケットに歓迎されていることがよくわかる。リスクオンの継続ということは、マーケットの安心感を物語る。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
マーケットの安心感を示唆する好例は、何と言っても声明文発表後の市場の反応であろう。
NYダウより代表的な米国の株価指数であるS&P500は1.7%高をもって大引けとなったのに対して、債券の指標銘柄はほとんど動かなかった。これぞFRBによって理想的な状況で、政策が信頼された証であった。
ゆえに、しばらくリスクオンの状況が続き、株高・円安が一段と進んでもおかしくない。
一方、前述のように、今回のFOMCの決定、つまりQE縮小プラン自体、マーケットの予想内でもあり、目先の値動きをもってすでにそれが一杯一杯まで織り込まれているのではないかといった懸念も払拭できずにいる。
もっとも、FOMCの決定を受けたリスクオンの動きは…
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