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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

株安を伴わない絶妙なテーパリング!
米ドル/円は、107円が見えてきた!

2013年12月19日(木)19:10公開 (2013年12月19日(木)19:10更新)
西原宏一

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■豪ドル/米ドルは依然として0.85ドル台へ向け続落中

 みなさん、こんにちは。

 今週(12月16日~)もRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のスティーブンス総裁がいつものコメントを繰り返したこともあり、豪ドル/米ドルは軟調。

「追加緩和については引き続き予断を持っていない」
「豪ドルは依然として不快なほど高い」
「介入について考えたが控えることを決めた」
「為替介入はファンダメンタルズに逆らえない」
「政策金利は現在、非常に低い」
「必要なら再び利下げする」

 つまり、仮に豪ドル/米ドルが反発基調に転ずれば、介入という手はとりませんが、為替を考慮して利下げをする用意があるとのコメント。

 豪ドル/米ドルは本日、12月19日(木)に一時、0.8821ドルまで下落。

 豪ドル/米ドルはIMF(国際通貨基金)や、スティーブンス総裁が示唆している0.85ドルまで、あと300ポイントというところまで下落しました。

【参考記事】
ドル/円は100円台を回復し早晩103円へ! 豪ドルはIMFに10%過大評価と言われ下落(西原宏一、2013年11月21日)
豪ドル/ドルは0.85ドルへ向けて下落中! 12月雇用統計に注目が集まる理由とは?(西原宏一、2013年12月5日)

豪ドル/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 1時間足

 ターゲットまで300ポイントと迫っていることと、マーケットの豪ドル/米ドルのショートが徐々に増えてきていることで、12月19日(木)の現時点のレベル(=0.8830ドル)では下値を叩かず、ていねいに戻り売りのレベルを模索したいところです。

■株安を伴わない絶妙なテーパリングで米ドル高・円安に!

 12月19日(木)の日本時間未明、2013年最後の大イベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、テーパリング(※)が決定されました。

 その内容ですが、資産買入れ額の縮小は100億ドルという小幅な数字。また、縮小ペースは示されず。

 加えて、「失業率が6.5%を下回ったとしても、インフレ率が長期目標の2%を下回って推移すると見込まれる間はゼロ金利を維持する」というハト派的な(?)テーパリングの決定。

 この結果、株の急落を伴わない絶妙な展開に。

 まず、「テーパリング開始=リスクオフ」を懸念してこれまで軟調だった新興国通貨が、発表直後に急回復しています。

 その後は「株高・米ドル高・円安」へ。

(※編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

米国株(US30) 1時間足

(出所:米国FXCM

米ドルVS世界の通貨 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足

世界の通貨VS円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 1時間足

■61.8%戻しの105.50円近辺は強いレジスタンスになりそう

 米ドル/円は年初来高値を更新し、一時、104.38円まで上昇。次の上値メドは105.00円です。

米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

 もう一段長い目でみれば、2007年6月の124.16円から2011年10月の75.56円まで下げた61.8%戻しが105.50円近辺となるため、105.50円の上値はかなりのレジスタンスになりそうです。

米ドル/円 月足

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)

■米ドル/円は押し目を拾いたい。次のターゲットは107円!

 今週の米ドル/円はオプションのガンマ(※)からの米ドル売りがあるのと、いくつかのオシレーター系のチャートが買われすぎを点灯しているため、比較的大きなディップ(押し目)を形成しながら高値を更新している展開。そのため、ていねいにディップを拾っていきたいところ。

 FOMCというイベントは終了しましたが、円絡みでは明日、12月20日(金)の日銀金融政策決定会合にも注目。

 来年の消費税増税を控え、海外短期筋は来年の「日銀の追加緩和」というシナリオも想定し始めていますが、事前の期待が高まっているため、黒田総裁の会見後は、逆に米ドル/円の調整局面があるかもしれません。

 しかし、日本の貿易収支の赤字が定着していることもあり、円安トレンドは変わらないでしょう。

 前述のように105.00円から105.50円のレジスタンスは強烈でしょうが、次のターゲットは107円です。

(※編集部注:「ガンマ」とは、オプション取引で使われる用語の1つ)

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足


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