■中国の指標悪化がトルコリラなどの売り圧力に
アルゼンチンの外貨準備高は、3年間で4割減り、約295億ドルとなっています。こうした状況を受けて、これ以上のペソの買い支えは難しいのではないかという見方が市場に広がり、ペソに売りが殺到しました。
アルゼンチンの政権は、インターネットでの買い物の規制を強化するなどの外貨流出防止策を続けています。しかし、それもまったく効果が出ていません。
アルゼンチンは、2000年代前半にもデフォルトを起こした嫌な過去を持っています。こうした悪いムードは一気に他の新興国に波及。
悪いことに、中国の景況感を表すHSBC製造業PMIが、景気の良い悪いの目安である「50」を下に割り込むという結果も出てきました。これにより、トルコ、南アフリカなどの通貨にも激しい売り圧力がかかったわけです。
(出所:CQG)
■FOMCの緩和縮小が追い打ちをかける
さらには、昨日(1月29日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、2013年12月に引き続き、金融緩和の縮小が決まりました。量的緩和としての資産買入れの金額を750億ドルから650億ドルに引き下げるという決定です。
量が減るだけで量的緩和自体は続きますが、今後、米国が金融引き締めになれば、新興国からの資金の引き上げが起き、新興国の通貨が急落するのではないか、という懸念が以前から指摘されていました。今回も、またそれを想起させてしまいました。
悪いことは、重なるものです。
■カウンターパンチを食らった市場の混乱は続くかも
今までのケースで言えば、こうした事態が発生した場合、自国だけでは解決できず、G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)やIMF(国際通貨基金)などの国際機関が連携して問題の収束を図ってきました。
現在のところ、まだそこまでの動きは見られませんが、この状況が続けば、当然本格化してくるでしょう。
先進国の景気状況が良好で安心していたところで、カウンターパンチを食らった形となっており、市場の混乱はしばらく続くかもしれません。
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