(「【徹底解剖】2014年大注目のNDD(2) NDDでスキャルパーが歓迎されるワケ」からつづく)
■外資系が先行、ウルトラFXが猛追
現在、NDDと銘打たれた、日本のおもな口座は以下のとおりだ。日本でもっとも古くNDD口座を始めたFXCMジャパン証券(現楽天証券)や、2013年12月に既存口座をすべてNDDへ移行したアルパリジャパン(※)など外資系が目立つのが特徴だ。
(※アルパリジャパンは、2015年1月に破綻し、8月にはデューカスコピー・バンクに買収された。10月よりデューカスコピー・ジャパンとして、営業を開始している)
★日本国内のおもなNDD口座一覧
会社名[口座名] | 最低取引単位 | 取引手数料 | 米ドル/円 参考スプレッド(※1) |
プラットフォーム | カバー先数 | スマホ向け アプリ |
|
ザイFX!期間限定キャンペーン実施中 セントラル短資FX[ウルトラFX] |
5万通貨 | 無料 | 0.4銭 (実績平均値) |
独自ECN | 非公表(※2) | 3月31日から提供開始予定 | |
サイバーエージェントFX[C-NEX](現YJFX!) | 1万通貨 | 無料 | - |
カレネックス (クラシック) |
19社 | あり | |
アルパリジャパン[アルパリダイレクト] | 1000通貨 | 片道0.0015% | - |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社(16社) | あり(iPhone) | |
アルパリジャパン[アルパリダイレクトPro] | 1000通貨 | 片道0.0015% | - |
カレネックス (クラシック) |
1社(16社) | あり(iPhone) | |
アルパリジャパン[MT4 スタンダード口座] | 1000通貨 | 無料 | 0.8銭(実績値) |
独自ECN | 1社(17社) | あり | |
アルパリジャパン[MT4 プロ口座] | 10万通貨 | 無料 | 1.0~1.4銭 (実績値) |
独自ECN | 1社(17社) | あり | |
会社名[口座名] | 最低取引単位 | 取引手数料 | 米ドル/円 参考スプレッド(※1) |
プラットフォーム | カバー先数 | スマホ向け アプリ |
|
FXCMジャパン証券(現楽天証券)[TS口座] | 1000通貨 | 無料 | - |
独自ECN | 2社 | あり | |
FXCMジャパン証券[プレミアム口座] | 1万通貨 | 無料 | 0.6銭原則固定 |
独自ECN | 2社 | あり | |
FXCMジャパン証券(現楽天証券)[MT4口座] | 1000通貨 | 無料 | - |
独自ECN | 2社 | あり | |
外為ファイネスト[EVO] | 1万通貨 | 無料 | 0.8~1.4銭 (実績値) |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社 | なし(準備中) | |
外為ファイネスト[PRO] | 50万通貨 | 片道0.003% | 0.1~0.7銭 (実績値) |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社 | なし(準備中) | |
外為ファイネスト[MT4] | 1万通貨 | 片道0.0035% ~0.008%相当 |
- |
カレネックス | 1社 | あり |
2014年2月18日現在
(※1:米ドル/円のスプレッドで「実績値」あるいは「実績平均値」としているのは、2014年2月18日現在で各社が発表していた最新の値を掲載している)
(※2:セントラル短資FX全体のカバー先は22社あるが、[ウルトラFX]のみのカバー先は公表されていない)
「世界的にはこの3年ほどでNDDへ移行する動きが進んでいます」
そう教えてくれたのは、アルパリジャパンのパトリック・チェルヴィンスキさん。日本でNDDの動きが急浮上してきたのは昨年、2013年からだが、世界的にはもう少し前からNDD化が進んでいたようだ。外資系FX会社がNDDで一歩先行しているのも当然といったところか。
■NDDの世界標準は「カレネックス」
「NDDの取引プラットフォームで世界的にもっとも優れているのは、カレネックス(※)だと思います。ただ、カレネックスはFXに慣れたプロトレーダー向け。慣れれば使いやすいものの、メタトレーダー4(MT4)などに比べると、初心者には使いづらいところもあると思います」(チェルヴィンスキさん)
NDD口座はセントラル短資FXのように「ECN」(電子取引ネットワーク)を独自に作っているものと、カレネックスのような既存のECNを利用したものとに大別できる。
カレネックスは世界的に有名なECNで、耳にしたことのあるトレーダーも多いのでは。アルファベットならCURRENEXと書き、カリネックスと呼ばれることもよくある。
そして、カレネックスのシステムには、よりプロ向けに近い「クラシック」と、初心者の利便性にも配慮した「ヴァイキング」の2種類がある。
勘違いされがちだが、カレネックスは為替市場ではない。FX会社とカバー先の銀行や証券会社をつなぐ「道路」のようなものだ。
あくまでも道路だから、どんなレートを提示するかは、その道路を走るクルマ=カバー先となる銀行や証券会社次第。同じカレネックスを使っていても、FX会社によってレートは異なっている。
■カレネックス系のNDDなら「板」が見られることも!
NDDの代表格であるカレネックス。その中でもプロ向けに近い「クラシック」の大きな特徴は「板」が見られるということ。
株に慣れている人ならばなじみのある板だが、板が見られるFXは、これまで[大証FX]しかなかった。
板とは、「その価格にどのくらいの量の注文があるか」を示した表だ。株だったら自分の注文も板に反映されるけれど、カレネックスの板で表示されているのはカバー先の銀行や証券会社が提示している注文になる。
これからカレネックスがもっと普及すると、板を利用したトレーダーなども出てくるだろうし、板をざっと眺めているだけでも、銀行がどのあたりのレートへ多めに注文を出しているかなと、節目が読めるようなこともあるかもしれない。
■NDDの注文では「価格」だけでなく「数量」にも気をつけて
さて、この板にも関連するのだが、NDDを使うときには注意が必要。そのキーワードは「部分約定」だ。
発注時、原則固定型なら注文の際に「価格」だけを気にすれば良かったが、板があるNDDでは「価格と数量」を気にする必要が出てくる。自分が望む価格に板があっても、自分が望む分の数量がなければ、すべての注文は約定しないからだ。
カレネックスのシステムを利用するサイバーエージェントFX(現YJFX!)の[C-NEX]だと、成行注文ひとつとっても「MKT」「GTC」「IOC」の3種類がある。
ちょっとややこしいが、ポイントとなるのは「自分が発注した量だけの数量が板になかった場合」の扱いだ。上記3種類の注文の違いを以下の図で説明したので、見てほしい。
■NDD比較のポイントは「カバー先の量と質」
前ページでも掲載した「日本国内のおもなNDD口座一覧」の表を以下に再掲載するが、この表にはその会社自身が「NDDでやってます」と表明しているものをリストアップしている。
いずれも注文はFX会社を素通りし、カバー先へと直結するNDDのしくみを基本的な部分では採用している模様だが、これまでに説明してきたNDDならではの特徴がすべてに当てはまるとは限らないので、その点はご注意を。
★日本国内のおもなNDD口座一覧(再掲載)
会社名[口座名] | 最低取引単位 | 取引手数料 | 米ドル/円 参考スプレッド(※1) |
プラットフォーム | カバー先数 | スマホ向け アプリ |
|
ザイFX!期間限定キャンペーン実施中 セントラル短資FX[ウルトラFX] |
5万通貨 | 無料 | 0.4銭 (実績平均値) |
独自ECN | 非公表(※2) | 3月31日から提供開始予定 | |
サイバーエージェントFX[C-NEX](現YJFX!) | 1万通貨 | 無料 | - |
カレネックス (クラシック) |
19社 | あり | |
アルパリジャパン[アルパリダイレクト] | 1000通貨 | 片道0.0015% | - |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社(16社) | あり(iPhone) | |
アルパリジャパン[アルパリダイレクトPro] | 1000通貨 | 片道0.0015% | - |
カレネックス (クラシック) |
1社(16社) | あり(iPhone) | |
アルパリジャパン[MT4 スタンダード口座] | 1000通貨 | 無料 | 0.8銭(実績値) |
独自ECN | 1社(17社) | あり | |
アルパリジャパン[MT4 プロ口座] | 10万通貨 | 無料 | 1.0~1.4銭 (実績値) |
独自ECN | 1社(17社) | あり | |
会社名[口座名] | 最低取引単位 | 取引手数料 | 米ドル/円 参考スプレッド(※1) |
プラットフォーム | カバー先数 | スマホ向け アプリ |
|
FXCMジャパン証券(現楽天証券)[TS口座] | 1000通貨 | 無料 | - |
独自ECN | 2社 | あり | |
FXCMジャパン証券[プレミアム口座] | 1万通貨 | 無料 | 0.6銭原則固定 |
独自ECN | 2社 | あり | |
FXCMジャパン証券(現楽天証券)[MT4口座] | 1000通貨 | 無料 | - |
独自ECN | 2社 | あり | |
外為ファイネスト[EVO] | 1万通貨 | 無料 | 0.8~1.4銭 (実績値) |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社 | なし(準備中) | |
外為ファイネスト[PRO] | 50万通貨 | 片道0.003% | 0.1~0.7銭 (実績値) |
カレネックス (ヴァイキング) |
1社 | なし(準備中) | |
外為ファイネスト[MT4] | 1万通貨 | 片道0.0035% ~0.008%相当 |
- |
カレネックス | 1社 | あり |
2014年2月18日現在
(※1:米ドル/円のスプレッドで「実績値」あるいは「実績平均値」としているのは、2014年2月18日現在で各社が発表していた最新の値を掲載している)
(※2:セントラル短資FX全体のカバー先は22社あるが、[ウルトラFX]のみのカバー先は公表されていない)
では、どのNDDを使うかだが、その参考になる約定率やスプレッドなどのデータを現状では公表していないFX会社も多い。今後はセントラル短資FXの[ウルトラFX]のように公表する会社も増えてくるだろう。
ひとつ注意点を挙げるとすれば、NDDでは原則固定型以上にカバー先の量と質が大切。そのしくみを考えればすぐわかるように、NDDのレートはカバー先次第な部分が大きい。先ほどの比較表にカバー先の欄を設けているのはそのためだ。
【参考記事】
●【徹底解剖】2014年大注目のNDD(1) NDDでマイナススプレッドが出る原理
しかし、たとえば、アルパリジャパンなどはカバー先が1社だけとなっている。1社じゃ不安かといえば、そんなことはない。
アルパリは英国拠点の世界的な大手FX会社。こうしたFX会社では表面上、カバー先を海外の本社1社としつつも、実際は本社の先に複数のカバー先が存在しており、英アルパリの場合は16~17社のカバー先がある。
外資系FX会社にはそのような例が多いようだ。FXCMジャパン証券(現楽天証券)や外為ファイネストもこのケースに該当する。
■2014年はNDDの取引環境が整っていきそう
日本のNDD口座はまだまだスタート段階といった感じ。スマホ向けアプリや取扱い通貨ペア数、注文の多様性などでは従来からある原則固定型に分がある。
NDD口座のそうした点も今年、2014年はだんだんと充実してくるだろうが、でも、NDD口座の多くは中上級者向け。まずはサービスが豊富な原則固定型で慣れてから、それとNDD口座を併用していくといった使い方が良さそうだ。
(取材・文・撮影/ミドルマン・高城泰)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)