ノックアウト・オプションを提供する2社を徹底比較
ノックアウト・オプションとは、「ストップロス注文を必ず入れるハイレバレッジのFX、あるいはCFD」という感じで取引できる個人向けの金融商品。
ユーザーは上昇か下落かを予測して発注するが、もしも予測と逆に動いたら、カッチリそこで損切られる「ノックアウト価格」を最初に自身で設定してから発注を行うしくみ。ノックアウト価格によって、取引に必要なオプション料は変わってくるが、ノックアウト価格の設定の仕方によってはかなり少ない資金でまとまったポジションを保有することもできるのが大きな特長だ。
現在、日本国内でノックアウト・オプションを取引できるのは、IG証券とStoneX証券が提供するFOREX.comの2つ。そこで、この2つを比較してみよう。
IG証券は日本で初めてノックアウト・オプションの提供を開始したFX会社で、2018年9月にサービスインしている。そして、FOREX.comは2020年1月にノックアウト・オプションの提供を開始している。
ノックアウト・オプションが取引できる口座を比較! |
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為替の最低取引単位 | 取引期限 | 対象銘柄 | 取り扱い銘柄数 |
1万通貨 | 最長1年程度 | 為替/株価指数/商品 | 159銘柄 |
取引手数料 | ノックアウトプレミアム | 専用アプリ | 搭載チャート |
無料 | あり | iPhone/Android | 独自 |
取引時間 | |||
米国夏時間…AM5:00~土曜AM6:00 米国標準時間…AM6:00~土曜AM7:00 |
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IG証券【ノックアウト・オプション】の特徴 | |||
※最大5万円+他社からの乗り換えで1万円のキャッシュバックキャンペーン実施中! IG証券のFX口座が取り扱う101の豊富な通貨ペアすべてに加え、世界の主要な株価指数やコモディティ(商品)まで取引できるのが最大の魅力。いろいろな銘柄でノックアウト・オプションを楽しみたい人におすすめ。 |
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為替の最低取引単位 | 取引期限 | 対象銘柄 | 取り扱い銘柄数 |
1000通貨 | 最長1年程度 | 為替/株価指数 | 40銘柄 |
取引手数料 | ノックアウトプレミアム | 専用アプリ | 搭載チャート |
無料 | なし | iPhone/Android | Trading View |
取引時間 | |||
米国夏時間…AM6:00~土曜AM6:00 米国標準時間…AM7:00~土曜AM7:00 |
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FOREX.com【ノックアウトオプション】の特徴 | |||
取り扱いは40銘柄だが、最低取引単位が1000通貨なので、IG証券よりもさらに少額の取引が可能。ノックアウトプレミアムがないので、取引コストがスプレッドのみというのもメリットだ。※2021年11月24日より、トルコリラ/円、米ドル/トルコリラ、ユーロ/トルコリラは取引停止中 |
※「ノックアウトプレミアム」は、ノックアウト価格に達したとき、ノックアウト価格で必ず決済されることが保証される代わりに支払うコスト。FOREX.comでもノックアウト価格で必ず決済されるが、ノックアウトプレミアムの支払いはない
IG証券は為替・株価指数・商品まで159銘柄を取扱い
上の比較表のとおり、取扱い銘柄数はIG証券が159銘柄、FOREX.comが40銘柄。IG証券は為替だけで101銘柄を取り扱っている。それに加えて、株価指数や商品といった為替以外の銘柄も取扱っていて、全部合わせると159銘柄になる。FOREX.comが取扱っているのは為替が23通貨ペア、株価指数が17銘柄の計40銘柄となる。
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⇒ノックアウト・オプションに130銘柄追加。VIX指数(恐怖指数)が50円で取引可能!?
IG証券、FOREX.comともに、米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルといったメジャー通貨ペアを一通り揃えている。さらにIG証券では、トルコリラやメキシコペソといった高金利が魅力の通貨、米ドルの総合的な指数を表すドルインデックスも提供している。ドルインデックスを提供しているFX会社はかなり珍しい。
なお、ノックアウト・オプションは、その名のとおり、オプション取引なので、通常のFXと違って各銘柄には取引期限がある。IG証券、FOREX.comともに、取引期限は最大で1年間となっている。
約100種類の豊富な取り扱い通貨ペア数と、世界標準の取引ツールが魅力! | ||||
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IG証券の主なスペック | ||||
最低取引単位 | 通貨ペア数 | スプレッド | ||
米ドル/円 | ユーロ/米ドル | ユーロ/円 | ||
1万通貨 | 101ペア | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
IG証券のおすすめポイント | ||||
IG証券は世界で31万人以上のユーザーを誇る、英国に本拠地を置く証券会社。約100種類の豊富な通貨ペアを取り扱っているFXのほか、CFDやノックアウトオプションなども人気で、IG証券全体で取引できる銘柄は、実に1万7000銘柄以上となっています。自動売買に対応した高機能チャートツール「ProRealTime」が使えたり、心理学的見地からトレーダーにアプローチするコンテンツを提供していたりと、国内系とは一味違うサービスが魅力です。 | ||||
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※この表は2023年2月1日時点のデータに自動で更新されているため、本記事の公開時の情報とは異なっている場合があります |
FOREX.comなら1000通貨取引が可能で少額取引もできる
次に最低取引単位だが、為替銘柄はIG証券が1万通貨、FOREX.comが1000通貨となっている。そして、IG証券が提供している指数関連銘柄や商品銘柄については、スポット金が0.5ロット、日本225(日経225)が1ロット、WTI原油が2ロット……というように、銘柄ごとに最低取引単位(ロット数)が異なっている。
冒頭で、ノックアウト・オプションは自身が設定したノックアウト価格次第で少ない資金でもポジションを保有できると紹介したが、たとえば、FOREX.comで1000通貨取引しようとした場合、通貨ペアによっては100円程度の資金でポジションを保有することも可能だ。
以下の図は記者が実際にFOREX.comの口座にログインして、米ドル/円の現行価格から20銭ほど下にノックアウト価格を設定しようとしたときのもの。「UP(上昇)」を購入したとき、1000通貨あたりのオプション料は210円程度、1万通貨でも2100円程度しかかからなかった。

(出所:FOREX.com)
FXでは、1000通貨保有するのに、フルレバレッジ(25倍)で5200円、1万通貨で5万2000円の維持証拠金がかかる(1米ドル=130円換算)。そう考えると、ノックアウト・オプションの資金効率はかなり良いことがわかる。
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ノックアウトプレミアムが徴収されるか、されないか
続いて、ノックアウト・オプションを利用するのにかかる手数料は、IG証券、FOREX.comともに無料。ただ、IG証券ではノックアウト価格に到達した場合、ノックアウトプレミアム(※)が徴収される。
ノックアウトプレミアムはスリッページに対する保証料。IG証券ではノックアウトプレミアムを支払うことで、相場が急変した場合でもスリッページが発生することなく、ノックアウト価格で必ず決済されることになっている。
たとえば、コロナショックのようなことが起こり、金融市場がパニックになって相場がぶっ飛んでしまった場合でも、設定したノックアウト価格で決済されることがIG証券によって保証されているのだ。
(※編集部注:ノックアウトプレミアムは一定ではなく、銘柄や相場変動によって変わる)

(出所:IG証券)
ノックアウトプレミアムはポジションを建てた時に自動的に徴収されるが、もしもノックアウト価格に到達する前にポジションを決済した場合は返金されるしくみになっている。
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IG証券に問い合わせたところ、ノックアウトプレミアムは公表していないという回答だったのだが、米ドル/円については2.0銭と教えてくれた。ということは、もし、米ドル/円でノックアウト価格に到達した場合は、「スプレッド(0.6銭)+ノックアウトプレミアム(2.0銭)」で取引コストは2.6銭となるわけだ。
そしてFOREX.comもIG証券と同様に、ノックアウト価格で必ず決済されるしくみだが、こちらはノックアウト価格に到達してもノックアウトプレミアムは徴収されない仕様となっている。
主要通貨ペアのスプレッドはIG証券が有利
続いて、IG証券とFOREX.comがノックアウト・オプションで提供している為替銘柄の中から、主要通貨ペアのスプレッドを比較してみよう。
■IG証券とFOREX.comの主要通貨ペアのスプレッド比較 (調査日:2023年1月11日) | ||
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通貨ペア | IG証券 | FOREX.com |
米ドル/円 | 非公開 | 0.9銭原則固定 |
ユーロ/円 | 非公開 | 1.4銭原則固定 |
英ポンド/円 | 非公開 | 2.5銭原則固定 |
豪ドル/円 | 1.3銭原則固定 | 1.6銭原則固定 |
ニュージーランドドル/円 | 4.0銭 | 2.3銭原則固定 |
カナダドル/円 | 4.0銭 | 2.3銭原則固定 |
ユーロ/米ドル | 0.6pips原則固定 | 0.9pips原則固定 |
英ポンド/米ドル | 1.5pips原則固定 | 1.7pips原則固定 |
豪ドル/米ドル | 0.9pips原則固定 | 1.2pips原則固定 |
ニュージーランドドル/米ドル | 3.0pips | 2.0pips原則固定 |
※スプレッドはすべて例外あり
IG証券では現在、米ドル/円などの主要通貨ペアのスプレッドが非公開となっているので一概には言えないが、過去の配信実績なども踏まえると、全体的にはIG証券方がFOREX.comよりもスプレッドの水準は狭い傾向にある。ただし、ニュージーランドドル/円、ニュージーランドドル/米ドル、カナダドル/円などは、FOREX.comの方が狭いスプレッドを提供している。
先ほど、IG証券ではノックアウト価格に到達した場合、ノックアウトプレミアムがかかると紹介したが、FOREX.comの場合、ノックアウトプレミアムはかからないが、その分、スプレッドに上乗せされているようにも見える。
また、先ほど、IG証券の米ドル/円のノックアウトプレミアムが2.0銭だと紹介したが、米ドル/円の場合、ノックアウト価格に到達してしまった場合だと、ノックアウトプレミアムがかからないFOREX.comの方が有利になることが多いと考えられる。反対に、ノックアウト価格に到達する前にポジションを決済した場合、過去の実績値も踏まえればIG証券の方が有利となる可能性が高い。
■IG証券とFOREX.comの米ドル/円の取引コスト | ||
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ノックアウト価格に 到達する前に決済 |
ノックアウト価格に 到達して決済 |
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IG証券 【ノックアウト・オプション】 |
0.6銭 (参考値) |
2.6銭 (スプレッド0.6銭+ノックアウトプレミアム2.0銭) |
FOREX.com 【ノックアウトオプション】 |
0.9銭 | 0.9銭 |
※スプレッドはすべて例外あり(IG証券のスプレッドは、過去の配信実績を踏まえた参考値)
ノックアウト価格に到達した場合のコスト負担が気になるならFOREX.com、ノックアウト価格は万が一のときの備えで、ノックアウト価格に到達する前に決済することを前提になるべく低コストで取引したいという人はIG証券を選ぶという手もある。
ノックアウト・オプションでもスワップポイントがもらえる
通常のFXの場合、低金利通貨売り・高金利通貨買いのポジションを日をまたいで保有し続ければスワップポイントをもらえるが、ノックアウト・オプションでも同様にスワップポイントを受け取れる。反対に、低金利通貨買い・高金利通貨売りのポジションを持てば、スワップポイントを支払うことになる。
先ほど紹介したIG証券とFOREX.comで取扱いのある為替の主要通貨ペアのスワップポイントを比較してみよう。
■IG証券とFOREX.comの主要通貨ペアのスワップポイント比較 (調査日:2023年1月10日) | ||||
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IG証券 | FOREX.com | |||
売り | 買い | 売り | 買い | |
米ドル/円 | -185円 | 153円 | -188円 | 152円 |
ユーロ/円 | -103円 | 69円 | -113円 | 58円 |
英ポンド/円 | -181円 | 145円 | -191円 | 136円 |
豪ドル/円 | -96円 | 70円 | -108円 | 52円 |
ニュージーランドドル/円 | -110円 | 86円 | -128円 | 71円 |
カナダドル/円 | -128円 | 100円 | -140円 | 103円 |
ユーロ/米ドル | 77円 | -114円 | 57円 | -130円 |
英ポンド/米ドル | 22円 | -62円 | 3円 | -77円 |
豪ドル/米ドル | 18円 | -48円 | 7円 | -67円 |
ニュージーランドドル/米ドル | -4円 | -22円 | -26円 | -43円 |
上表でスワップポイントを比較すると、調査日時点では、IG証券のほうが有利な通貨ペアが多い。
そのIG証券では、為替以外にも株価指数を取扱っているが、こちらについては「ブル(上昇)ポジション」を保有している場合、ファンディングコストの支払いが発生する。
一方、「ベア(下落)ポジション」を保有している場合、当該国の基準金利が2.5%以上(ミニ取引は3.0%以上)であれば、原則としてファンディングコストを受け取ることができる。ただ、当該国の基準金利が2.5%未満(ミニ取引は3.0%未満)だと支払いになる。
また、ボラティリティ指数や商品銘柄もファンディングコストが発生するのだが、こちらは株価指数とは計算方法が違い、フォワードカーブ(先物曲線)に沿った日々の動きとIG証券の資金調達コストによって計算される。
世界のトレーダーに人気の「TradingView」を標準搭載
最後に取引ツールはというと、IG証券、FOREX.comともに、パソコン版取引ツールと、スマホアプリ(Android/iOS)を提供している。
以下は、IG証券とFOREX.com、それぞれのパソコン版取引ツールのノックアウト・オプションの取引画面を並べたものだ。

さらに以下は、IG証券とFOREX.comのスマホアプリの取引画面を並べたもの。

ノックアウト・オプションはノックアウト価格に到達する前であれば途中決済ができるが、IG証券とFOREX.comの取引ツールには「利益確定の逆指値注文」ができる機能も搭載されている。これは、相場が予想どおりに動いて利益が出ているときに、利益が乗っている水準に逆指値注文を入れることができるもの。
ただし、IG証券、FOREX.comともに、ノックアウト価格ではない通常の逆指値注文(利益確定の逆指値注文も含む)の決済時はスリッページが発生する。この点にはご注意を。
そして、取引ツールに搭載されているチャートはIG証券がオリジナルのもの、FOREX.comはTradingViewを採用している。TradingViewは世界で約500万人のトレーダーが利用しているという人気ツール。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)型のプラットフォームとも呼ばれていて、無料アカウントを作成すると、オリジナルのチャートを公開することや、他のユーザーが公開したチャートにコメントすることができるようになる。
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ノックアウト・オプションは、少ない資金で気軽に取引できるのが魅力。元手となる資金が少なくて……という人にもピッタリの商品なので、興味のある人は試してみてはどうだろう。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
ノックアウト・オプションが取引できる口座を比較! |
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為替の最低取引単位 | 取引期限 | 対象銘柄 | 取り扱い銘柄数 |
1万通貨 | 最長1年程度 | 為替/株価指数/商品 | 159銘柄 |
取引手数料 | ノックアウトプレミアム | 専用アプリ | 搭載チャート |
無料 | あり | iPhone/Android | 独自 |
取引時間 | |||
米国夏時間…AM5:00~土曜AM6:00 米国標準時間…AM6:00~土曜AM7:00 |
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IG証券【ノックアウト・オプション】の特徴 | |||
※最大5万円+他社からの乗り換えで1万円のキャッシュバックキャンペーン実施中! IG証券のFX口座が取り扱う101の豊富な通貨ペアすべてに加え、世界の主要な株価指数やコモディティ(商品)まで取引できるのが最大の魅力。いろいろな銘柄でノックアウト・オプションを楽しみたい人におすすめ。 |
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為替の最低取引単位 | 取引期限 | 対象銘柄 | 取り扱い銘柄数 |
1000通貨 | 最長1年程度 | 為替/株価指数 | 40銘柄 |
取引手数料 | ノックアウトプレミアム | 専用アプリ | 搭載チャート |
無料 | なし | iPhone/Android | Trading View |
取引時間 | |||
米国夏時間…AM6:00~土曜AM6:00 米国標準時間…AM7:00~土曜AM7:00 |
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FOREX.com【ノックアウトオプション】の特徴 | |||
StoneX証券が提供するFOREX.comのノックアウトオプションで取引できるのは40銘柄だが、最低取引単位が1000通貨なので、IG証券よりもさらに少額の取引が可能。ノックアウトプレミアムがないので、取引コストがスプレッドのみというのもメリットだ。※2021年11月24日より、トルコリラ/円、米ドル/トルコリラ、ユーロ/トルコリラは取引停止中 |
※「ノックアウトプレミアム」は、ノックアウト価格に達したとき、ノックアウト価格で必ず決済されることが保証される代わりに支払うコスト。FOREX.comでもノックアウト価格で必ず決済されるが、ノックアウトプレミアムの支払いはない
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)