■ユーロ/米ドルは重要な反転シグナルを2つも点灯
次に、プライスアクションの視点からみると、昨日(5月8日)、ユーロ/米ドルは重要な反転シグナルを点灯した。しかも、同シグナルは1つではなく、2つも重なっているから、信憑性が高いとみる。
2つのシグナルとは「フェイク セットアップ」と「フォールス・ブレイクアウト」である。
英語の「フェイク」(fake)と「フォールス」(false)はともに日本語の「ダマシ」、あるいは「罠」に近い意味合いを持つから、要するに昨日(5月8日)の値動きは、「ダマシ」あるいは「罠」であったことが示唆されている。
ダマシほど明確なシグナルはないと言われる。これがユーロ/米ドルがすでにトップアウトした可能性が大きいとみる理由である。
■フェイク セットアップとは?
では、「フェイク セットアップ」とは何か。
過去X日間における最高値、あるいは最安値を当日つけたにもかかわらず、終値が大きく反落、あるいは反騰し、前日、あるいは前Y日間の終値ベースの安値、あるいは高値をブレイクした場合(時には並んだ場合でも可)、同シグナルの点灯が認められる。
当然のように、X日間およびY日間の数字が大きければ大きいほど、同シグナルの可能性は高い。
(出所:米国FXCM)
この基準をもって昨日(5月8日)の値動きを検証してみれば、昨日(5月8日)の高値は2011年10月末以来の高値だったにもかかわらず、終値は過去6日間の終値より安かったことがわかる。したがって、「フェイク セットアップ」のシグナルが点灯したわけだ。
■「フォールス・ブレイクアウト」とは?
そして「フォールス・ブレイクアウト」は至って簡単だ。過去の相場が示した重要な抵抗ゾーン、あるいは支持ゾーンがザラ場にて突破されたものの、当日終値をもって確認できなければ、反転のサインと見なすといったところである(いくつの条件があるが、ここではスペースの都合で詳説できないため、プライスアクション理論について、詳しいことは拙作『FXプライスアクション成功の真実』(実業之日本社)をご参照)。
明らかに、昨日(5月8日)の高値は3月高値(重要な抵抗)を更新したものの、当日に大きく反落してきたから、同シグナルも点灯していたと思われる。
■ユーロ/円の下落で全面円高が進むだろう
両シグナルの点灯をもってユーロのトップアウトを示唆しているから、これからはユーロ安トレンドの進行を覚悟した方が良さそうだ。
ユーロ/米ドルのトップアウトがあれば、ユーロ/円の反落も避けられないだろう。
(出所:米国FXCM)
本コラムが指摘したように、ユーロ/円日足における大型トライアングル(2013年年末高値から構築)は、巷では上放れの観測が多かったが、むしろ逆で、下放れの兆しを見せている。ユーロ/円の反落がホンモノであれば、これから大きく下値余地を拡大するだろう。
【参考記事】
●ユーロ上昇なら年内最後の売り好機か。ユーロ/円は10円幅の下落も覚悟せよ!(2014年4月25日、陳満咲杜)
そして、米ドル/円の下値余地も大きいだろう。米ドル/円の値動きを限定していたのは他ならぬ、ユーロ/円などクロス円の堅調であったので、全面円高の展開が、ユーロ/円の下落をもって推進されるのではないだろうか。
あとは、本コラムが指摘してきた米ドル/円の本格的な下落シグナルが、再度点灯しているので、注意していきたい。もちろん、本コラムをフォローしている読者の皆様なら、すでに気づいていると思うので、よいお取引を祈る。
【参考記事】
米国株バブル崩壊のシグナル点灯!日本株は暴落か。ドル/円は100円割れへ(2014年4月11日、陳満咲杜)
最後に、米ドル/円の100円節目割れを「杞憂」という向きもあるが、2014年年初来の日経平均の1万4000円底値論と同じく、杞憂が現実になりつつある場合、「天地が崩壊するのではないか」と心配した「杞人」になった方がよほど賢明だ。
なぜなら、過去にそうであったように、現実と違い、相場の「天」は時に落ちるからだ。市況はいかに。
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