■チャートを充実させるポイントは2つ
それでは、福寄さんがチャートを充実させるポイントとしているのはどういったところなのだろうか? これには、大きく分けて2つあるそうだ。
1つ目には大小のトレンドが見られること。上か下かではなく、大きな時間軸と、小さな時間軸に挟まれた「今」が流れの中で見られるようにインディケーターを配置することが重要だ。
そして、2つ目にカットラインを明確なレートで表示できること。こちらは「ここまでいったら切るぞ」という水平線でラインが引けることが重要のようだ。

チャートを充実させるには、大小のトレンドが見られることと、カットラインを明確なレートで表示できることがポイントになるそうだ
福寄さんいわく、「チャートの中で絶対にブレない、余計な裁量が入らない明確なラインを持つというのが非常に大事になってくる」とのこと。
■複数時間軸のトレンドを緑色とオレンジ色で表示
さらに、今回のセミナーでは、福寄さんが普段から使っているインディケーターを表示したチャートを示して、いろいろ解説してくれたのだが、その中のいくつかを紹介しておきたい。
上のチャートには、いくつかのインディケーターが表示されているが、下の画面の赤く囲われているのが複数の時間軸でトレンドを見ることができるインディケーター。
トレンドラインのどちら側にあるかを視覚的にとらえやすくしたシンプルなインディケーターだそうで、「緑色」がアップトレンド、「オレンジ色」がダウントレンド、「灰色」がもみ合いを示している。
たとえば、上から下までビッシリとオレンジ色が揃っていれば、複数の時間軸のトレンドがいっせいにダウントレンドになっているということだ。
そして、上の画面に表示されているものが、ピボットが自動で引かれていくインディケーター。これについては「節目となりそうなラインとして気にかけている」そうだ。
使い方としては、先に紹介した複数の時間軸でトレンドを見ることができるインディケーターで方向性を確認し、節目などを見ながらトレードに入るという。
■複数の感度を持つオシレーターを配置する意味とは?
次に紹介するチャートは、ボリンジャーバンド、MACD、ストキャスティクス、RCI、そしてADXといった、オーソドックスなインディケーターが組み込まれたものだ。
※上からボリンジャーバンド・MACD・ストキャスティクス・RCI・ADX。
ローソク足とボリンジャーバンドでは、高値(HIGH)と安値(LOW)の更新の有無や、ボリンジャーバンドの各ラインとローソク足の位置関係を確認しているという。
そして、3つのオシレーターはパラメータの細かいRCIとパラメータが鋭いストキャスティクス、そしてパラメータの鈍いMACDで構成されている。
これは、複数の感度を持つパラメータを用いることで、複数の時間軸を見ていることとほぼ同じ意味になるそうだ。
たとえば、パラメータを鋭く設定したストキャスティクスは先行して動きやすく、これは短い時間軸の動きを反映したものと言える。これに対して、パラメータが鈍いMACDはゆっくりとした動きとなり、これはより長い時間軸の動きを反映したものと言える。
つまり、「複数の感度≒複数の時間軸」となるのだ。
さらに、感度の違うパラメータを配置することにより、たとえば、感度の鋭いRCIやストキャスティクスだとダマシがあったりもするが、感度の鈍いMACDであればダマシが少ないというように、弱点を補うこともできる。
使い方としては、RCIやストキャスティクスで初動を確認し、MACDがそれに追随しそうかを見極める。そして、トレンド系のチャートでさらに相場の前後の流れを把握し、カットラインなどを設定してからトレードに入るそうだ。なお、ADXは、トレンドが発生するか収束するかを判断するのに用いるという。
■チャートを組んだら長く使うことが重要!
また、「満足するチャートが組めたらそれを使ってみる。そして、勝ってみる、もっと大事なのが負けてみる」と話していた。
「これは使えそうだというチャートの波形とかパラメータを見つけた場合は、ある程度、それを見続けたほうがいいと思います。
どんなにいいチャートでも、それを使いこなせるようになるには、一定期間使って、勝っているときだけでなく、負けているときもしっかり見ることができているかが大事。負けている時に良い水準で撤退ラインを可視化してくれたチャートなどは、自分はすごく大切にするのですが、初心者の方ほど負けた悔しさでそんなのあまり見ないんですよね。
そうやって、自分の中にナレッジ(知識)を貯めていくから安定したメンタル&収益が生み出せるのだと思っています。自分はこの点は非常に重視していて、メインで見るチャートは10年ぐらいほぼ同じものを使っています」

福寄さんのチャートへの愛情も、トレードで勝つための重要な要素の1つと言える
良さそうなインディケーターを見つけて使っていても、少し勝てないとすぐに次のインディケーターに移ってしまう浮気症の人も多いのではないか。こうした、福寄さんのチャートへの愛情も、トレードで勝つための重要な要素の1つと言える。
次回は、「伝説のトレーダー大集合」ということで、西原宏一さん、志摩力男さん、松崎美子さんによる為替マーケットの展望を紹介予定です。
(「『FX友の会 in 東京2014』潜入レポ(4) もしも、日本国債が暴落しそうになったら…」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・庄司正高 撮影/和田佳久)
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