(「『FX友の会 in 東京 2014』潜入レポ(2) 取引手法の由来は3度も目が合った美女!?」からつづく)
■東大卒トレーダーがチャートに求める3要素とは?
ロブ・ブッカーさん&ブラッドリー・フリードさんのありがた~いお話の後に登壇したのは、愛称「福ちゃん」ことトレーダーの福寄儀寛さん。司会進行のフリーアナウンサー・叶内文子さんから「親子丼の好きな福ちゃんで~す」と紹介されたときはやや苦笑いしていたが、そこから福寄流チャートの使い方セミナーがスタートした。
実は、その愛称からは想像もつかないが、福寄さんは東京大学法学部卒という経歴の持ち主。さらに、自身で起ち上げたIT会社の経営を行う傍ら、FXセミナーの講師も務めるというかなりやり手のトレーダーだ。

福寄さんの話は、チャートのインディケーターなどを用いた、いわゆる“テクニカル分析”を中心とした構成だったが、基本的な考え方から、実際に使っているインディケーターを用いた実践的なものまで盛りだくさんの内容だった。
FXセミナーの講師も務める福寄さんは普段から、たくさんのFXトレーダーと話す機会があるそうなのだが、間違ったチャートの見方をしている人が多いという印象を常日頃から持っていたそうだ。
「取引に慣れていない人は思った以上にチャートを断片的にしか見ていない場合が多いのではないかと思っています。
断片的というのは、ある1つの時間軸しか見ていないのです。
それともう1つは、チャートの表(おもて)ばかりを見てしまう。チャートで分析をすることも大事ですが、そのチャートを見ている人がどのように動くのかという『裏』も非常に重要です」
そんな福寄さんにはチャートに求める3つの要素があるそうだ。
(1)複数の時間軸を一度に、楽に見る。
(2)自分のトレードをしっかりと律することができ、明確で解釈の幅が少ないルールを可視化する。
(3)チャートを見ている他の投資家の心境を推察するための材料をできるだけ拾う
まず、(1)については、複数時間軸のトレンドが色分けされたインディケーターを用いて流れを把握するということのようだ。インディケーターの詳しい内容については後述する。
次に、(2)は具体的な撤退ラインを明確に引く手法を持つことが重要とのこと。
そして、(3)はチャートでは見ることのできそうにない要素だが、これについては、ほかの情報とも連携しつつ見ることがポイントだという。福寄さん自身は、IMM(国際通貨先物市場)の通貨ポジションや一部のFX会社が公開しているポジションの偏りなどをよく見ているそうで、「他の人がどう動くか」ということをこうしたデータを欠かさずチェックすることで取り込んでいるそうだ。

チャートを見るだけではなく、ほかの情報と連携することも非常に重要なポイントだという
■上がると思った材料で上がらないときの違和感が大事
「大きなトレンドが発生しているときは、みんなが同じポジションを積み重ねていきます。その増え方のペースと、増えたポジションのコストレートはざっくりとですがいつも意識しています。
あるレートで売買された大きなポジションの塊がいくつか相場にあることをイメージしているだけで、そのカバーが走りそうな水準を意識しやすいし、冷静になれます。
そして、トレンドが止まるときは溜まったポジションの巻き戻しが新規の取引と均衡しだすときです。ポジションが偏り過ぎていると、上がるだろうなと思った材料で上がらなかったりするので、そういう違和感を感じ取るのはすごく重要だと考えています。なので、チャートを見るときは常に、発表される情報の重要度と重ね合わせて見てますね。
また、新しい小さなトレンドが大きなトレンドをくつがえしていくような場面は、積み上がっていたポジションが利益確定や損切りによって崩れてくるので、そういうポジション調整時のチャート波形はかなり昔のチャートも含め、そのまま覚えています。
こういう、『目の前のチャート』以外の情報と連携して見る手法は覚えておくとグっと安定感が出てくると思います」
■小さなトレンドも軽視しないチャート術!
また、福寄さんはエントリー時と決済時でチャートの見方が少し違っているそうだ。
エントリーするタイミングでは、大小さまざまな時間足を確認しながらストーリーを考えてトレードに入る。一方、決済のタイミング、特に損切りについては、余計な裁量や考える余地を一切作らないという。
「エントリーするタイミングでは、いろんな時間足を見て、こういうバリエーションやストーリーってありえるな、というふうに多くの場面を考えます。
一方、決済のタイミング、特に損切りで逃げる時というのは、そこに裁量とか可能性を追い求める余地があってはいけないと思っています。だから、淡々と実行できるようなチャートと投資戦略を組まないといけないと考えています」
そして、エントリーと決済のタイミングでやってはいけないことを次のように話していた。
「エントリーのタイミングで、5分足だけを見て断片的に参加するけれども、損切りのタイミングで違う時間足を見てまだ戻りそうだとか、これはまだあり得るだろうとか、思惑をめぐらせてポジションを切れないというのは絶対避けないといけないと思っています」
さらに、大小のトレンドの重要度については「小さいトレンドだからといって軽視できない」とのこと。それは、どんなに大きなトレンドでも最初は小さな時間軸から発生していることが理由にあるという。
したがって、「まず自分が見ている小さな時間軸の流れが今後どうなりそうか」をポイントとし、さらに以下の3点を挙げていた。
(1)ただのノイズか
(2)一定の小さな時間足でワークする波形か
(3)大きな流れを変えていく初動となりえるか
福寄さんは、これら(1)~(3)を、どのようなインディケーターを見て判断するか常に考えてトレードに臨んでいるとのこと。そして、どういう意識でポジションを持つのかも重要だという。

小さいトレンドだからと言って軽視せず、小さな時間軸の流れを見て欲しいと語る福寄さん
では、ここで福寄さんが使っているトレード手法について紹介しておくと、以下の3パターンがあるそうだ。
(1)大きなトレンドをフォローすべく取るポジション
(2)大きなトレンドと逆行しても、小さな時間足の過熱感・反動を狙って取るポジション
(3)まったく無秩序なポジション
「大きなトレンドをフォローするときは、値幅も大きくなるのでポジションを抑え、ストップを深めにして、大きな時間足のトレンドに乗っていきます。
逆に大きい時間足に対する小さい時間足での巻き戻し、反動を狙って入るようなときには、枚数はちょっと大きめになる。値幅としては小さめだけれども、ある程度大きめのポジションをとることで収益をあげる。その場合、大きなトレンドに反して入っているポジションなので、ストップをしっかり機能させることが前提となります。
そして、もみ合っていて方向感が出ていないとき、こういう時はそもそもトレードをしないほうがいいという場面でもありますが、一定の収益を出すために、慣れている通貨ペアで、短期売買を回す場合もあります。その場合は特定の時間足だけできっちり利食いと損切りラインを設定して、どちらに転んでも深追いしないトレードをします。これを自分は無秩序なポジションと呼んでいます」
どのパターンが正しいかというよりも、どういう意識で持ったポジションかを把握しておくことが重要のようだ。福寄さん自身はざっくりこの3パターンでトレードすることが多いという。
それでは、福寄さんがチャートを充実させるポイント…
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