■「米ドル全面高に死角なし!」が死角?
米ドル全面高が続いている。ドルインデックスは88の節目をブレイクし、2010年6月高値(88.70)に迫る勢いをみせる。今晩(11月7日)発表される米雇用統計が良ければ、米ドル全面高はさらに加速するだろう。
(出所:米国FXCM)
言うまでもないが、米雇用環境の改善が継続されるなら、米早期利上げ観測が高まり、米ドル高を一段促進する材料となるが、ここに来て、以下の2点にも注意が必要かと思う。
まず、最近の米ドル高は、米早期利上げ観測よりも外貨安の思惑が強いことによる受動的な側面を否めない。
次に、米雇用統計の好調が予想されるなら、目先の米ドル高も、こういった好材料を織り込みつつある可能性が大きい。
米ドルの「受動的」上昇は、日銀追加緩和による円売り、そしてECB(欧州中央銀行)のバランスシート拡大計画やQE(量的緩和策)への思惑によるユーロ売りがもっとも大きな原動力となっている。
そのほか、豪州のリセッション懸念や英国のEU(欧州連合)離脱懸念など、主要外貨サイドにそれぞれのマイナス材料がつきまとい、当面、米ドル高の進行に死角なしと思われる。
一方、トレンドのあとを追う形でファンダメンタルズ上の材料が続出し、トレンドを証左する上に、さらにそれを推進していくのが市場の常。ゆえに、材料はどうであれ、トレンドが大きく進行しているときは、材料が過大評価されがちであり、また、その過大評価によってトレンドが行きすぎになるケースも枚挙に暇ない。
したがって、死角なしと思われる時ほど用心深くなったほうが無難とも思われる。
■ドルインデックスはいったん上値が限定される可能性あり
ドルインデックスは、2014年安値からきれいな5波構造を有して上昇波が推移しているのがわかる。
(出所:米国FXCM)
ただし、すでに最終子波のトップに位置し、足元の水準やRSIが示す「弱気ダイバージェンス」の構築から考えて、これからの上昇余地は、いったん限定される可能性も浮上している。
米ドル/円の場合、10月31日(金)の日銀の決定がマーケットにとってサプライズだったので、前回のサプライズ、つまり2013年4月4日(木)の「異次元緩和」時と見比べれば、一番わかりやすいのではないだろうか。
次のチャートは、2013年4月4日(木)の「異次元緩和」後の…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)