昨日は注目のECB理事会だった。そもそもこれまでのドラギ総裁の発言などからマーケットでは量的緩和をするものだということを前提に動いてしまっている。つまり価格に織り込み済みなのだ。為替相場ではユーロドルは1.20台を割り込んできて、1.14台までユーロ安が進んできている。
これもECBが国債購入に踏み切るといったことが、もはや疑いなしということの現れであった。だから問題はどのくらいの規模の国債購入をするのか、また購入の責任はだれが持つのか、ギリシャなどの国際管理下に置かれている国債も購入対象にするのか、であった。
欧州序盤からドル円は軟化。118円台でやっていたものが、117円台のミドルまで押し込まれてきている。そして肝心のユーロはというと1.16台にステイしたままで、一向に下サイドに差し込む気配がない。もちろん短期的にユーロ売りしておきたい人はみんな売ってしまっていて、売りは一巡しているという解釈もある。
もうこれ以上、ユーロが下がらないならば、ECBの量的緩和も完全に失敗だったということになるのではないか。ECBの金融政策の発表では、「緩和の説明は後でする」ということになった。ドラギ総裁が自身語るということだ。
結果としては毎月、600億ユーロ買い入れることになった。期限は来年の9月まで。だから規模としては予想を上回る。そしてインフレ目標が達成されないならば、延長するとのこと。ECBが直接、国を選んで国債を買うのはまずいということもあるのだろうが、各国がそれぞれ自国の国債を買い入れることとなった。
しかし購入から発生するリスク、つまり値下がりリスクに関しては20%だけECBが負担するという。ギリシャ国債なども条件付きではあるが、購入の対象にする模様。
これが発表された当初は、あまりインパクトのない中身だなということで、マーケットはすんなりとリスクテークには赴かなかった。グローベックスでの米国株の上げ幅も少々。緩和の対象であるユーロも下げるには下げたが、大きな下げではない。結局は米国市場待ちということになった。
ニューヨーク序盤では反対にリスクオフで反応した。米国株も下落に転じ、ドル円も117円台の前半まで落ち込んだ。ユーロドルが下がっても1.15台の中盤を中心にしていたものが、1.14台に突入。今年の安値は1.1460であったが、その手前で踏ん張り気味。
日付が変わる頃合いになって、ようやく下抜けしてきた。私は1.15台で何度かユーロ売りに励んだが、取引件数は多いものの、疲れるばかりで芳しい戦績は残していない。また翌日に頑張ろうということで、寝ることにした。
ニューヨーク時間を通じて、ドルの全面高が進んだようだ。ドル円は118円台まで戻していて、ユーロドルも1.13台まで突っ込んでいる。その後のユーロドルもほとんど値を戻していない。緩和の対象のユーロが下がったのを見て、ECBの緩和もそれなりに評価されたのだという観測も出てきて、米国株などは大きく反発することとなった。
今晩は下げたユーロの再評価の一日となる。まだ下げ足りないということで、ユーロドルは1.12台のほうに向かうのか。それとも金融緩和の効果は限定的だということで反転するのか。ニューヨーク時間の午前までは値動きを見極めて、それから手を出そうかなとも考えている。
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