■米ドル/円は120円台での当局発言に警戒
アベノミクス初期の相場においては、欧州や米国勢は日本株購入と同時に、米ドル/円でのヘッジも行っていました(※)。
(※編集部注:アベノミクス相場により上昇した日本株を単純に買うだけでなく、同時に円売りを行って、円安に対するヘッジをかけようとすることを指していると思われる)
一部のヘッジファンドは、オーバーヘッジを行っていたため、日本株に先行して、米ドル/円が急騰していました。
ところが、最近は日経平均に連動して、米ドル/円が上昇する局面が少なくなってきました。
(出所:米国FXCM)
友人によれば、日本株の購入の際、「カレンシー・スワップ(Currency Swap)」(※)を多用しているとのこと。
(※編集部注:「カレンシースワップ」とは、円と米ドルなど異なる種類の通貨間における、将来の金利と元本を交換する取引のこと)
ただ、ヘッジでの米ドル買いも行っているはず。そのヘッジでの米ドル買いですが、以前と違って、米ドル/円の押し目を待って静かに行っている模様。
(出所:米国FXCM)
それは、米ドル/円の120円台では、浜田内閣官房参与を筆頭に、当局から、米ドル高牽制コメントが頻繁に行われているのが背景にあるようです。
【参考記事】
●浜田参与の発言もあり円安は調整局面。ドル/円よりユーロ/円の売りに妙味?(4月14日、西原宏一&松崎美子)
そのため、米ドル/円は118~121円のレンジに長らく収まっています。
■米ドル/円は長期トレンドライン上抜けを目指す
ただ、前述のように、欧州や米国勢の日本株への投資が継続されれば、米ドル/円でのヘッジも継続。
米ドル/円は118円台で底固めをした後、1990年4月高値160.35円と1998年8月高値147.67円をつないだ長期トレンドラインが位置している122.35円ブレイクを目指して、じわじわと反発してくる公算が濃厚。
(出所:米国FXCM)
「セル・イン・メイ(Sell in May)」で米国株の反落懸念もありますが、TPP(環太平洋連携協定)交渉の進展に加え、安倍首相が米国訪問から帰国する5月にかけては、本邦公的年金からの米ドル買いが再開される可能性もウワサされています。
日本株の急騰につれ、再び底堅くなってきた米ドル/円の動向に注目です。
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