■ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入る
みなさん、こんにちは。
2015年のマーケットの主役は、相変わらずユーロ圏ですが、ユーロ絡みのトレードに大きな調整が入っています。

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先週のコラムでご紹介した英ポンド/円は、182円台と高値圏で推移していますが、英総選挙を直前に控え、いったん調整気味。
【参考記事】
●英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、ここに来て、英ポンドは注目を集めている?(4月30日、西原宏一)

(出所:米国FXCM)
その間隙をぬって、ユーロ/円が135円を超える上昇を見せています。ユーロ/米ドルも1.13ドル台へ。

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■ビル・グロス氏の発言きっかけにドイツ国債利回りが急騰
このところ、ドイツ10年国債利回りが急騰しています。
これは、4月21日(火)のビル・グロス氏(※)による下記のコメントがきっかけ。
「人生最大のドイツ国債売りのチャンス」
彼のコメント以降、ECB(欧州中央銀行)がQE(量的緩和策)を実施しているにもかかわらず、ドイツ10年国債利回りは急騰しています。
【参考記事】
●すさまじいECBのQE開始でユーロ急落! ユーロ/円は120円に向けて続落か(3月12日、西原宏一)
(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、「債券王」との異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー。2014年にPIMCO社を退社し、現在は、米 国の資産運用会社「ジャナス・キャピタル・グループ」に所属している)
(出所:CQG)
ドイツ10年国債利回りは、本稿執筆時点までの段階で一時、0.58%と、4月下旬のボトムから50ベーシスポイントもの急騰(※)。
呼応して、米国10年国債利回りも、2.2%台と3月上旬以来の水準まで上昇しています。
(※編集部注:その後、ドイツ10年国債利回りはさらに爆上げ。5月7日(木)の欧州時間に一時、0.79%付近まで上昇している模様)

(出所:CQG)
グローバルな国債利回りの急騰に連れて、株式相場も反落。
欧州や米国など、他の株式相場の下落に連れて、日経平均も急落しており、本稿執筆時点では、1万9290円と1万9300円を割り込んでいる展開。
■ユーロ/米ドル相場は、2013年5月の米ドル/円相場と相似
この動きは「セル・イン・メイ(Sell in May)」と表される調整局面。
2015年の主役であるユーロ下落の流れを確認すると、「ドイツ国債高(利回り低下)、独DAX高(株高)、原油安、ユーロ/米ドル安」という流れでした。
ところが、前述のビル・グロス氏のコメントが発せられたレベルから切り返し、「ドイツ国債安(利回り上昇)、独DAX安(株安)、原油高、ユーロ/米ドル高」という流れになっています。
これは、2013年5月に米ドル/円相場で起こったことと相似しています。
2013年4月、日銀の異次元緩和が発表されたあと、急激に「日本株高・円安」が進行しました。
【参考記事】
●レジームチェンジでドル/円100円回復へ! 黒田総裁の異次元緩和に日経平均も続伸(2013年4月5日、西原宏一)
そして、2013年5月に入っても「セル・イン・メイ(Sell in May)」の兆候もなく、爆騰していましたが、5月22日(水)のバーナンキFRB議長(当時)のテーパリングコメントから、短期的に急激な「株安・円高」に見舞われました。

(出所:米国FXCM)

(出所:米国FXCM)
【参考記事】
●日経平均大暴落! 豪ドルに悪材料続出! 急落中の豪ドル/円、下値メドは95円か(2013年5月23日、西原宏一)
■ユーロ/米ドルはもみ合い後に下落基調に戻る可能性濃厚
バークレイズ証券の北野一氏によれば、QEの効果はおよそ50日。ECBがQEをスタートさせたのが2015年3月9日(月)ですので、ほぼ2カ月が経過しているため、そろそろECBによるQEの効果が薄まる時期なのでしょう。
【参考記事】
●安倍首相訪米中は年金がドル買いを遠慮!? ドル/円はGW明けから上がり出すイメージ(4月28日、西原宏一&松崎美子)
ただ、2013年の米ドル/円相場をチェックすると、2カ月ほど低迷していましたが、その後は、再び「株高・円安」に回帰しています。

(出所:米国FXCM)
このことから類推すれば、1~2カ月のもみ合いを経て、ユーロ/米ドルは再び下落基調に戻る可能性が濃厚。

(出所:米国FXCM)
逆に短期的には、当面のユーロ/米ドル相場は調整入りで上値を確認する展開でしょう。
「Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)」が「Grimbo(※)」に変貌し、ギリシャ問題も依然として不透明ですが、ポジション調整により、ドイツ10年国債の利回りが急騰している局面では、ユーロ/米ドルは上値を追う可能性が高まっています。
(※ 編集部注:「Grimbo」とは、Greece + Limbo が合成されてできた言葉。Limboとは、長期に渡る不透明感や、長い間忘れ去られている事柄などを指す。EUとギリシャ政府の間で支援協議が合意できず、協議だけが長引いて、ギリシャがユーロ圏を離脱するのかしないのか、不透明な状況が続いているという意味だと思われる)

(出所:米国FXCM)
こうした調整の動きの中、中長期プレーヤーは、これをユーロ売りの好機と、とらえている模様。
ビル・グロス氏が予見したように、調整局面に入ったユーロ/米ドル、ユーロ/円の動向に注目です。
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