■ユーロ/米ドル相場は、2013年5月の米ドル/円相場と相似
この動きは「セル・イン・メイ(Sell in May)」と表される調整局面。
2015年の主役であるユーロ下落の流れを確認すると、「ドイツ国債高(利回り低下)、独DAX高(株高)、原油安、ユーロ/米ドル安」という流れでした。
ところが、前述のビル・グロス氏のコメントが発せられたレベルから切り返し、「ドイツ国債安(利回り上昇)、独DAX安(株安)、原油高、ユーロ/米ドル高」という流れになっています。
これは、2013年5月に米ドル/円相場で起こったことと相似しています。
2013年4月、日銀の異次元緩和が発表されたあと、急激に「日本株高・円安」が進行しました。
【参考記事】
●レジームチェンジでドル/円100円回復へ! 黒田総裁の異次元緩和に日経平均も続伸(2013年4月5日、西原宏一)
そして、2013年5月に入っても「セル・イン・メイ(Sell in May)」の兆候もなく、爆騰していましたが、5月22日(水)のバーナンキFRB議長(当時)のテーパリングコメントから、短期的に急激な「株安・円高」に見舞われました。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
【参考記事】
●日経平均大暴落! 豪ドルに悪材料続出! 急落中の豪ドル/円、下値メドは95円か(2013年5月23日、西原宏一)
■ユーロ/米ドルはもみ合い後に下落基調に戻る可能性濃厚
バークレイズ証券の北野一氏によれば、QEの効果はおよそ50日。ECBがQEをスタートさせたのが2015年3月9日(月)ですので、ほぼ2カ月が経過しているため、そろそろECBによるQEの効果が薄まる時期なのでしょう。
【参考記事】
●安倍首相訪米中は年金がドル買いを遠慮!? ドル/円はGW明けから上がり出すイメージ(4月28日、西原宏一&松崎美子)
ただ、2013年の米ドル/円相場をチェックすると、2カ月ほど低迷していましたが、その後は、再び「株高・円安」に回帰しています。
(出所:米国FXCM)
このことから類推すれば、1~2カ月のもみ合いを経て、ユーロ/米ドルは再び下落基調に戻る可能性が濃厚。
(出所:米国FXCM)
逆に短期的には、当面のユーロ/米ドル相場は調整入りで上値を確認する展開でしょう。
「Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)」が「Grimbo(※)」に変貌し、ギリシャ問題も依然として不透明ですが、ポジション調整により、ドイツ10年国債の利回りが急騰している局面では、ユーロ/米ドルは上値を追う可能性が高まっています。
(※ 編集部注:「Grimbo」とは、Greece + Limbo が合成されてできた言葉。Limboとは、長期に渡る不透明感や、長い間忘れ去られている事柄などを指す。EUとギリシャ政府の間で支援協議が合意できず、協議だけが長引いて、ギリシャがユーロ圏を離脱するのかしないのか、不透明な状況が続いているという意味だと思われる)
(出所:米国FXCM)
こうした調整の動きの中、中長期プレーヤーは、これをユーロ売りの好機と、とらえている模様。
ビル・グロス氏が予見したように、調整局面に入ったユーロ/米ドル、ユーロ/円の動向に注目です。
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