昨日は昼間に日本株が今年の最高値をうかがう動きとなり、アジア時間ではリスクテークの動きが強まるものかと思われた。しかし中国の中央銀行が人民元を切り下げ。1.9%だからドル円に直すと2円強なので大幅な切り下げというわけでもない。
だがこれまで元高を長らく容認してきたこともあって、マーケットにとってはサプライズを与えるものだった。為替相場には、特にメジャー通貨であるユーロや円には大きなインパクトを与えなかった。
しかし資本市場では中国の景気減速を懸念するには、十分過ぎるほどの材料と映ったようだ。確かに最近まで中国株の急落もあり、いろいろと対策を施してきたところだ。管制相場だと揶揄されても、なんとか中国株は値崩れしないで持ちこたえている状況を作り出していたのである。でもそれが実体経済にはほんとど効いていないのではないかという疑問が表出してきたのだ。
これは今年になって量的緩和を始めたユーロ圏で、欧州債の相場が急落した時と様相が似ている。いくら金融緩和といって当局が身を乗り出しても、実は相場を支え切れないのではないかという根本的な問い。アメリカや日本の次に3番箭じでやってみたものの、やはり効かないのではないかと懐疑的になった展開と同じだ。
そういうわけで中国経済の減速は、世界経済への即ダメージにつながる。欧州株も安いまま、米国株がスタート。やはり安い。そしてリスク回避も急がれるはずなのに、ドル円もユーロドルもあまり下がらなかった。
いやむしろ上昇してきた。私もリスク回避狙いで何度かドル円を売ってみたりしたのだが、まったく話にならない。ドル円は124円台の後半でまったく下がらないのだ。ユーロ円まで上がってきて、為替相場だけは反対の方向に動いているとしか言いようがない。
さらには原油価格も42ドル台にまで突っ込んできた。これは今年の最安値に並ぶレベルだ。OPEからの発表で7月分の原油生産が3000万バレルを超えたからダブつき感が出たようだ。ともかくも原油価格の下落もリスクオフの要因の一つだ。
それなのにドル円は125円台に乗せてくるわ、ユーロ円はまったく下がらないわで、実に面白くない相場展開がニューヨーク時間では続いた。こうなると人民元の下げは、ドル円やユーロドルの買いということで反応すべきなのだろうか…。
そして今日も人民元が1.6%切り下げると発表があった。そして午前中には確かにドル円もユーロドルも少しばかりではあるが、上がった。その結果としてユーロ円は昨日の同じ時間から2円以上も上がってきている。リスク相場とは別物として考えないといけないのだろうが、株安も進むため無視しづらいものがある。
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