■米ドル/円はポジション調整、ユーロ/米ドルは買戻しに
今、起きていることは、紛れもなく自国の都合を最優先させた「通貨切り下げ競争」に他ならないワケですが、市場の反応は、「米ドルの基調的な上昇圧力となる」という通貨に対するものよりも、「中国は、そうまでしなければならないほど国内事情が悪化している」との認識に傾きつつあります。
「市場レートにより近づける」措置として、IMF(国際通貨基金)などからは、「歓迎する」との意向が表明されていますが、市場は、これを目先の中国経済に対する不透明さと受け取り、リスク資産、つまり、株価の売却という行動に出ました。
為替市場でも、125円台まで買い上げられていた米ドル/円は、目先のポジション調整を余儀なくされた形となったほか、ユーロ/米ドルについては、ユーロキャリーの巻き戻しや、「疑似人民元」としての位置づけとなっている「豪ドル」を対ユーロで売り浴びせたことで、ユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロとの通貨ペア)の急騰とともに、買い戻しの動きとなりました。
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来月、9月にも決定されるであろう、米利上げを前提とした「米ドル買い」のポジションは全般的に縮小させられることとなっています。
■中国経済の悪化は予想以上! 米利上げ先送りの可能性
FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文でも、何度も言及されているように、米国はこういった「国際情勢」をかなり意識しています。
中国経済が予想以上に悪化していることが、今回の中国人民銀行による一連の措置の裏にあるのならば、やはり、米利上げの時期が先送りされる可能性も否定できないでしょう。
市場を含め、FRB自身も確固とした判断ができない状況ではないかと感じています。
そうであれば、為替市場も、このまま米ドル高トレンドが強まるというのではなく、しばらくはレンジ内での様子見の動きとなるかもしれません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
ただ、豪ドルや加ドルなどの資源国通貨については、WTI原油先物価格(※)がいまだに安値をトライしている状況では、なかなか継続して買われるということにはならないでしょう。
(※編集部注:「WTI」とは、米国テキサス州西部とニューメキシコ州南東部で算出される原油の総称。「WTI原油先物」は、ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されており、NY原油先物などとも呼ばれる。「WTI原油先物」は、北米の原油価格の指標となっている)
(出所:米国FXCM)
引き続き、戻り売りがしっくりくるのではないでしょうか。
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