昨日のアジア時間ではややリスク回避の動きが先行した。それが昼間の日銀会合へ向けての期待が必要以上に高まったことによる。どうせ何も日銀はアクションを起こさないだろうというコンセンサスダルにも関わらず、なぜかいつも発表の直前で期待の高まりで株高や円安を演じてしまう。わかっていても期待してしまうのだろう。
そして結果が出るとリスク性の高いものは持ってはいられないということで、株価やドル円は下がってしまう。昨日もドル円はあっさりと119円台に突入し、119.40あたりまで差し込んだ後は、なかなか値を戻さなかった。私も119円台は買いだなと考えていたのだが、そうした連中の買い意欲をそぐほどのドル円の重さ。そして株価の値の戻りの鈍さであった。
先日のG20で始められた議論ではないが、通貨安競争が問題になっている半面、通貨安が防げないこともまた問題になりつつある。トルコやロシアは言われていて久しいが、先週あたりから問題視されてきたのがマレーシアである直接の原因は政治家、特に現職の首相の汚職にあるようだ。それで通貨リンギットの価値下落に歯止めがかからないようだ。しかもマレーシアは資源国として通っている側面も大きい。昨年の後半から続いている資源安をモロに影響を受けている国なのだ。
そのマレーシアは1997年からのアジア通貨危機の際に、マハティール首相の指導で通貨を完全にドルペッグにしたことでも有名だ。それは自国通貨を無制限に買い支えてでも、通貨安にはブレさせないという決意表明のようなものだが、当時はうまくワークしたのに、今回のマレーシアには通用していない。対ドルでも為替レートは4の大台を超えてきた。そろそろ新聞などでも指摘が増えはじめている。
ここで優等生だったマレーシアがどうしてこんな状況になったのかの遠因を考えてみると、やはり中国の景気減速に行きつく。需要低迷は資源の価格を押し下げ、また地理的にも中国経済圏に組み込まれていることも中国のスローダウンの余波をまともに受けてしまう。国内政治の不安定かはマレーシア独自の問題だが、それが背中を押しているという形になっている。
中国経済の動向に振らされているマーケットがここ2か月間もの間、続いているが、それは周辺諸国へも波及して広がりつつある。だから今回のリスクオフの流れは決して一時的なものではない。これを為替相場のなかで見ていくと、いかに日銀が追加緩和をしたり、日本政府がアベノミクスを強調したところで、グローバルな経済の中では通用しないことになるだろうということを考えねばならない。
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