■FOMCでは利上げなくても影響は限定的か
急落は収束したとはいえ、日経平均は1万8000円台、米ドル/円は120円台と、「チャイナブラックマンデー」以前のレベルにはまだ戻っていません。
(出所:株マップ.com)
この後の相場展開は、日本時間9月18日(金)午前3時に予定されている、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果待ちとも言えるのですが、大方の予想は「10月もしくは12月の利上げ」。
結果、今回は利上げがなくても、マーケットに与える影響は限定的ではないかと想定しています。
【参考記事】
●9月FOMCで利上げはあるのか、ないのか? その後の為替はどう動く? 大穴はスイス!(9月15日、西原宏一&松崎美子)
マーケットの予測をまとめると、少なくとも2015年年内中(つまりあと3カ月強)に、一度利上げがあるということを言っているわけですので…。
■日銀の追加緩和期待高まる中、ドル/円は124円回復へ
一方、ほとんどゼロと言われていた日銀の追加緩和ですが、今週(9月14日~)もじわじわと期待が高まっています。
【参考記事】
●日本株安・円高でアベノミクスが苦境に。待望される日銀の追加緩和はあるのか?(9月3日、西原宏一)
日銀の追加緩和期待は、前回のコラム同様、「伸びない設備投資、4-6月期実質GDPのマイナス、日本株の急落」により高まっているわけですが、日銀の物価シナリオを信じるマーケット参加者が激減していることも要因のひとつです。
【参考記事】
●日経平均1343円暴騰はなぜ起きたのか? さらに利下げ見込むNZドルは0.55ドルへ(9月10日、西原宏一)
支持1人の物価シナリオ
日銀の2%目標、エコノミスト調査 修正なら緩和の有無焦点
「原油価格次第では2%物価目標の達成時期が(従来シナリオと比べて)前後にずれる」15日に黒田東彦日銀総裁の口からそんな言葉が出た。背景には日銀の物価シナリオを信じるエコノミストが一段と減っている点もありそうだ。
9月のESPフォーキャスト調査(41人対象)ではたった1人となった。10月末公表の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で修正を迫られる可能性もあり、追加緩和の有無が焦点だ。
日銀が2013年4月に始めた量的・質的金融緩和(異次元緩和)は、2%物価目標を「2年程度を念頭に置き、できるだけ早期に実現する」政策だ。具体的な達成時期の表現は変化してきており、開始から2年が経過した15年4月公表の前回の展望リポートでは「15年度を中心とする期間」から「16年度前半頃」に先送りされた。
それでも強気過ぎるというのが多くの民間エコノミストの見方だが、4月のESP調査では「16年度前半」の達成を予測する人が5人いた(それ以前の達成を予測した人はゼロ)。原油安などを背景にこの人数がその後減っていったわけだ。
出所:日経新聞
原油価格次第では2%物価目標の達成時期が従来のシナリオから前後にずれると述べる黒田総裁。日銀による10月の追加緩和は果たしてあるのだろうか? (C)Bloomberg
確かに、インフレ目標の達成時期は徐々に先送りされています。
注目は、来月(10月)末に公表する日銀展望リポート。予測が下方修正されることは不可避。インフレ目標達成時期が先送りされるにもかかわらず、政策発動を見送り続けるということにはかなり疑問が残ることになります。
この文脈においては、10月の日銀による追加緩和への期待感が自然と高まることになります。
日銀の追加緩和期待の高まる中、米ドル/円と日経平均のダウンサイドリスクは徐々に限定的に…。米ドル/円は119~120円で底固めした後、再び124円台に向けて回復する可能性が濃厚。
(出所:米国FXCM)
日銀の追加緩和期待の高まりと、日本株と米ドル/円の反発に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)