■コンセンサスどおりなのに、なぜ市場の反応は波乱含み?
筆者の予想どおり、日銀の追加緩和もなければ、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利上げもなかった。これはどちらかという、「王道」な予測だったので、市場コンセンサスにも近かったが、市場の反応は今のところ、やや波乱含みだ。
米ドル安にリンクした形で、米国株が売られ、日本株もつれ安になっている。これは市場コンセンサス云々よりも、マーケットががっかりしているところに起因しているのではないかと思う。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
コンセンサスどおりなのに、なぜがっかりするかというと、薄々「もしかしたら」といった期待感もあったと言える。つまり、米早期利上げはないはずだが、もしかしたら利上げに踏み切るかもといった淡い期待感が市場関係者にあったのだ。
なぜなら、米利上げをもって「金利を正常化するほど米景気回復が順調」という当局のお墨付きがほしい、といったセンチメントが一部市場関係者にあったからだ。
当然のように、利上げがあれば、それはFRBが「もう大丈夫」のサインを出した、とも受け取れる。
反面、利上げ見送り自体は本来株式市場にプラスの効果を与えるが、マーケットが逆のパターンを示すなら、それは、やはり「FRBが慎重にならざるを得ないほど、これからの見通しが厳しいのか」と皆が考えてしまったということだ。要するに、FRBから安心感を得られなかったわけで、それが株安・米ドル安を招いた。
■市場関係者の予想以上に今後の見通しが不透明に
ところで、市場関係者がFRBからの安心感を渇望していること自体、裏を返せば市場が混乱しており、これからの見通しが極めて不透明になっているということである。
中国株暴落を始め、最近の世界の金融市場の波乱から考えて、こういった不安心理の連鎖があってもおかしくないし、FRBから安心感をもらいたかったことも理解できる。
さらに、利上げ見送りとともに、声明文もイエレンFRB議長の話も総じてハト派だった。
事前予想では、利上げ見送りなら「タカ派基調の声明文やFRB議長の発言」、利上げするなら「ハト派基調の声明文やFRB議長の発言」といった推測が一部市場関係者に共有されていただけに、今回のFRBの姿勢は、ややサプライズとも言える。ここまで見通しが厳しくなったかと、市場関係者の不安が高まっている。
こういった不安に拍車をかける要素は他にも…
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