■ユーロの下落はECBの追加緩和期待拡大も背景
ユーロがじわじわと下落を再開している背景にはフォルクスワーゲンショックのみならず、ECBの追加緩和期待が拡大していることが挙げられます。
【参考記事】
●FOMCは超ハト派で肩透かし…。市場の注目は日銀とECBの追加緩和にシフトか(2015年9月22日、西原宏一&松崎美子)
フォルクスワーゲン株が急落し、ユーロ圏経済に暗雲が立ち込める中、ECBが量的緩和を当初の終了予定日である2016年9月末よりも大幅に延長し、2017年半ばまで継続するとの予測が台頭。
この予測が拡大している要因のひとつには、ECBがインフレターゲットを達成するには追加緩和が必要であるとの見方が挙げられます。
予想をはるかに超える原油の急落もあり、現状のままだと、ECBのインフレ予測に到達するのは困難な状況に陥っていることは事実。
(出所:米国FXCM)
■株の下落局面におけるユーロの動きに変化あり
一方、過去数カ月、ユーロはファンディング通貨(※)として動く傾向があり、グローバルに株が急落すると、ユーロが反発する傾向が続いていました。
(※編集部注:「ファンディング通貨」とは資金調達通貨のこと。金利の低い通貨で資金を調達し、金利の高い通貨や株式などで運用するキャリートレードで用いられる)
特徴的なのは、8月24日(月)のチャイナショック時におけるユーロ/米ドルの急騰。
NYダウが200週移動平均線が位置する重要なサポートである、1万5350ドルに急接近するほどの急落をみせた局面で、ユーロ/米ドルは1.1712ドルまで急騰しています。
【参考記事】
●NYダウはさらに暴落するリスクあり!? 株高のカギを握る本邦当局の一手とは?(8月27日、西原宏一)
(出所:CQG)
(出所:米国FXCM)
ただ、今回のフォルクスワーゲンショックでは、ECBの追加緩和期待を背景に、欧州株の下落とともにユーロ/米ドルも反落へ。
ユーロ/米ドルは長期に渡って、200日移動平均線をレジスタンスとして、下落を続けていましたが、2015年3月からの調整局面が長引き、何度か200日移動平均線を越える局面もありました。しかし、今回のフォルクスワーゲンショックで再びこの長期移動平均線を割り込んできました。
(出所:米国FXCM)
足元のユーロ/米ドルは、当面、1.0800~1.1100ドルがサポートとなり下げ渋る展開もあるのでしょうが、ECBの追加緩和期待を背景に下落余地は1.05ドルまで拡大。
ECBの追加緩和期待の高まりで、再び動意をみせてきたユーロ/米ドルに注目です。
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