■「アベノミクス2」が走り出したが前途多難…
みなさん、こんにちは。
紛糾した安全保障法案に絡んだ騒動は一段落。日本政府が想像した以上に混迷を深めた安保法案により、安倍政権は大きく支持率を低下させています。
これまでの歴代内閣の変遷をたどってみると、安保問題がひと段落した後は、経済へと大きく視点を変えています。
今回の内閣も同様で、安倍総理はGDP600兆円を目標にすると表明しました。
【参考記事】
●スペインからの独立賛成派が選挙で勝ってもユーロがあまり下がらなかったワケは?(9月29日、西原宏一&松崎美子)
安倍首相「GDP600兆円」表明へ、介護離職ゼロ目標も=政府筋
安倍晋三首相は、24日夕に開かれる自民党の両院議員総会後に記者会見を開き、名目国内総生産(GDP)を600兆円にする目標を打ち出す。
総裁再選が正式に決まるのを機に、経済最優先の姿勢をあらためて強調し、「介護離職ゼロ」の実現など社会保障制度改革にも力を入れる姿を示す。
出所:ロイター
これは目標を打ち出しただけで、具体策はこれから。
ただ、走り出したアベノミクス2ですが、前途は多難。9月30日(水)に発表された8月の鉱工業生産(速報値)は前月比0.5%低下と2カ月連続のマイナス。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: その他地域主要経済指標の推移)
生産の基調判断は「一進一退で推移している」から「弱含んでいる」に変更。結果、7-9月期のGDPがマイナス成長となる可能性が高まることに…。仮に2期連続のマイナス成長となれば、景気後退局面入りを意味します。
そこで、マーケットでは、4~5兆円程度の補正予算を要望する声が挙がっています。加えて、以前のコラムでも取り上げていますが、呼応して、日銀の追加緩和期待が高まってきました。
【参考記事】
●日銀の追加緩和期待が高まるワケとは? ドル/円は底固め後に124円へ上昇濃厚!(9月17日、西原宏一)
■日銀追加緩和があれば、マイナス金利導入の可能性も!?
つい先日まで可能性は限りなく低いと言われていましたが、7-9月期のGDPがマイナス成長になる可能性が高まるにつれ、市場でも日銀の追加緩和予測が増えてきました。
【参考記事】
●FOMCは超ハト派で肩透かし…。市場の注目は日銀とECBの追加緩和にシフトか(9月22日、西原宏一&松崎美子)
注目はその具体策ですが、まず、ETFなどリスク資産の買い入れ。そして、日銀当座預金残高にかかる付利金利(現在0.1%)の引き下げが挙げられます。
ただ、前述のような手段のみですと、前回のQQE2(量的・質的金融緩和第2弾)に比べると、マーケットに与える影響は限定的で、米ドル/円なら、2~3円程度の上昇に留まるかもしれません。

(出所:米国FXCM)
2014年10月30日(金)のQQE2発表時は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のアロケーション変更も同時に発表されたこともあり、マーケットには大きなサプライズとなって、米ドル/円はあっという間に、10円高騰しました。
【参考記事】
●日銀とGPIFのダブルバズーカ炸裂で、ドル/円は120円へ向け上昇の可能性濃厚(2014年11月6日、西原宏一)

(出所:米国FXCM)
日本政府としては、急激な円安は困るのでしょうが、日本株を持ち上げるためには円安を伴うことも確か。
そのため、可能性は低いのでしょうが、マイナス金利の導入も検討されているのではないかとの予測も台頭しています。
■10月7日に日銀が追加緩和を発表するとのウワサも
安保から経済へと、大きく舵を切ったアベノミクス2ですが、7-9月期のGDPがマイナス成長となる可能性が高まり、前途多難…。
補正予算とともに、日銀が再び動き出すのかに注目が集まっています。
本命は10月30日(金)の金融政策決定会合。でも、早ければ10月7日(月)にも発表されるのではないかとのウワサも。
日銀によるQQE3の可能性の高まりとともに、米ドル/円はじり高の展開となる可能性が濃厚。

(出所:米国FXCM)
10月相場は、日銀の動向、そして日本株と米ドル/円の行方に注目です。
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